働き方の未来

未来の働き方:「新しいラーニングエコノミー+能力開発の公平性」が成功の方程式である理由

企業が新しいラーニングエコノミーの利点を十分に活用するためには、能力開発の公平性を優先する必要があります。

企業が新しいラーニングエコノミーの利点を十分に活用するためには、能力開発の公平性を優先する必要があります。 Image: Unsplash/Annie Spratt

Stephen Bailey
Co-Founder and Chief Executive Officer, ExecOnline
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  • ビジネスの世界は、新型コロナウイルスの感染拡大や社会不安、より良いワークライフバランスを求める従業員の離職などにより、大きく混乱しています。
  • ビジネスリーダーたちは、変化することが「ニューノーマル」であることを認識し、成功のためには新しいラーニングエコノミーを取り入れる必要性に気づかなくてはなりません。
  • 能力開発の公平性は、全ての従業員が機会を平等に得て、そのポテンシャルをフルに活かすために、極めて重要です。

経済に関する最近の話題のほとんどは、新型コロナウイルスの感染拡大による影響がもたらした不確実性や、長引く社会不安、多くの国で従業員が個人の成長とウェルビーイング(幸福)のより良い機会を求め離職していることによる企業の人員不足による影響など、誰もが予想するような内容です。

これだけの不安材料があっても、最近のニューヨーク・タイムズの記事は「最悪の事態はまだこれからだ」と述べています。不安をあおるような予測ですが、チャンスのある分野も存在しています。こうした不安定な社会を作り出している要素が、私が「新しいラーニングエコノミー」と呼んでいる新しい形態に移行する土台を築いているのです。

ここ数年、事業を素早く方向転換し、変革するといった能力を持つ人や企業が注目されるようになってきました。大半のビジネスリーダーたちは、変化が「ニューノーマル」であることを自覚するようになったのです。

刻々と変化する状況が、新しいラーニングエコノミーを促し、未来の働き方を定義しています。リーダーたちは、絶えず変化する状況において最善の態勢を整えようとしていますが、その中で自分たちが何を、そして、誰を、見落としているのかに、気づいていない可能性があります。

新しいラーニングエコノミーとは

新しいラーニングエコノミーでは、学習と変化のスピードの間に最大の機会が存在すると考えます。このことは、専門家を育成することがいかに重要かという点に大きく関わってきます。

新しいラーニングエコノミーは、組織にどのようにメリットをもたらすのでしょうか。
新しいラーニングエコノミーは、組織にどのようにメリットをもたらすのでしょうか。 Image: ExecOnline

最も重要なのは、競争で勝ち抜くための態勢をどれだけうまく整えられるかは、企業がいかにテクノロジーを活用し、これまで以上にインパクトのある公平な方法で質の高いトレーニングや能力開発を従業員に提供できるかによって、決まるということです。

新しいラーニングエコノミーにおいては、変化のスピードを上回るスピードで学習を継続できれば、優位に立つことができます。ほかの経済モデルと同様に、新しいラーニングエコノミーは幾つかの目標に向かって動いています。

成長:企業が成長するためには、従業員の能力向上をどれだけ適切に支援することが重要であり、その目的は、アジリティや適応力の向上といった企業のニーズに、従業員が貢献できるようにすることにあります。

雇用:能力開発に対する市場の需要を満たせば、雇用主は、既存の従業員を定着させ、成長目標に対する評価と支援を望む新しい人材も引き寄せることができるため、コスト削減に繋がります。


安定性:不況下では、能力開発の優先順位が下がりがちですが、費用対効果の高い方法でアクセスを民主化かつ拡大する枠組みを確立すれば、長期的な持続可能性がもたらされます。

能力開発の公平性とは何か、なぜそれが重要なのか

私は弁護士として働き、その後企業に移りましましたが、そのときに「肩をポンとたたく」ことの持つ力を知りました。一見、簡単そうに見えるその行為が、経営幹部のパートナーやその一員になる近道だったのです。

しかし、リーダーシップの研修やストレッチプロジェクト、経営幹部との面談に抜擢される人たちは、往々にしてその経営幹部と似たような顔ぶれになっています。

ビジネスリーダーたちは、多様なバックグラウンドを持つ候補者の採用や昇進に際して、「パイプラインの問題」を嘆きます。しかし、彼らに必要なのは、仕事の成長を促す明確で客観的な手段を通じ、候補者をどれだけ支援し、力を与えることができるかを検討することです。

このような能力開発の公平性の欠如、つまり過小評価されているグループの人々がキャリア向上のための正式な能力開発の機会を平等に与えられていないことは、新しいラーニングエコノミーにおいて、組織がその人材や職場のポテンシャルを十分に活用できていないことを意味します。

多様性のあるチームとリーダーたちを持つことの利点は、多くの研究で明らかにされています。イノベーション、市場シェア、収益の拡大は、そうした利点のほんの一部に過ぎません。しかし、理由はほかにもあります。それは、2020年の春以降目にしてきた人間中心の変化に根ざしたものであり、多くは「代表」という一語に要約することができます。


リーダーたちとチームは、少なくとも、組織が接触しようとする人材を熟考する必要があります。人口は変化しており、特にグローバル企業では、人種・民族、ジェンダー、年齢だけでなく、文化的基盤、言語、信仰などの多様性に留意しなければなりません。

ビジョンのあるリーダーたちは、能力開発の公平性を実現する方法を見出しています。また、組織内のあらゆるレベルのあらゆるバックグラウンドを持つリーダーたちを包摂し、その昇進を可能にする職場文化を創り出しています。レジリエント(強靭)で状況に応じて対応できる労働力を構築する基盤になるのは、安全で支援体制の整った職場環境づくりを志向する、共感力のあるリーダーシップです。

企業に求められる、未来の働き方に向けた備え

変化が「ニューノーマル」であるならば、未来の働き方に必要なのは、これまでにない視点や、アジリティに対する経験と能力を持つリーダーシップです。こうしたリーダーシップは、自分自身や他人をどのように捉え、どう優先させるかというヒューマニズムの変化に立ち返り、継続的な学習と能力開発の機会の必要性に注意を向けます。

組織は、具体的に3つの領域において、そのアプローチをより戦略的にできます。

手段:専門能力の育成に必要なシステムやツールに適切なリソースを投資するだけでなく、能力育成の経験を目的のための手段として重視する学習文化の創出すること。つまり、従業員が自助努力でプロフェッショナルとしてさらに成功することを目的に、それに必要なものを習得することを重視する文化をつくりあげることです。

モダリティ:情報を習得、定着させる方法は人それぞれなので、ライブやオンデマンドのコース、伝統的、試験的な形式、コーチングへのアクセスなどを組み合わせて提供します。包摂性の精神においては、能力開発のための指導言語を選択できるように複数用意することも重要です。

測定:測定していないものを管理することはできません。能力開発の公平性とリーダーシップ全体の育成の両方において、基準値を定め、目標を掲げ、マイルストーンに向けた進捗を追跡しなくてはなりません。

変化のスピードは加速しています。近い未来、「現状維持」では生き残れなくなるだけでなく、一歩あるいはそれ以上の後れをとることになるでしょう。同様に、一部の従業員に何らかの学習・育成体験を提供することで、新しいラーニングエコノミーの参加者になることもできます。

ただし、能力開発の公平性を優先し、アジリティと能力を組織全体で全面的にサポートするための必要な変化を起こさなければ、未来の働き方における組織の成功の可能性を完全に逃してしまうことになるでしょう。

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