「男女平等は重要」にYESと言えない男性たち 賃金格差にも気づかぬ男性7割
Image: Pexels/Fauxels
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持続可能な開発目標5: ジェンダー平等の実現
「男女平等は公正な社会にとって重要である」に同意すると答えた人の割合は、APAC平均7割近くに対し、日本では5割未満、とりわけ日本人男性では36%と著しく平均を下回っている —— 。
国際女性デーとなる3月8日、リンクトイン・ジャパンが2018年から実施している、仕事に対する意識調査(Opportunity Index)を発表した。 そこから見えてきたのは、日本が男女平等の意識において、アジア太平洋諸国(APAC)に大きな差をつけられている現実だ。
(調査対象国:オーストラリア、中国、インド、日本、マレーシア、フィリピン、シンガポール/調査サンプル:1万234人)
「男女平等は重要」だと考える日本男性は36%
日本と他国で大きく差が出た質問の一つが「男女平等は公正な社会にとって重要である」に対する回答だ。APAC平均は7割近くが「同意する」と答えた一方、日本では5割を下回る結果に。
さらに内訳をみてみると、日本でも回答の男女差が顕著に出ていることがわかった。男性は「同意する」が36%と、女性の52%を16ポイント下回った。
同じく「政治家はもっと男女平等のために取り組むべきだ」は男性が「同意する」に35%と、女性を17ポイント下回り、APAC平均に対して足を引っ張っている。
ゲストとして参加したエール取締役の篠田真貴子さんは、まだジェンダー平等に関する日本の意識は低いものの、その変化は過渡期ともいえるのではないか、と語った。
「森喜朗氏の(女性蔑視)発言をきっかけに、働く場所における女性活躍が大きな議論になった。あの発言の背景には、何か構造的な問題があるのではないか?と多くの人が考えるようになったのは、今までにはなかったことだと思います」
”「女性の賃金は男性より低い」意識にも男女差が
他の質問でも、男女差が顕著に現れたものもあった。「自分の職業/仕事では、同じ立場の男性の給料は女性と比べて高い」と回答したのは、男性では30%だが女性は40%という結果に。
実際には、男女間の賃金格差は歴然と存在している。
厚生労働省が発表している「賃金構造基本統計調査」によると、2018年時点で女性の賃金は男性の7割程度。この背景には、そもそも管理職に就く女性の割合が低いことや、女性の方が勤続年数が平均して短いことなどが挙げられている。
リンクトイン日本代表の村上臣さんは、こう語る。
「日本の男性は、男女の賃金格差にまだ気づいてないのでは。女性が今置かれている現状を、女性のみならず、男性も傾聴して、アライ(支援者)になっていくことが重要」
人生で成功するために必要なのは? —— 日本人「運」
調査の中には「人生の成功のために必要なことは?」と言う質問も。APAC諸国と比較して、日本が突出して高いのは「運」という要素。これは過去の調査でも同様の結果だったという。
また、他国で成功に必要な条件としてランキング上位に入った「社会的平等(機会へのアクセス)」と「仕事に意欲的であること」は、日本ではいずれも女性が高く、男女間で10ポイントの差がついた。
裏を返せば、仕事への意欲や機会へのアクセスがないと成功できない、と女性の方がより大きな危機感にさらされている、と言い換えることもできるだろう。
昇進チャンスも他国と比べて女性は低い
性別による昇進チャンスの違いも、政府統計などを裏付ける結果になった。
APAC諸国では男性の方がチャンスが多いと考える割合は36%だったのに対し、日本では10ポイント上回る46%が「男性の方が昇進を優遇されている」と考えている。
こうした意識を変える努力を企業側から進めて行かなければ、政府が目標とする「女性管理職割合3割」を達成することは難しいだろう。
前出の篠田さんは、ジェンダー平等を推進するために、まず前提知識を共有した上で議論をスタートさせることが大切だ、と指摘した。
「ジェンダーや女性の働き方に関わる研究は社会学や心理学など、すでに、さまざまなものが発表されています。そうした知識なく自分の経験則だけで話を進めてしまうと、国民全体の議論の土台ができない。今、すでに分かっていることを真摯に学ぶことから始めるのが重要ではないでしょうか」
”*この記事は、Business Insider Japanの記事を転載したものです。
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