起業家精神の活性化が、景気回復の鍵となる
私たちが共有するより良い未来のために力を合わせば、2023年は経済回復の年となるでしょう。 Image: Image: Zhang kaiyv on Unsplash
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ダボス議題
世界経済は、ポリクライシス(複合危機)に直面する中で、新たな転換期を迎えています。新型コロナウイルスのパンデミックと地政学的紛争は、過去3年にわたり、経済成長に悪影響を及ぼしてきました。世界経済フォーラムの、グローバルリスク報告書2023年版では、こうした紛争や地政学的緊張が、エネルギーや食料の供給不足、生活費の危機、債務返済の課題など、相互に関連し合う一連のグローバルリスクを深刻化させており、今後2年間は、こうした状況が持続する可能性が高いことを明らかにしています。中国と米国の緊張は緩和の兆しを見せているものの、不確実性はいまだ残ったままです。
一方、世界経済が大きな試練に直面している今、いくつかの主要経済指標は前向きな上昇傾向を示しています。主要国の景気は底堅さを維持しており、新興国も金融危機をなんとか免れています。欧州では、ガス価格高騰の負担が軽減され、所得の増加、消費の拡大、インフレ率の低下につながる明るい兆しも見えてきました。中国経済は、安定した順調なスタートを切り、第1四半期の経済成長率は前年同期比4.5%増と予想を上回りました。
世界はどこへ向かうのでしょうか。世界経済が回復するために極めて重要なこの時期、世界経済フォーラムの「ニューチャンピオン年次総会」が、6月27日(火)から29日(木)に中国の天津で開催されます。企業、政府、アカデミア、市民社会、国際機関から、1,500人以上のグローバルリーダーやイノベーターが一堂に会し、アジアや世界のイノベーションの加速の推進を目的とした議論を進めます。起業家精神の勢いを加速させ、世界経済を活性化し、新たな産業モデルとパートナーシップを確立し、世界経済をより公平で持続可能、かつレジリエントな未来へと導く方法を模索します。
このプロセスは容易な道のりではありませんが、私たちが共有するより良い未来のために力を合わせば、2023年は経済回復の年となるでしょう。安定性、透明性、持続可能性、政策の予測可能性は、社会的富の創造者でありイノベーションの推進する起業家の信頼を回復するために極めて重要です。一方、グリーン産業と革新的技術は、公正な移行を促進し、長期的に持続可能な成長を達成するために不可欠なものです。
世界第2位の経済大国である中国は、140を超える国・地域の主要貿易相手国であり、世界の物品貿易で最大のシェアを占めていることから、国際経済システムにおいて重要な立場にあります。2023年には中国経済の回復が見込まれ、IMFは、GDP成長率を5.2%と予測し、地域経済と世界経済の双方を押し上げるとしています。中国は、潜在的な生産性の伸び悩みや人口動態の変化といった長期的な課題に直面してはいるものの、グリーンで革新的な産業を発展させ、包括的で持続可能な成長を促進することで、こうした課題をチャンスに変える十分な力を備えています。
中国は、2030年までに、炭素排出量をピークアウトさせ、2060年までに、カーボンニュートラルを実現することを目指していますが、この目標の達成は極めて困難で、多大な努力を伴います。世界的には、地政学的紛争、エネルギー危機、産業のデカップリングといった要因が、ますます気候アクションの妨げとなっています。このような状況において、国際協力は特に重要です。
気候変動に対処するためには、国境、分野、業界を越えた協力のために、世界的な資源を動員する必要があります。多くの中国企業は、世界経済フォーラムのイニシアチブと連携し、気候変動対策を推進しています。
各国の景気が回復し、物価が安定するにつれ、鬱積していた消費者需要は解き放たれつつあります。パンデミックは消費習慣のシフトを加速させ、あらゆる分野に大きな影響をもたらし、ビジネスの未来と消費の展望を形作りました。パンデミックの影響を最も受けた小売業やサービス業は、消費習慣の変化に適応しながら、消費ブームに備える必要があります。
世界経済フォーラムは、世界の工場の中から第四次産業革命をリードする最も先進的な工場を認定しており、この認定を受けた最先端工場を「ライトハウス」と呼んでいます。2018年以降、150の工場がライトハウスに選定されており、そのうち50が中国の工場です。これらの企業は、先端技術を、戦略計画、生産プロセス、顧客管理、サプライチェーン、アフターサービスに組み入れています。また、AI(人工知能)、量子コンピューティング、バイオエンジニアリングなどの新興テクノロジーは、無限の機会をもたらすと同時に、新たな検討課題でもあります。
世界経済フォーラムのチーフエコノミスト・アウトルック2023によると、予測不可能な未来をうまく舵取りするためには、各国が協力し、環境の変化に適応していく必要があることを強調しています。この目標の達成には、官民および東西の対話の確立と強化、ステークホルダーの参画の促進、起業家精神をアイデアの段階から実行へと移行、そして、より大きな規模で前向きな変化を実現することが不可欠です。
中国の劉鶴元副首相は、今年1月、ダボスで開催された世界経済フォーラムの年次総会で、世界に対する開放が、改革と発展、そして中国の経済発展を推し進める鍵であり、中国の扉は今後さら開かれていくと強調しました。世界経済フォーラムは、東洋と西洋の架け橋となり、理解を深め、協力を加速させ、対話を強化し、対立を緩和して、より良い世界の実現に貢献するため、引き続き取り組みを進めていきます。
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