Davos Agenda

パンデミック後の経済に、新しい労働市場を形成するには

A humanoid robot works side by side with employees in the assembly line at a factory of Glory Ltd., a manufacturer of automatic change dispensers, in Kazo, north of Tokyo, Japan, July 1, 2015. Japanese firms are ramping up spending on robotics and automation, responding at last to premier Shinzo Abe's efforts to stimulate the economy and end two decades of stagnation and deflation. Picture taken July 1, 2015. REUTERS/Issei Kato - GF10000147193

Image: REUTERS/Issei Kato - GF10000147193

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  • 新型コロナウイルスのパンデミックと加速するテクノロジーの導入は、労働市場に「二重の混乱」を引き起こす危険性があります。
  • 各国政府とビジネスリーダーたちは、未来の仕事において労働者の活躍を支える新しい労働市場を形成するために、今、行動を起こさなければなりません。

10年間かけて作り上げられてきたものが、数か月のうちに崩れ去りました。それは、まるで違う時代の出来事のようでした。2020年初頭までの10年間、世界の先進諸国における失業率は低下の一途を辿っていましたが、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)をきっかけに、OECD諸国の失業率は2月から4月の間に3.6ポイント上昇、8.8%となり、この10年で最も高い失業率となりました。その後、OECD諸国の失業率は低下しましたが、2022年まではコロナ以前のレベルを上回る状態が続くだろうと考えられています。

一方、パンデミックは今も世界中で生命と暮らしに壊滅的な被害を与え続けており、ワクチンの接種が開始され、普及するまでにはまだしばらく時間がかかる見込みです。

この健康危機が続く中、雇用への影響は長期化する恐れがあります。さらに、テクノロジーの導入が加速すれば失われる仕事も増えるとみられ、労働市場に「二重の混乱」が生じる危険性があります。その一方で、今後5年間、全体としては雇用創出が失業を上回ると予測されています。グリーンエコノミー、ケアエコノミー、教育などの分野での需要パターンの変化と新たなテクノロジーの活用、そして、すべての業界および分野におけるデータとAIの新たな役割により、新たな雇用が生み出されると考えられているのです。

2021年以降の新たな労働市場を形成に向けて、未来の仕事における労働者の活躍を支援するため、政府やビジネスリーダーたちはまずどのような取り組みに着手するべきでしょうか。

失われた世代を生み出さないためには、包括的な政策が必要です。そのために無駄にできる時間は一秒もありません。

アンヘル・グリア氏、クラウス・シュワブ

復興フェーズへの準備:収入、技能、雇用に対する公的支援

パンデミックによって引き起こされた経済的課題への即時対応は、前例を見ないものでした。世界中の政府が世界経済に数兆ドルもの資金をつぎ込み、フル稼働できない分野の企業や労働者に必要な、短期支援を提供しました。OECD諸国全体で入手可能なデータによると、ピーク時には従業員の約5人に1人が短時間労働制度を活用していました。

パンデミックの拡大が続く限り、各国政府は一部の緊急措置を継続していかなければなりません。人々を取り巻く状況の変化に細やかに対応できる所得保護制度を定め、すべての職場で人々が仕事に復帰できるよう適切な労働安全衛生を促進し、「ギグワーク」や非正規雇用の労働者など、支援や保証の対象に最もなりにくい労働者の社会的保護を強化する必要があるでしょう。

政府は同時に、よりレジリエントで包摂的な復興への基盤を築いていく必要があります。また、中期的な視点から、労働者の準備を整え、有望な人材を、新しい、成長する見込みのある仕事や専門職に再配置することにも目を向けなければなりません。

政府が、政策を通じてこの課題を支援する方法には、補助金、対象を絞った減税、投資プログラムによる再教育と雇用創出などがあります。より多くの非標準的な雇用形態の労働者が対象となるよう、社会的保護の規定を見直すこともそのひとつです。また、かつてない数の求職者に対するリスキリング(新たな学び)と、衰退する職業から新興または成長見込みのある職業への転職の支援には、官民の職業あっせんサービスの拡大が求められます。

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リスキリング(新たな学び)とアップスキリング(技能向上):ステークホルダー資本主義に向けた喫緊の課題

変化する労働市場のニーズを満たすためには、2025年までに、現在雇用されている労働者の50%のリスキリング(新たな学び)が必要になると推定されています。これには、ミッド・キャリアにおけるリスキリング(新たな学び)とアップスキリング(技能向上)の大幅な拡大が必要です。企業にとっても大きな投資対効果があり、3人に2人の雇用主は1年以内に見返りが得られると予想されます。

質の高い仕事、公正な賃金制度、能力ベースの管理制度に対する雇用主のコミットメントは、学習アジェンダへの取り組みを奨励し、補完することができます。自動化されていくリスクが高い仕事に就くOECD諸国の労働者は、そのリスクが低い労働者に比べ、成人学習参加率が30%低い状態が続いています。

この危機により、雇用主が労働者にオンライン学習を提供する機会は5倍に、自らの意思でオンライン学習を求める個人の数は4倍に増加しました。しかし、企業や経済が回復していく中で、労働者を支援し、十分な人材を確保するためには、これらの取り組みをさらに加速させ、調整していく必要があります。リスキリング革命プラットホームでは、政府、企業、社会のリーダーたちが集結し、2030年までに10億人により良い教育スキルと雇用を提供することを目指しています。

未来の労働市場に誰ひとり取り残さないために

この危機は、すべての人に等しく影響をもたらしたわけではありません。最も打撃を受けているのは、女性、若者、少数民族、低所得労働者です。若者は、試験制度の変更や大学の閉鎖という問題に直面しています。さらに、雇用が鈍化する中、これから労働市場に参入しようとしている若者の前には、新入社員募集やインターンシップ、見習生制度などの減少という現実が立ちはだかっています。所得水準の高い労働者は、仕事の場を自宅へ移すことができましたが、低所得労働者はほどんどの場合、そうできないのが現状です。

失われた世代を生み出さないため、そして、すでにままならない学習や就労を強いられている人々がさらなる不利益を被らないよう、今すぐに、包括的な政策を実施する必要があります。官民を問わず、再構築を進める取り組みは、パンデミック後の労働市場が社会のすべての層にとっての正義と公正を備えたものとなることを、保証するものでなければなりません。

2021年の国際連携は、レジリエンス(適応、回復できる力)、インクルージョン、持続可能性を中心に据えたものでなくてはなりません。特に重要なのは、官民の政策とアクションのさらなる連携です。OECDと世界経済フォーラムは、力を合わせてこれらの課題に取り組み、すべての人にとってより良い「仕事の未来」を構築する支援を行っていきます。

この記事はザ・ストレーツ・タイムズからの引用です。

詳細はOECD Tackling Coronavirus (Covid-19): Policy Hubをご確認ください。

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