海面上昇が太平洋の島々に与える壊滅的影響
気候危機の最前線、太平洋諸島は、異常気象による最も深刻な影響を受けています。 Image: Sink Rise/Nick Brandt
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気候と自然
- 写真家ニック・ブラント氏の水中写真シリーズは、海面上昇の壊滅的な影響をとらえています。
- 太平洋諸島の住民は、気候危機が引き起こす異常気象の最も深刻な影響を受けています。
- 世界経済フォーラムの「グローバルリスク報告書2023年版」によると、今後10年で急速に悪化するグローバルリスクは、気候・環境リスクです。
もし、自分の家がまもなく完全に水没すると言われたら、あなたはどうするでしょうか。
太平洋地域のコミュニティにとって、これはもはや単なる問いかけではなく、気候危機がもたらした避けることのできない現実なのです。
ファインアート写真家のニック・ブラント氏は、フィジー諸島の住民にフォーカスした最新の写真集『SINK/RISE(沈降/浮上)』を発表しました。海面上昇と気候の悪化によって失われる未来を恐れる姿を写し出しています。
この写真集は、気候変動が理論上の課題ではなく、避けて通ることのできない日常の一部となっている人々や動物をとらえた同氏の世界的シリーズ『The Day May Break(壊れ得る日常)』の第3章にあたります。
心を揺さぶられるリアルタイムのイメージは、太平洋の島々が海底で息を止め、壊れたサンゴのかけらに囲まれている様子を表し、気候危機がこの地域に理不尽に与える影響を象徴しています。
気候変動が太平洋の島々に与える影響
気候危機の最前線である太平洋諸島は、異常気象による最も深刻な影響を受けています。
世界気象機関の報告によると、南西太平洋の水位は1年で約4ミリメートル上昇しており、これは世界平均よりも速いペースです。
近年、熱帯低気圧に見舞われているフィジーでは、壊滅的な洪水が発生しています。多くの人命が奪われ、人々は家を追われ、経済的影響は深刻です。このような甚大な被害を前にすれば、フィジー政府が気候変動をアジア太平洋地域における最も深刻な安全保障上の脅威と考えるのも当然でしょう。
世界経済フォーラムの「グローバルリスク報告書2023年版」では、環境と気候のリスクが、今後10年で急速に悪化するグローバルリスクの大半を占めています。
異常気象が頻発するようになると、気候変動の影響を最も受けやすい国に住む人々の暮らしはますます不安定になります。
これが、ブラント氏の潜水写真シリーズの原動力となりました。彼は自らの言う「プレ黙示録的」な撮影を通じて、海面上昇が何百万もの人々の生活に与える影響を視覚化したいと考えたのです。
こうした太平洋の小さな島国が排出する温室効果ガスは、グローバルな排出量のわずか0.03%であるにもかかわらず、住民は気候危機から多大な影響を受けています。
気候変動対策を進めるには、グローバルな連携が不可欠
世界経済フォーラムの「気候と自然のための慈善活動の未来に関するグローバル・フューチャー・カウンシル(Global Future Council on the Future of Philanthropy for Climate and Nature)」は、気候変動対策を加速させるためのグローバルな取り組みに官民連携が不可欠であるとして、気候変動の緊急の要求に応えるための協力の必要性に目を向けています。
国連気候変動枠組条約第28会締約国会議(COP28)は、気候変動による損害に各国が対処する世界初の「損失と損害」基金の運用に合意し、歴史に名を刻みました。本稿執筆時点の最新報告によれば、富裕国はこれまでに7億ドル以上をこの基金に拠出することを表明しています。
「グローバルリスク報告書2023年版」は、世界が今後洪水、熱波、干ばつなどの異常気象に見舞われるにつれ、より多くの人々が影響を受けると強調しています。
ブラント氏は、シーソーに座る二人のこの写真に希望の兆しを見ていると言います。まるで「年長の世代が若い世代を光に向かって押し上げている」ようだと。
気候危機の影響により、フィジー国内の42の村が、今後5年から10年の間に移転せざるを得ない状況にあります。
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