Global Risks

専門家が語る、効果的なリスク管理文化に必要な4つのこと

リスク管理担当者は、重視すること、しないことを理解するのに役立つフレームワークを開発する必要があります。 Image: JESHOOTS.COM on Unsplash

Kate Whiting
Senior Writer, Forum Agenda
Linda Lacina
Digital Editor, World Economic Forum
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本稿は、以下センター(部門)の一部です。 ニューエコノミーとソサエティ
  • 世界経済フォーラムの「グローバル・チーフ・リスク・オフィサー・アウトルック」は、世界規模の激変がまもなく起こると警鐘を鳴らしています。
  • 世界的な法律事務所、クリフォード・チャンスで初の最高リスク責任者(CRO)に就任したバヘア・ヘイウッド氏は、ポッドキャスト「Meet The Leader」で効果的なリスク管理とそれに必要なものについて語りました。
  • リスク管理に関するフレームワークを作り上げることの重要性から、テクノロジーへの対応まで、成功するリスク管理文化に必要なものとは。

消防士、調査官、外交官、そして悩みの相談相手。これが、最高リスク責任者に求められる役割であると、世界的な法律事務所、クリフォード・チャンス初の最高リスク責任者(CRO)であるバヘア・ヘイウッド氏は表現しています。

CROの役割は、企業が、今後の大きな課題を特定・評価し、それをモニタリングするためのシステム、フレームワーク、文化を備えることができるよう導くこと。気候危機から地政学的な不安定さまで、あらゆるものの影響をリーダーが評価する中、新たなリスクは猛烈なスピードで増大するとともに、かつてないほど複雑化しており、この職務の重要性はますます高まっています。

成長率やインフレ率といったマクロ経済指標は、今後6ヶ月間の最も大きな懸念事項です。
成長率やインフレ率といったマクロ経済指標は、今後6ヶ月間の最も大きな懸念事項です。 Image: World Economic Forum

ヘイウッド氏は、今年7月、世界経済フォーラムの「グローバル・チーフ・リスク・オフィサー・アウトルック(Global Chief Risk Officers Outlook)」第一版の発行に合わせて、当フォーラムのポッドキャスト「Meet The Leader」に登壇しました。同アウトルックは、世界中のリスク管理担当者の視点を集め、今後6カ月間で企業が最も懸念すべきことについてより深い理解を促すことを目的としています。

これらの懸念に優先的に対処するためには、リスクを管理する企業文化が育っている必要があります。ヘイウッド氏は、リスク管理の文化がうまく成り立つために必要な要素について、次のように見解を語っています。

構造とフレームワークを作り上げる

まず、リスク管理担当者は、重視すること、しないことを理解するのに役立つフレームワークを開発する必要があると、ヘイウッド氏は言います。

最も効果的にリスクを特定・評価・管理するための仕組み、方法論、構造を作ることを考えることが重要だと、同氏はCROにアドバイスします。

「本当に必要なのは、ビジネスにおけるリスクの所在と、それらのリスクがビジネスに与える影響を理解できるようなものを作り上げることです」

「フレームワークは、方法論の周りに一定の仕組みや構造を提供します。そして、具体的な行動についても構造を持たせることができます」とヘイウッド氏は加えます。

極めて単純に言うと、リスク管理とは行動計画であり、リスクに対処するために本当に実行しなければならないことの買い物リストなのです。

耳を傾け、発言する文化を築く

リスク管理担当者は、問題が発生したときに頼られる存在であることが多いと、ヘイウッド氏は言います。

問題とは、戦略的なものであったり、些細なものであったりとさまざまですが、チームが問題について相談し、舵取りの方法や解決策などアドバイスをもらうことができる人がいるということが非常に重要です。問題に対処するための会話は、ヘイウッド氏の仕事の生命線となっていると同氏は話します。

「何が起こっているのかを知らなければ、私は自分のビジネスに助言することはできません。問題を本当に理解できていないのですから」

社内に「発言する文化」を育むことで、雲行きが怪しくなる前に手を打ち、問題に確実に対処することができる、とヘイウッド氏。「組織に対する洞察を得るための鍵は、私のもとに集まる情報であり、それはたいていの場合、一方的に提供されるものです」

こうした状況を作るためには、人々と対話し、会話に参加し、ビジネスで何が起こっているかを理解することを通して、組織全体で信頼を築き上げることが不可欠です。「組織内で適切な人間関係を築くことができれば、すぐに付加価値を生み出すことができます」とヘイウッド氏は強調します。

チームのエンゲージメントを高め、説明責任を果たす

効果的なリスク管理を行うためには、潜在的な脅威や機会にチームが関心を持ち、自ら学んで、他の人々へ教えるレベルになる必要があります。これにより、ソリューションを共に創造するための賛同が得られるようになり、一人の人がチームの他のメンバーに対して話すような状況を避けることができるでしょう。

ヘイウッド氏は、同氏の組織のエグゼクティブ・リーダーシップ・グループ(取締役会に相当するもの)の各メンバーが、グローバルリスクの一つに対して説明責任を持ち、担当するようにさせることで、エンゲージメントの向上を促進しました。

各人にリスクが割り当てられ、そのリスクをグループの他のメンバーに説明しなければならないということになりました。「この時から、リスクに対して彼らは関心を向け始めました。リスクについて話し合おうと、私に電話がかかってくるようになったほどです」とヘイウッド氏。

「そして、そのリスクについてお互いに挑戦し合う雰囲気を作りました。彼らは、責任を負うだけでなく、実際にリスクを発表する必要があったので、興味を持つようになりました。自分が何を話しているのか知らなければならない状況に置かれ、同僚たちは彼らの発言に対して挑戦してきたのです」

「これは私にとって、非常に重要な瞬間でした」と、ヘイウッドは話します。

常に最新情報を把握し、積極的に行動する

リスク管理の専門家は、より良いリスク管理を行うために積極的に行動しなければなりません。そのためには、置かれている業界の動向を常に追いかけ、最新情報を把握することが重要です。

変化は極めて速いスピードで起きているため、それを把握するための時間を割く必要があります。

ヘイウッド氏は、経済的・地理的な変化を幅広く捉えることができる出版物や、法曹界に特化した出版物などを読んでいると言います。

中でも、テクノロジーの変化と、それが自分の業界にもたらす影響を常に把握しておくことは、特に重要です。

アウトルックレポートの調査対象となったCROは、全員、AI(人工知能)の開発と導入は、それがもたらす倫理的および規制上のリスクの管理が追いつかないほどのスピードで進んでいると答えました。

「テクノロジーを理解していなければ、リスク管理の専門家としてビジネスのリスクに対する正しい洞察を持つことはできません。私たちが行うすべてのことは、デクのロジーによりリードされるのです」

専門家から直接洞察を得ることも忘れてはなりません。「最高情報責任者(CIO)やIT部門の同僚に話を聞き、テクノロジーがどのように機能し、それがビジネスにどのような影響を与えるかをよく理解することが大切です」とヘイウッド氏は強調します。

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