• 「COVAX」は、安全で有効なワクチンをすべての国に確実に供給することを目指しています。
  • 豊かな国はいずれかひとつのワクチン候補に賭けるリスクを避け、有望なワクチン群へのアクセスを得ることができるようになるでしょう。
  • 低所得国が、ワクチンが完成した時に、資金面での支援とワクチンに対する公平なアクセスを得られることを目指します。
  • 世界保健機関(WHO)は、来年には安全で効果的なワクチンが利用できるようになると予測しています。

新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の終息を現実的にする唯一の手段は、ワクチンです。しかし、ナショナリズムが台頭し、世界の協力体制が乱れている今、豊かな国がワクチンを備蓄し、貧しい国が取り残される事態を確実に防ぐには、どうすればよいのでしょうか。

有望なワクチンに対して、全世界が公平にアクセスできるよう保証することを目指す計画があります。「COVAX」です。これは、WHOが、GAVIワクチンアライアンス、CEPI(感染症流行対策イノベーション連合)などと連携して取り組んでいる計画で、これまでに156カ国が署名。これらの国々は世界人口のほぼ3分の2にあたります。

WHO事務局長を務めるテドロス・アダノム・ゲブレイエスス博士は、各国はCOVAXのもとで「世界最大のワクチン候補群に確実にアクセスできる」と述べています。

COVAXは、安全かつ効果的な承認済みワクチンを調達し、世界各国に公平に分配していくことを目指しています。この枠組みには、既に高所得国64カ国が参加。欧州委員会との合意に基づき加わった「チーム・ヨーロッパ」の29カ国もこれに含まれます。一方、中低所得国の92カ国が支援対象となる予定です。

Nine potential vaccines are in the final stage of clinical trials
現在、9つのワクチン候補が治験の最終段階に入っています。
イメージ: Statista

「資金と科学的資源をプールすることで、参加国はいずれかのワクチン候補が失敗する事態に保険をかけ、費用対効果の高い、的を絞った方法で有効なワクチンを確保することができます」。WHOはニュースリリースでこのように説明しています。

オックスフォード大学とアストラゼネカ社が開発を進めているワクチンは候補のひとつであり、現在、承認に向けた最後の関門となる治験第3段階に入っているにもかかわらず、英国はCOVAXに参加しました。

COVAXは、2021年末までに、20億回分のワクチンを利用可能にすることを最初の目標に掲げています。これは、リスクが高く脆弱な人、最前線に立つ医療従事者を保護するのに十分な量だと、GAVIは述べています

COVAXの枠組みは、世界経済フォーラムの、持続可能な開発インパクト・サミットの初日に議題として取り上げられました。新型コロナウイルス感染拡大に関するバーチャル・セッションでは、ビル&メリンダ・ゲイツ財団のワクチン開発担当局長、アニタ・ザイディ氏が、来年半ばまでに広くワクチンの供給体制が整うとのWHOの予想と同じ見解だと述べました。

各国が自国民のための備蓄確保に走る「ワクチン・ナショナリズム」の危機を阻止し、貧しい国々にワクチン利用を保証するためには、COVAXのような世界的なアプローチが必要だと同氏は述べています。

また、ナイジェリアのオサギエ・エハニレ保健相は、同国が、このイニシアティブを強く支持することを表明し、パンデミックが世界的な性質を持つことと、団結が必要であることを強調しました。

「これは人類の問題です。ですから、人類にとっての解決策であるべきです」と、エハニレ保健相は述べています。

WHOによると、COVAXには各国政府、ワクチン製造会社、そして、その他の組織や個人が出資しています。これまで拠出された額は14億ドルにのぼりますが、さらなる資金が緊急に必要とされています。この枠組みは、今年4月、WHO、欧州委員会、フランスがパンデミックに対処するために立ち上げたイニシアティブ「ACTアクセラレーター」の柱のひとつになっています。