女性発明者の躍進といまだ残るジェンダーギャップ
男女の発明家の数にはまだ大きな開きがあります。 Image: Unsplash/ThisisEngineering RAEng
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ジェンダーパリティ(ジェンダー公正)
- 特許権者に名を連ねる女性の数は増えていますが、依然として男性が大きくリードしていることが最新のデータで明らかになりました。
- 国連によると、2022年に国際特許を取得した発明家のうち、女性はわずか17%。83%は男性でした。
- また、世界経済フォーラムの「グローバル・ジェンダーギャップ・レポート2023」によると、STEM(科学、技術、工学、数学)分野の職業において女性の割合が依然として「著しく低い」とされています。
発明家としての女性の地位は向上しています。
しかし、最新のデータによると、男性の方がまだ優位に立っています。
米国で特許権の付与や商標の登録を行う政府機関である米国特許商標庁の記録を分析したところ、あらゆる分野で女性の科学特許取得が増加していることが分かりました。
最も進歩が著しいのは電子工学分野の女性です。この分野の女性発明者の割合は、2000年から2022年の間に5%から10%へと倍増しました。
女性発明者の割合が最も高いのは化学で18%。また、デザインに関する特許の16%も女性発明者が取得しています。
機械工学は女性発明者の割合が最も低く、2022年には5%。
一方、2022年の米国特許全体に占める女性の割合は10.9%に過ぎませんが、2020年の7.2%よりも増加しています。
科学・工学分野における女性
この数字は、米国の統計機関である国立科学工学統計センター(NCSES)のレポートに詳述されています。このレポートは、特許を取得し、発明者になる理工系女性の数を増やすために重要な要因のいくつかを概説しており、大学院課程におけるアドバイザーの協力支援などが含まれます。
同機関は「このような協力関係は、女性の特許初取得率の向上と関連しており、発明プロセスにおける大学での指導の役割を明らかにしている」と報告しています。
この特許取得に関する分析は、国連が毎年行っている、17の「持続可能な開発目標」(SDGs)を通じた男女平等に関する調査結果とも呼応しています。
同調査結果よると、2022年に国際特許を取得した発明者のうち、女性はわずか17%。83%は男性でした。
また、STEM(科学、技術、工学、数学)分野のグローバルな雇用に占める女性の割合は4分の1以下であり、2020年には研究職の3人に1人のみが女性でした。
「持続可能な開発目標の進捗状況:ジェンダー・スナップショット2023(Progress on the Sustainable Development Goals: The gender snapshot 2023)」では、STEM分野への女性参加の拡大、社会的偏見への挑戦などの進展を求めています。
女性発明者の特許取得は男性の40年遅れ
世界知的所有権機関(WIPO)によると、現在の傾向が続く場合、国際特許においてジェンダー・パリティ(ジェンダー公正)を達成するには2061年までかかるとのこと。
同機関のレポート「イノベーションとクリエイティビティにおけるグローバル・ジェンダーギャップ(The Global Gender Gap in Innovation and Creativity)」によると、1999年から2020年までに出願された国際特許のうち、女性の発明者は全体のわずか23%である一方、男性は96%に関与しています。
女性発明者の割合が最も高いのはバイオテクノロジー、製薬、食品化学です。機械工学では「はるかに少ない」とのこと。
地域別に見ると、ラテンアメリカとカリブ海諸国の数値が高く、女性が発明者全体の21%を占めています。アジアでは女性発明者が全体の17%、北米では15%、ヨーロッパでは14%、アフリカとオセアニアでは13%です。
WIPOは、すべての国の女性が均等に機会を得られるようにするためには、まだ多くの努力が必要であるとしています。これには、チームにおける男女の多様性を促進するための政策や行動、特許取得における男女格差を助長している社会的・技術的要因に関するさらなる研究が含まれます。
STEM分野での女性の割合が低い
世界経済フォーラムは、「グローバル・ジェンダーギャップ・レポート2023(Global Gender Gap Report 2023)」の中で、STEM分野の職業において女性の割合が依然として「著しく低い」ことを指摘しています。
また、STEM分野の職業は将来的に重要性と範囲が拡大すると予想される高賃金の重要な職種であることが付記されています。
STEM職に就く女性が増えている一方で、その多くはわずか1年で退職してしまうと、同レポートは指摘します。このことは、現在STEM職に就く女性の割合が29.4%である一方で、ハイレベルのリーダー的役割に占める女性の割合が12.4%から17.8%に過ぎないことの一因となっています。
「グローバル・ジェンダーギャップ・レポート」は、2006年からジェンダーギャップを測定しており、2023年には146カ国を対象に調査を実施しました。
同フォーラムは、「テクノロジー・パイオニア(Technology Pioneers)」イニシアチブなどを通じて、科学技術分野で重要な役割を果たす女性が増えるよう支援しています。
このイニシアチブは、世界中で新しい技術やイノベーションの開発・展開に携わる初期段階のスタートアップ企業のコミュニティです。2023年には、テクノロジー・パイオニア・コミュニティに招待された100社のうち、3分の1を女性最高経営責任者の率いる企業が占めています。
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