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レジリエンスと適応力が、今日の世界を切り開く鍵である理由

Here are four trends that businesses should be aware of in order to be adaptable and build resilience.

今日の世界を切り開くために、企業は、適応力とレジリエンスをより高めていく必要があります。 Image: Getty Images/iStockphoto

Jo Taylor
President and Chief Executive Officer, Ontario Teachers' Pension Plan
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本稿は、以下会合の一部です。世界経済フォーラム年次総会
  • ここ数年、世界は、地政学、気候、テクノロジーの面で混乱に見舞われています。
  • このことは、企業にとって大きな課題となっています。企業の多くは、安定した市場や政治状況のもとでこそ最高のパフォーマンスを発揮できるからです。
  • 本稿では、適応力を高め、レジリエンスを構築するために、企業が認識するべき4つのトレンドを紹介します。

ここ数年の乱気流から一つ得られるものがあるとすれば、それは、少なくともここ数十年で私たちが目の当たりにしたように、世界が「ノーマル」に戻ることはないということです。

地政学、気候変動、テクノロジーの面における混乱はますます拡大し、信頼は失われつつあります。このことは、私たち全員に、そして特に、企業にとって大きな課題となっています。企業の多くは、安定した市場や政治状況のもとでこそ最高のパフォーマンスを発揮することができるからです。

変化は、成長しより良いことを実現するためのチャンスです。課題は、どのように対応するかということ。この新しい世界を切り開くためには、企業はますます適応力とレジリエンス(強靭性)を高める必要があるというのが私たちの見解です。主要なステークホルダーの信頼を維持し、世界の方向性を見定め、規律正しく大胆に行動する必要があります。

以下は、今後のビジネス環境を決定づけると考えられる4つの主要トレンドです。これらのトレンドに単に適応することは必要条件でしかありません。さらに一歩踏み込んで、これらの変化から生まれるチャンスをつかむことができる企業は、大きな見返りを得ることができるでしょう。

1. 超グローバリゼーションの終焉

過去30年間は、グローバル規模で事業を最適化しようとする企業にとって好条件が揃っていました。しかし、より自由な貿易と資本・労働の流動性を特徴とする、グローバルな相互連結の加速というこのトレンドは終わりを告げようとしています。

米国と中国は依然として深く関与し合っていますが、この二大経済大国は、特に先端テクノロジーを生み出すなど、国家安全保障に不可欠とみなされる分野において、経済的相互依存の縮小に取り組んでいます。

これが進むにつれ、他の国や企業も自国のサプライチェーンのリスクを軽減し、よりレジリエンスの高いサプライチェーンを構築しようとするでしょう。このような行動により、インフレ率、ひいては金利の上昇圧力が長期化する可能性があります。

グローバリゼーションは、企業のコスト削減と消費者の価格低下をもたらしました。資本コストが上昇し、投資先の選択肢が変わった世界では、企業は複雑な選択に直面するでしょう。リーダーたちは、どこに最大のリスクが潜んでいるかを理解し、こうした再編成から生じる機会を見極めることが重要になるでしょう。

2. 市場の政治化

もう一つの力は、市場の政治化であり、これは超グローバリゼーションの弱体化と結びついています。大国間の対立は激化しており、武力紛争は世界秩序をさらに不安定にする恐れがあります。

2023年秋、イプソスが、カナダのオンタリオ州教員年金基金のために900人以上のグローバル投資家を対象に実施した調査によると、実に3分の2以上(69%)の投資家が、1年前よりも地政学的不安定性を懸念しています。

地政学的な再編成は、外国直接投資(FDI)に重荷をかける可能性があります。2023年第3四半期にこれを経験した中国は、FDIの重要な指標で25年ぶりの流出を示しました。各国は、自国の経済を外交政策の手段としての武器とし、予期せぬ形で企業や各国政府に影響を与える可能性があります。

市場の政治化は、二極化の進展という形で国内レベルでも起こっています。分断的な課題に対して企業が公的な立場を取ったり、各国政府の優先事項を支援するために資本を投下したりすることが求められています。企業にとっては、このような圧力に直面しながらも明確なビジョンと健全な戦略を打ち出し、主要なステークホルダーの信頼を維持することが重要な鍵となるでしょう。

3. サステナビリティの進化

12月に開催された、国連気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)気候サミットでは、約200カ国が化石燃料からの脱却に合意しました。この歴史的合意は、低炭素エネルギーシステムへの移行が各国政府の政策によって推進されていることを強調するものです。

米国や欧州連合(EU)をはじめとする主要経済国は、エネルギー転換への資金援助を行っています。また、二酸化炭素削減への取り組みがモメンタムを増す中でも、気候変動の結果であり、またその一因でもある生物多様性の喪失へも注目が集まっています。

低炭素の未来を目指す企業の数は増加しています。イプソスの調査によると、投資家の半数以上(57%)が、サステナブルな投資への注力を強化する予定です。

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移行を支援することで、再生可能テクノロジーの拡大、インフラの近代化、大規模な電化などに関連する投資機会が広がります。したがって、より広範なスケールで、環境にプラスの影響を与えるようビジネスを管理することは、世界にとってだけでなく、ビジネスそのものにとっても正しいことだと考えられています。

この移行は、紆余曲折が予想されます。企業が特定のセクターからの撤退を迫られる一方で、クリーンテクノロジーをグローバル経済に統合しようとすると、コストがかかり、ディスラプティブ(創造的破壊)なものになる可能性が高まるでしょう。企業は、ビジネスの持続可能性を高める機会を模索しながら、こうした圧力を乗り越えていく必要があります。

4. 人工知能の急速な台頭

ビジネスに永続的な影響を与える可能性があるもう一つの進展は、AI(人工知能)の台頭です。昨年、私たちはAIの能力とその導入が急速に加速していることを目の当たりにしました。

企業はすでにAIを活用して生産性を向上させ、予測力を高めていますが、より良い成果を追求する中で、この傾向はさらに強まるでしょう。AIがさまざまな形で雇用に影響を与える可能性があることは明らかですが、当社のポートフォリオに含まれる企業は、従業員の能力を高め、顧客により良いサービスを提供する手段としてAIを活用しています。

AIが最終的にもたらす影響については、世界のトップAI科学者の間でも見解が分かれているようです。このような不確実性の中、一部の国ではAIに対する監視を強化する動きがあります。EUは12月、イノベーションを継続的に促進しながらAIを規制することを目的とした包括的な枠組みに合意しました。

この技術分野で大きな変化が起こる可能性があることを考えると、企業にとっての課題は、AIがもたらす可能性のあるリスクを最小限に抑えながら、いかに誇大な期待を排除し、AIのベストなユースケースを判断するかということになるでしょう。

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