今、砂漠化について理解を深めるべき理由
Earth.orgによると、現在、約20億人が砂漠化の最も進行しやすい乾燥地帯に暮らしています。 Image: REUTERS/Ivan Alvarado
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- 気候変動、森林伐採、過放牧、持続不可能な農法などが要因となり、世界の乾燥地は砂漠化の一途を辿っています。
- 生物多様性、水域、植生の喪失とともに、生産性の高い土壌の劣化は人間の生活にも影響を及ぼし、貧困、食料不足、水不足、健康状態の悪化につながっています。
- しかし、2024年には世界経済フォーラムの特別会合やCOP16など、砂漠化への取り組みに焦点を当てた一連の会合が開催され、砂漠化との闘いにとって重要な年になるでしょう。
砂漠といえば、中東や北アフリカ、中央アジアといった地域が思い浮かぶかもしれません。しかし、気候変動にともなう砂漠化の進行は地球全体でますます広範囲に及び、その面積は着実に拡大しています。126の締約国による国連の2022年国別報告書で発表された最新データによると、現在、土地の15.5%が劣化。この数年で4%増加しています。
こうした中、2024年にサウジアラビアで開催される2つの大規模な会合が、状況を動かす力になると期待されています。4月28から29日にかけて開催される、世界経済フォーラムの「開発に向けたグローバル・コラボレーション、成長、およびエネルギー」特別会合と、12月に開催される国連砂漠化対処条約(UNCCD)第16回締約国会議(COP16)では、この深刻化する課題への取り組みが大きな焦点となります。
UNCCDは、国連の気候変動枠組条約、生物多様性条約と並ぶリオ3条約のひとつです。
砂漠化は地球と人にとってどのような意味を持ち、どのようにすれば砂漠化を緩和できるのでしょうか。
砂漠化とその原因
砂漠化とは土地の劣化の一種で、すでに比較的乾燥している土地がますます乾燥し、生産性の高い土壌が劣化し、水域、生物多様性、植生が失われることです。
これは、気候変動、森林伐採、過放牧、持続不可能な農法など、さまざまな要因によって引き起こされます。
課題の規模は、サハラ砂漠、カラハリ砂漠、ゴビ砂漠のような砂漠をはるかに超えるものです。UNCCDによれば、毎年1億ヘクタールの生産可能な土地が劣化。干ばつは当たり前になりつつあり、2050年までに人口の4分の3が水不足に直面すると予想されています。
また、Earth.orgによれば現在、約20億人が砂漠化の最も進行しやすい乾燥地帯に暮らしています。
最も影響を受けている地域は、アフリカと東・中央アジアです。
砂漠化の影響を最も受けやすい場所
世界経済フォーラムのレポート「Quantifying the Impact of Climate Change on Human Health 2024(気候変動が人間の健康に与える影響の定量化 2024年版)」によると、アフリカでは、すでに約4,000万人が深刻な干ばつ状態のもとで生活しています。
また、Earth.orgによると、アジアでは、中国、ウズベキスタン、キルギスタンをはじめとする国々で気温が急上昇。これらの地域の一部は1980年代から砂漠気候に分類されていましたが、砂漠化が進み、近年の気温上昇と雨の多さの一因となっています。一方、山間部では雪不足によって氷河が徐々に消滅し、人と農業の両方に影響を及ぼす水の安全保障が脅かされています。
しかし、土地の劣化はより温暖な地域にも影響を及ぼしているのです。同レポートでは、米国統合干ばつ情報システム(National Integrated Drought Information System)の統計を引用し、米国ではアラスカとハワイを除く48州のうち40%近くが干ばつに直面していると述べています。
また、南ヨーロッパは近年最悪の干ばつに見舞われており、特にスペインでは、砂漠化と乱開発により、「ヨーロッパの菜園」と呼ばれる地域が深刻な影響を受けています。欧州連合(EU)は近年、スペインだけでなく、ポルトガル、イタリア、ギリシャ、キプロス、ブルガリア、ルーマニアなど、南部の加盟国が砂漠化の影響を受けやすいことを指摘しています。
砂漠化の影響
UNCCDによると、砂漠化した地域に住む人口は約5億人。
これらの人々は、栄養失調や清潔な水への不十分なアクセスにより、貧困や食料安全保障の欠如、健康状態の悪化などのリスクを抱えています。また、気候変動や干ばつ、自然災害などの異常気象の打撃を受けやすいのもこの地域です。こうした背景から、生計が立ちにくく、減少する資源をめぐって紛争が起こるリスクも高まるため、他国への移住を余儀なくされることもあります。
砂漠化の最も顕著な例のひとつが、中央アジアのアラルクム砂漠です。1960年代、この地域は世界で4番目に大きな湖であるアラル海に覆われていました。現在、アラル海の面積はかつての10分の1に縮小し、塩分濃度の高い小さな湖が3つ残っているのみです。ソビエト連邦時代、綿花栽培のため半砂漠地帯の灌漑にこの水が利用され、水位が低下したところに気候変動がさらに追い打ちをかけたためです。乾燥した海底は塩に覆われた砂漠と化し、漁船は座礁し、錆びつき、人々の生計は破綻しました。
砂漠化を緩和する方法
砂漠化に対処するためのアプローチは多種多様で、世界中で多くのプログラムが進行しています。
森林再生や植林は、劣化した土壌を蘇らせる上で役立ちます。ウズベキスタンでは、再緑地化プログラムによってアラル砂漠沿いの100万ヘクタールに樹木や低木が植えられました。その中には、干ばつに強く、塩分や砂を固定し、砂嵐によって砂が内陸に運ばれるのを防ぐことができるアカザ科の低木も含まれています。
アフリカのサハラおよびサヘル地域では、アフリカ連合が2007年に立ち上げた「グレート・グリーン・ウォール」が、荒廃した1億ヘクタールの土地に植物を復活させることを目指しています。アフリカの22カ国が参加するこのイニシアチブは、土地を復活させ、2030年までに2億2,000万トン以上の炭素を貯蔵し、1,000万人の雇用を創出する予定です。
土地の劣化に取り組むもうひとつの大きな柱は、アグロフォレストリー(森林農法)からサステナブルな放牧まで、あらゆるサステナブルな土地管理手法を導入することです。
また、雨水利用、点滴灌漑、干ばつに強い作物の植え付けなどの水管理により、水不足の影響に対処することができるでしょう。
その他の改善策には、植生回復や、湿地帯や河床全体のような自然の生息地の回復があります。
サウジアラビアで開催される世界経済フォーラムの特別会合では、COP16のホスト国としてのサウジアラビアへの支援や、12月のCOP16プログラム作成に向けた同フォーラムとサウジアラビアの共同作業など、砂漠化に関する一連の発表やセッションが行われる予定です。
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