スウェーデンの首都ストックホルムのさわやかな夏は、建築や水路の趣とも相まって旅行者にとっては天国だ。当地で25日から開かれている今年の「世界水週間」のイベントには、各国の政府当局者や、ディアジオ(DGE.L)やアップル(AAPL.O)、ネスレ(NESN.S)といった大企業の幹部ら約4000人が参加する。こういうところに米金融業界のような類の人々が大挙してやって来ないなんて、想像しにくい。しかし実情は異なる。

米金融関係者はチャンスをつかみ損ねている。国連によると、世界では2030年までに清潔で新鮮な水の供給が40%不足する。例えばインドは、巨大な人口と急速な開発によって、今のままでは水資源不足に直面せざるを得ない。

背景には人口増加などさまざまな要因がある。しかし気候変動が洪水や干ばつを深刻にし、降雪や降雨のパターンを変えているのだ。金融や経済的な意味合いは極めて大きく、国連の推計によると今後11年間に必要な投資は約12兆ドルに上る。

つまり金融業界の専門家にとって豊富な機会があるのは間違いないということだ。こうしたチャンスは大型で旧来型のプロジェクトに限らないだろう。オランダの国際水資源問題特使、ヘンク・オヴィンク氏は25日のダムに関する討議で「ぼろぼろになったインフラは常に投資対象だ」と述べた。

屋上緑化や洪水対策の再植林など、小規模で環境にやさしいありとあらゆるプロジェクトは成果が高く、コストが低い。オヴィンク氏によると、例えばインドのチェンナイはこうした取り組みをすれば、大規模プロジェクトの3分の1のコストで住民に必要な水を供給し、地球温暖化ガスも3分の1減らすことができる。

しかも水関連インフラ向けの、ハイテク技術を駆使し環境にもやさしい投資は高いリターンも得られる証拠が多くある。そうしたアイデアの展開に投資する意欲を持つ支援者を見つけることこそ、投資銀行に期待される役目だ。

少し例を挙げれば、農業、エネルギー、消費財、石油・ガス、鉱業など水資源への依存度が高い産業が変革を迫られているときに、資金調達や助言などの業務が必要なのは考えるまでもない。水はビジネスにならないというのは金融専門家の勘違いだ。

●背景となるニュース

*ストックホルム国際水研究所が主催する「世界水週間」が8月25日から30日までストックホルムで開催。今年のテーマは「社会のための水:誰も取り残されない包摂的な社会へ」。

*この記事は、Reutersのコラムを転載したものです。