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人口減少地域におけるサーキュラーエコノミーの可能性

さまざまな取り組みとサーキュラーエコノミーが、日本の地方を活性化させる。

さまざまな取り組みとサーキュラーエコノミーが、日本の地方を活性化させる。 Image: Unsplash/Nguyen TP Hai

Makiko Eda
Consultant, World Economic Forum Tokyo
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本稿は、以下会合の一部です。 持続可能な開発インパクト会合
  • 日本では地方の人口が減少しており、地域経済の再設計が急務であると同時に、持続可能なサーキュラーエコノミーを浸透させる機会となっています。
  • サーキュラーエコノミーへの移行を積極的に進めるためには、地域経済の発展と持続可能性がカギとなることも広く認識されており、さまざまな企業はそのための一歩を踏み出しています。
  • サーキュラーエコノミーの促進に向けて、政府も対応を加速させます。

高齢化の進んだ日本では人口減少の流れは止まらず、また都市部への人口集中が必然的に地方の過疎化を招く中、地域経済の再設計は喫緊の課題です。

同時にそれは持続可能なサーキュラーエコノミーへの移行と再生可能エネルギーの採用を促進する好機ともなります。地域の豊富な天然資源を活用しながら、経済活性化のために革新的なアプローチを掘り下げることが重要です。

地域経済の活性化

地域の活性化は、経済に新たな息吹を吹き込むだけでなく、人口が減少する中でも、個人が豊かでサステナブルな生活を送る可能性を生み出すのです。また、国土の約 6 割、市町村数の半数近くが占める過疎化する中、荒廃する自然を守る、自然保全の観点の役割をも果たすこうした動きは、自然資源を放置せず、活用することによって生態系を確実に守ることにもつながります。

ネット・ゼロの目標を達成し、自然資本の再生をめざすネイチャーポジティブへの経済転換には、環境保護と経済成長を両立させる新しいモデルが必要です。そのためには、既存の経済モデルを地方から大胆に変えていくことが求められています。

地方再生のために政府が導入したふるさと納税は、個人による地方自治体への寄付制度として2008年に導入されてから地方経済の活性化に貢献しています。また、寄付額も毎年大きくなっています。

政府は2016年より企業版ふるさと納税を開始し、ヤフー株式会社はこの制度を通じて8つの地方公共団体のカーボンニュートラルに向けた取り組みに対して寄付を行っています。また同社は、これまでリサイクル率12年連続日本一を獲得した鹿児島県大崎町を寄附先に選んでいる、といったもあります。

再生可能な資源

世界経済フォーラムの「効果的なエネルギー転換の促進2023年報告書」が指摘するように、特に島国である日本では、再生可能エネルギーの最大利用がエネルギー転換の大きな柱となります。また、サーキュラーエコノミーへの移行を積極的に進めるためには、地域経済の発展と持続可能性がカギとなることも広く認識されており、日本では、様々な企業が一歩を踏み出しています。

サントリーは、山梨県や他の企業と連携し、グリーン水素製造システムの開発を目指しています。生産されたグリーンエネルギーは、その地域にあるサントリーの生産工場だけでなく、地域社会にも利用されています。

また、武田薬品工業、オリックス・エコ・サービス、JR貨物は、環境負荷低減のために協力。廃棄物処理を委託し、CO2排出量の少ない輸送手段に切り替えることで、ブリスター包装廃棄物を再資源化する日本初の事例を生み出しています。

また、新エネルギーとして水素が注目される中、日立は先進的な取り組みをしています。現在、水素社会の実現に向けて全国でさまざまな取り組みが進められていますが、その中でも重要な取り組みのひとつが、水素の製造・貯蔵・利用を一貫して行うサプライチェーンの構築です。日立は、水素サプライチェーンの構築に積極的に取り組んでいる宮城県富谷市を支援しています。

日本のユニコーン企業であるTBMは、石灰石(炭酸カルシウム)を主原料とした、リサイクル可能なプラスチックと紙の代替素材「LIMEX」を開発し、自国の資源を使用する資源自律モデルを追求しています。宮城県内に実質 100%の再生可能エネルギーで稼働する自社製造拠点を2つ持ち、Jリーグクラブであるベガルタ仙台とは循環型イノベーションの創出及び地域活性化への貢献を目的とする連携協定を締結

ホームスタジアムで使用されたLIMEX製カップを回収後に再資源化し、宮城県産木材の木粉を混ぜ合わせた人工木材製ベンチに再製品化する取り組みも行っています。

地域の活性化は、経済に新たな息吹を吹き込むだけでなく、人口が減少する中でも、個人が豊かでサステナブルな生活を送る可能性を生み出すのです。

江田麻季子、世界経済フォーラム日本代表

コラボレーションと総合的アプローチ

こうした動きをより活性化するには、一拠点、一産業の垣根を越えて価値創造をする必要があります。ここでデジタルの力や業界を超えた連携は必要不可欠です。

経団連は、以下のとおり提言しています。

「サーキュラー・エコノミー関連ビジネスへの取り組みは、一社だけでは限界があり、企業や業種の垣根を越えた連携が重要となる。資源の循環への取り組みはこれまで静脈産業を中心に進められてきたが、動脈産業を含むサプライチェーン全体、バリューチェーン全体に着目し、動静脈産業間や動脈産業同士の連携を深化させることが重要である。また、サーキュラーエコノミーの実現に向けては官民連携が不可欠であり、J4CE等の場を活かして対話を継続する」。

4月に開かれた主要7カ国首脳会議(G7広島サミット)でも、サーキュラーエコノミー実現に向けた取り組みの重要性が共有されました。また、企業の行動を促進するための行動指針が採択される中、岸田総理大臣は富山県射水市の資源再生に取り組むリサイクル施設を視察。

サーキュラーエコノミーの促進へ、経済産業省と環境省を中心とする産官学の協議体を立ち上げると表明。政府を挙げて対応を加速させます。

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