Climate Action

多くの猛暑、洪水、干ばつ、山火事に脅かされる子どもたち

THERE IS NO PLANTE B. Global climate change strike - No Planet B - Global Climate Strike 09-20-2019, 子どもたち

「私たちはドラスティックに変化し、気候変動問題を深刻に受け止め始めなければなりません」 Image: Unsplash/Markus Spiske

Inger Ashing
Chief Executive Officer, Save the Children International
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COP26への道

本稿は、以下会合の一部です。Forum COP26 Live
  • 気候危機が、子どもたちの権利を脅かしています。
  • 地球温暖化により引き起こされる異常気象の被害を、まず最初に、そして最悪の形で受けるのは子どもたちです。
  • 2020年に生まれた子どもたちは、祖父母世代よりも気候危機に苦しむ人生を送ることになるでしょう。

気候危機は、私たちの世界を根本的に、そして、取返しがつかないほど大きく変えようとしています。これは、子どもの権利が脅かされる事態であり、国境や世代を超えて深まる不平等により、最初に影響を受けるのも、最悪の被害を受けるのも子どもたちなのです。

世界中の子どもたちが、自分たちに責任のない問題を背負わされています。セーブ・ザ・チルドレンによる最新のレポート「気候危機時代に生まれて:子どもたちの権利を守るために今すぐ行動しなければならない理由(Born into The Climate Crisis: Why we must act now to secure children’s rightsの中では、危機的な気候変動が今子どもたちに与えている影響、そして、将来の世代に与える影響を明らかにしています。

気候変動が子どもたちに与える影響

本レポートでは、ブリュッセル自由大学(VUB)が主導する気候研究の第一人者たちによる国際チームと共同で実施された新しい調査結果が報告されていますが、この調査によると、2020年に生まれた子どもたちは気候危機による影響を、祖父母世代よりもはるかに数多く、そして深刻なレベルで受けるだろうとされています。

パリ協定の排出削減に関する誓約(Paris Agreement’s emission reduction pledges)の新しいデータによると、2020年生まれの子どもたちは1960年生まれの人に比べ、生涯で山火事に遭遇する回数は平均で2倍多く、穀物不作に遭遇する回数は約2.8倍、干ばつに遭遇する回数が約2.6倍、洪水に見舞われる回数が2.8倍、猛暑を経験する回数が6.8倍であることが示されています。

気候危機がもたらす深刻な影響により、最も重い負担を背負わされることになるのは、皮肉なことに気候変動の要因となる影響を与えていない低中所得国の子どもたちです。紛争地で生きる子どもたち、新型コロナウイルス感染拡大の影響を最も深く受けている子どもたち、不平等と差別に直面している子どもたちなど、最も弱い立場にある子どもたちにとって、気候変動の影響は状況を悪化させる原因となるでしょう。権利や基本的サービスへのアクセスもまた、リスクにさらされることになります。

事態を好転させるための時間の猶予はまだありますが、今すぐ行動しなければなりません。

2020年生まれの子どもたちがさらに遭遇すると予測されるリスクを、パリ協定誓約(Paris Agreement pledges)のもと気温上昇を1.5°Cに抑えることにより減少させられる可能性。 Image: Save the Children

地球の温度を低く保つ

同じデータによると、地球温暖化が産業革命以前の水準に比べて1.5℃の上昇までに抑えられれば、2020年生まれの子どもたちが遭遇するリスクを減少させることができます。それらのリスクは、猛暑で45%、干ばつで39%、洪水で38%、穀物不作で28%、山火事で10%減少すると示されています。

異常気候がもたらす深刻な事態に遭遇するリスクを下げることは、子どもたちが基本的サービスを受ける上で極めて重要です。より多くの子どもたちが学校をやめずに済み、栄養失調率の増加が回避され、最終的には、世界で最も弱い存在である子どもたちの命と未来が救われます。

気候変動に最も責任を負うべき高所得国には、果たすべき極めて重要な役割があります。その鍵を握る5つの適応エリアに、世界規模で10年間に1.8兆ドル投資すると、合計7.1兆ドルの純便益を生み出すことができます。

プランニングの中心に子どもたちを

子どもたちへの投資は、経済的に健全なことでもあります。子どもたちが気候危機の根本原因に対処し、その影響に適応するための知識を身につけながら成長できるようにするためです。子どもたちは繰り返し私たちに語りかけています。気候変動問題によって自分たちがどんな影響を受けているか、行動を起こすことがいかに急務であるか、解決策の模索にどのように関わりたいと考えているか、ということを。

「気候変動は危機的な問題です……その影響を受けている地域では子どもの教育に混乱が起きています。」

スリランカの15歳の少女、ディルマニ氏

現在、そして未来において、子どもたちの権利は直接的かつ不均衡に脅やかされ、気候問題に関する運動を主導しているのは子どもたちであるにも関わらず、気候変動に関する議論、政策、サミットなど、あらゆるレベルにおいて、子どもたちはいつも除外され、見過ごされています。

前進するためには、子どもたちの声が届いていることを私たち全員が確かにする必要があります。英国のグラスゴーで開催されている国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)のような、グローバル・サミットも例外ではありません。

子どもたちのために変化を起こすチャンスは、すぐに過ぎ去ってしまうでしょう。気候変動対策と資金調達へのコミットメントは依然として不十分であり、世界のリーダーたちが今すぐに、想いと行動をスケールアップさせなければ、現在そして未来の子どもたちが苦しむことになります。

「私たちはドラスティックに変化し、気候変動問題を深刻に考え始めなければなりません。目標を達成し、未来を救うチャンスを手にするためには、今すぐ行動を起こす必要があります。私たち子どもは気候科学者ではないかもしれませんが、大事なことを理解しています。それは、今すぐ行動しなければならないということ。」

ノルウェーの14歳の少年、エマニュエル氏

地球温暖化を抑えるには、各国政府がパリ協定の次の5年サイクルに取り組むスピードを上げることが必須です。子どもたちが気候変動によりよく適応し、気候変動問題がもたらすショックから回復できるよう、各国政府が子どもたちを中心に据えた気候変動対策のために資金を用意すること、さらには、子どもたちとそのコミュニティに社会的保護と支援を提供することも不可欠です。

政府と共に民間セクターもまた、地球と将来の子どもたちを守るために、持続可能でカーボン・ニュートラルな経済への移行をリードするという、重要な役割を担っています。そこには化石燃料依存からの脱却と、よりグリーンな仕事の創出が含まれます。

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