新型コロナウイルスの感染拡大が、エイジズムを助長。高齢者が生きがいのある生活を送るため、私たちにできること
Image: Nick Karvounis/Unsplash
Sofiat Makanjuola-Akinola
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COVID-19
- 新型コロナウイルス感染拡大は、高齢者の生活や家計に深刻な影響を及ぼしています。
- エイジズムは、新型コロナウイルス感染拡大による高齢者への悪影響を助長し、必要な解決策の創出に支障をきたしています。
- 高齢者への偏見をなくし、高齢者を支援するためにできることを紹介します。
新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)は、世界中の高齢者に深刻な影響を及ぼし、高齢者の心身の健康と家計に壊滅的な打撃を与えています。知らぬ間に進むエイジズム(年齢差別)の影響は、これらの課題を解決するのを一層難しくさせています。
年齢に基づく固定概念、偏見、差別は、今ある不平等を一層悪化させ、効果的な対策を妨げています。すべての高齢者は虚弱で、依存的であるという思い込みは誤りであるだけでなく、有害でもあります。
広範囲にわたるパンデミックの影響からの完全復興を目指す世界が、まず行うべきことは、高齢者をさいなむ新型コロナウイルス感染拡大の悪影響として浮き彫りになっている、高齢者への偏見を取り除くことです。世界経済フォーラムの「長寿に関するグローバル・フューチャー・カウンシル」が発行した最新の報告書「新型コロナウイルス感染拡大と長寿:エイジズムとの闘いと解決策の創出」では、パンデミックへの対応は、高齢者の権利と尊厳を守るために、高い知見に基づき、適切に対象を絞った、包摂的な方法で行うことが重要である、と概説されています。
新型コロナウイルス感染拡大が高齢者に及ぼした影響
新型コロナウイルスの感染による症状がもっとも重症化しやすい世代は、高齢者、特に基礎疾患の合併症がある高齢者です。特に、介護老人保健施設の居住者の高い死亡率は、新型コロナウイルス感染による死亡率を押し上げています。
多くの低中所得国では、高齢者は、ケアへのアクセスの難しさ、脆弱な医療制度、インフラの不備、感染拡大による危機が長期にわたり社会経済に及ぼす影響といった不安材料など、他の世代よりも多くの問題を抱えています。
さらに、多くの高齢者は、パンデミック以前から、他の世代に比べて社会的に孤立し、孤独を経験しているという報告があります。制限措置、他者との身体的距離の確保、移動制限や集会の制限など、新型コロナウイルス封じ込め策の実施は、高齢者の社会的孤立や孤独のリスクを高めています。
自宅に閉じこもっていると、運動や、バランスのとれた食事といった健康的なライフスタイルを維持することが難しくなります。また、精神面での負担もあります。社会的孤立は、喫煙、運動不足、肥満と同様に早死にするリスクを高めることにつながるのです。
エイジズムにより誤解されていること
エイジズムは、すべての高齢者は同じというレッテルを貼る傾向があります。実際には、高齢者は多様で、その人となりは異なります。高齢者は、その年齢相当以上の貢献をしているのです。
高齢者の経済的貢献を軽視したり、高齢者を経済的負担と見なしたりすることもエイジズムのひとつです。実際、多くの高齢者は社会に欠かせない存在で、経済に寄与しています。有給の仕事もそうですが、何よりも、介護やボランティア活動など、目立たない、無給の仕事に携わり社会に貢献しています。
高齢者の有給・無給による貢献は、高齢者の介護費用と同様かそれを上回っています。たとえば、米国の全消費額の半分以上は高齢者による支出です。また、米国の50歳以上の人々がボランティア活動、介護、育児に従事する形で、米国経済に7,450億ドル以上貢献しています。
数値化するのは非常に困難ですが、まさに重要なこととして、孫の世話をする高齢者は多くの場合、子どもたちの知識、スキル、社会規範などを育てることに貢献し、両親の就労を助けることで経済に貢献しているという事実があります。
高齢者が生きがいのある生活を送るため、私たちにできること
高齢者はこれからも、他者に依存しないこと、交通手段への容易なアクセス、高齢者向け総合サービス、レクリエーション、自然との関わりを求めています。そのためには、適切な場所で、適切なケアを、適切なタイミングで提供することが極めて重要です。
バーチャルな解決策は、ヘルスケア、社会的つながり、サービスの利用などの面で、高齢者に必要な支援を提供することを容易にします。しかし、その前に、デジタル・ディバイドが解消されなければなりません。高齢者は、テクノロジーの活用に大きな支障があり、デジタルリテラシーも低い傾向にあります。私たちは、デジタル技術における運用能力の格差を埋め、高齢者がこれからも自宅や地域で生きがいのある生活を送れるよう支援しなければなりません。
また、私たちは、ただ支援と依存の経済分析を続けるのではなく、高齢者がこの先もどの程度社会に貢献する必要があるのかを考慮しなければなりません。最善の解決策により、高齢者の社会参加や人とのつながりが促進され、社会への帰属意識が高まります。
世代間のつながりは不可欠です。互いに歩み寄り、努力するなら、互いに多くを学ぶことができます。
高齢者を阻む、構造的な障害に対処し、権利を保護する具体策の策定にも取り組まねばなりません。たとえば、高齢者の権利に関する国連条約を制定することはできないでしょうか。するべきことはまだ残っていますが、偏見を取り除き、私たちの経済や社会における高齢者の重要性を認めることは、価値ある出発点となります。
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