2023年は、史上最も暑い年になる?
記録的な猛暑は、過去8年間連続して更新され続けています。 Image: Unsplash/raimondklavins
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気候変動
- アメリカ海洋大気庁(NOAA)によると、南半球では4月は記録上最も暖かかっただけでなく、過去最も暖かい月となりました。
- 今年は、多くの国で最高気温の記録が更新され、気候科学者によると、2023年は観測史上最も暑い年になる可能性があります。
- 炭素排出量の増加と気候変動がこの予測の主な要因である他、予想されているエルニーニョ再来も理由の一つとなっています。
ベトナム、ポーランド、スペイン、中国、ラトビア、ミャンマー、ポルトガル、ベラルーシ、オランダ、タイ・・・これらの国は、今年、すでに気温が過去最高を記録した国のほんの一部です。
アメリカ海洋大気庁(NOAA)によると、南半球では4月は記録上最も暖かかっただけでなく、過去最も暖かい月となり、この月の平均気温は、20世紀の平均を0.9℃上回りました。
そして、NASA、NOAA、日本の気象庁、EUのコペルニクス気候変動サービス(C3S)によると、今年の3月は世界的に史上2番目に高い気温を記録した月となりました。
C3Sは、北アフリカ、ロシア南西部、アジアの大部分をカバーする広大な土地で、平均気温を大きく上回り、3月の高温新記録が多数更新されたとし、「北アメリカ北東部、アルゼンチン、近隣諸国、オーストラリアの大部分と南極大陸沿岸部でも平均を上回る気温が発生した」と述べています。
2023年に史上最高気温が記録される?
世界気象機関(WMO)が、今後5年の間に世界の気温が産業革命以前の水準から1.5℃以上上昇する可能性が高いと初めて発表するほど、気候変動の影響が大きく現れてきています。
エルニーニョ現象の再来が予想されることも、大きな要因の一つです。WMOは、この組み合わせにより、今後5年の間に世界の気温が史上最高を更新するとし、他のさまざまな機関の気候科学者は、早ければ今年か2024年にもこれが起こりうると述べています。
スペイン語で「小さな男の子」を意味するエルニーニョとは、海面水温の上昇によって太平洋のジェット気流が中立位置から南に移動すること。これにより、米国北部とカナダの地域が通常より暖かくなる気象現象が起こるとNOAAは述べています。
「エルニーニョ現象は、通常、地球規模の記録的な気温上昇を引き起こします。今年や来年、この現象が起こるかどうかはまだわかりませんが、その可能性は高いでしょう」と、C3Sのディレクターを務めるカルロ・ブオンテンポ氏は話します。
強力なエルニーニョ現象が発生した2016年は、世界が記録的な暑さを経験した年でした。そして、過去8年の間に、世界は最高気温を毎年記録しています。この傾向は、以下のチャートが示すように、CO2排出量の上昇と一致しているのです。
そして、今年は、エルニーニョ現象とCO2排出量の増加が重なる見込みです。国際エネルギー機関(IEA)によると、世界のエネルギー関連CO2排出量は、昨年0.9%増の36.8ギガトン以上となり、過去最高を記録しました。米国のエネルギー関連CO2排出量は今年も増加し、中国のCO2排出量は2023年の第1四半期に過去最高を記録すると予測されています。
気象学者のスコット・サザーランド氏は、「今後発生するエルニーニョの発達の早さとその強さによっては、2023年12月末までに、過去の記録的な気温を簡単に上回るかもしれません」と予測しています。「過去、特に2015年と2016年のパターンに基づけば、来年はさらに気温が上昇する可能性が高いでしょう」
すでに過去最高記録の更新が始まっている2023年
3月の気温の急激な上昇は、赤道太平洋の海面水温の上昇が一因であったとサザーランド氏。
そして4月、世界の海洋温度は長期平均を0.86℃上回り、新記録を樹立したとNOAAは指摘しています。「これは、2016年1月に観測された記録的な暖かさの海水温にわずか0.01℃及ばず、史上2番目に高い月の海水温となりました」と付け加えています。
他には、ベトナムでは44.1℃強、ミャンマーでは43.8℃と、ここ10年で最も高い気温を記録し、スペインとポルトガルでは一部の都市で4月の気温記録を更新しています。そして、ヨーロッパの多くの国々では、今年1月に過去の同月の記録を塗り替えています。
また、5月中旬には、アメリカ西部とカナダで、通常7月下旬に記録される気温を上回る気温が発生し、山火事が起きました。科学者の独立団体であるクライメート・セントラルによると、記録的な気温の上昇は、大気が海の熱気を閉じ込める蓋を形成する「ヒートドーム」と呼ばれる気象システムがこの地域を襲っていることが原因です。
世界経済フォーラムのグローバルリスク報告書2023年版によると、異常気象は、今後2年間に世界が直面する危機のトップ10のうち2番目となっており、今後10年間では3番目に大きなリスクとなっています。そして、今後10年間の最大のリスクに、気候変動の緩和策の失敗が挙げられています。
「2014年のたった1日の暑さで、オーストラリアでは45,000匹以上のオオコウモリが死ぬなど、熱波や干ばつは、すでに大量死を引き起こしている」と報告書は指摘。「洪水、熱波、干ばつ、その他の異常気象が、より深刻で頻繁に起こるようになると、影響がより広範囲に及ぶようになります」
世界経済フォーラムは、各国のエネルギーシステムの見直しを加速し、地球温暖化を産業革命前より1.5℃未満に抑えるために必要な産業界の行動を支援するため、「CEO気候リーダーアライアンス」、「産業クラスター:ネット・ゼロ・チャレンジ」、「低炭素排出技術イニシアチブ」など、多くのイニシアチブを立ち上げています。
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