COVID-19

感染症の世界的流行からの包括的な復興における社会的企業の役割とは

コンゴ民主共和国:地域社会の代表者による戸別訪問

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Maitreyi Bordia Das
Responsable Programmes mondiaux, pôle Développement urbain, gestion du risque de catastrophe, résilience et foncier, Banque mondiale
Elaine Tinsley
Operations Officer, Innovation Labs, World Bank
Ibrahim Ali Khan
Consultant, Global Partnership for Results Based Approaches, World Bank
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「持続可能」や「包括的」といった言葉は、新型コロナウイルス感染症への対応や世界的流行からの復興に向けた積極的な介入に対し、共通して(しばしば漠然と)使われている。「包括的な復興」とは何を意味するのか。ここでは、成果連動型融資を通じた社会的企業による取り組みを考察する。

新型コロナウイルス感染症の世界的流行発生時、ほとんどの政府が不意を突かれた状態だった。各国政府はどのような対策が効果的であるかわからないまま、都市封鎖や厳重な規制など最善と思われる対策に奔走した。一方で、地域社会の人々や各世帯は、生活を維持するために食料や水、情報、保健などのサービスを必要としていた。そのような人々を救ったのが、近隣のつながりや地域の組織だった。しかし、そのような地域組織の多くが社会的企業であることはあまり知られていない。

新型コロナウイルス感染症がアジア、アフリカ、そして世界各地で猛威を振るう中、社会的企業は、寸断されたサプライチェーンに対処するため、既存のノウハウやネットワーク、影響力を活かし、需要を見極めて家庭、地域、地方自治体をつなぐ役割を担った。その活動は食料品マスク、衛生用品の配布から地域食堂の運営病院への搬送など多岐にわたる。ほかにも、インフォーマルな居住地域の入口に手洗い場を設けたり経済危機に対して最も脆弱な世帯や非正規労働者に現金を給付するような活動もある

インドのデリーを拠点に積極的な救援活動を行った、グーンジという社会的企業を例に挙げてみよう。グーンジはボランティアやパートナー組織による幅広いネットワークを活かし、インド全土の20万世帯以上に食料を届けた。こうしたグーンジのような事例は、世界中で数多くある。インドの農村地域の生活必需品へのアクセス改善に取り組むロジスティモのサービス「タスカー」は、新型コロナウイルスの流行下においても医薬品や日用消費財の配達を行うための承認を得て、インドの農村部においてサービスを継続させている。ガーナやルワンダでは、ジップラインがドローン(小型無人飛行機)を使用し、個人用の防護具など感染症対策に不可欠な医療用品や物資を配っている。

つまり、新型コロナウイルス感染症による危機が国家や市場を混乱させる中、社会的企業は、地域社会や自治体のパートナーとして支援してきたのである。社会的企業には、コミュニティ目線の解決策を提供してきた長年にわたる経験と、脆弱層に重要な物資を届けるノウハウがあるため、このような状況の中で効果的な対策を取ることができる。また、社会的企業は地域に根付いているため、アクセスが困難な地域にも必要性の高い支援を届けることができる。

また、社会的企業は人道支援だけでなく、政府と連携しながら必要なサービスを提供する方法も示してきた。例えば、ライフ・バンクエムダース・グローバルは、ナイジェリアに複数のコロナウイルス感染症の検査場を設けている。エネザ・エデュケイション40ケイ・プラスなどは、スマートフォンや高速インターネットを使えない学生に向けて、テキストメッセージを用いた教育コンテンツを提供している。

社会的企業はさらに、新型コロナウイルス感染症の流行で需要が高まったマスクの生産や、必要不可欠な事業にビジネスの軸足を移すことによって、雇用機会を生み出してきた。資源の限られた環境で変革を起こし、インパクトを最大化させる社会的企業のノウハウは今後、感染症の世界的流行からの復興を目指す過程で本領を発揮するだろう。新型コロナウイルス感染症流行下で社会的企業が行ってきた取り組みにより、開発課題に取り組む上で、社会的企業が果たす重要な役割が浮き彫りになり、政府やドナーの重要なパートナーとなった。

この点において、成果連動型アプローチのためのグローバルパートナーシップ(GPRBA)は、社会的企業に対して協力・支援できる独自の立場にある。 GPRBA は、社会的企業を含む民間組織との豊富な協働実績に基づき、新型コロナウイルス感染症からの復興に向け、世界銀行がいかに、成果に基づく拠出を通じて社会的企業と生産的なパートナーシップを構築できるかに関する白書を発表した。本白書では、新型コロナウイルス感染症の世界的流行による影響の予防と緩和において、包括的な成果を達成するために社会的企業を支援する資金調達メカニズムの運用の枠組みを説明している。また、利用可能な測定基準や、ソーシャルディスタンスを保ちながらいかに成果を測定、検証できるかについても着目している。

しかし、他の多くの企業と同様に、社会的企業も新型コロナウイルスの影響を受けており、資金繰りに苦しむ可能性が高い。社会的企業が貧困層の労働者にサービスや雇用を提供し続けるために、政府やドナーは社会的企業を継続的な支援・救援活動に巻き込み、その活動に十分な資金が投入されるようにすべきである。GPRBAにおいては、世界銀行による感染症の世界的流行への対応に全面的に足並みをそろえている。

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2022年4月12日

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