*本稿は、世界経済フォーラムの年次総会の取り扱いテーマの1つです。

多くのミレニアル世代がそうであるように、私は朝の通勤中に携帯電話でSNSやメール、ニュースのヘッドラインに目を通します。遠隔で共同作業を行う二人羽織ロボットについて学んだり、ベネズエラで貧困や暴力から数百万人が国外に逃れたことを読んだり、多方面からの情報をニュースから得ています。

世界は依然として分断され不平等であると毎日のように知らされます。デジタル革命により産業は変革し、地政学的な課題はますます複雑になっています。それはまるで、ベルリンの壁崩壊以来、最大級となるグローバルな統合の大波を引き起こす、避けることのできない「導火線」を見ているようです。

「グローバリゼーション4.0」はグローバリゼーションの波と同様に、一方では経済成長と貧困削減、他方では政治的危機と収入格差の拡大といった、複数の結果を引き出します。近年、さらなるグローバルな統合がもたらすものは、特に懸念を抱かせます。

政治的な分断は、常に注目されます。グローバル・テロリズムの脅威は続き、国際的な制度は崩壊の恐れもあります(例えばブレグジット(英国のEU離脱))。ミレニアル世代の経済的機会は不確かです。未来の仕事に求められるスキルを持っていないと考えているからです。グローバリゼーション4.0への準備を怠れば、こうした問題を悪化させる恐れがあります。

ミレニアル世代が、公正、平等、持続可能性を自分たちの観点から実現化することができれば、グローバリゼーション4.0はポジティブな変化の力を持つでしょう。グローバル・シェイパーズ・コミュニティの2017年の調査によると、自由な社会において「機会への平等なアクセス」が最も重要であると考える30歳以下は51%に上りました。これは、雇用の安定よりも支持されています。

1990年代のグローバリゼーションの最後の波は、いくつかの国を貧困から脱却させたものの、そうした国々や米国などの巨大な経済圏では収入格差が拡大。低賃金労働者を抱える他国は、到来するグローバリゼーションの次の波がもたらす利益を予期しているものの、それは数世代にわたる不平等をもたらす基盤を作ってしまうリスクがあるのです。国家間、そして国内において包括的で公平なものこそが、グローバリゼーション4.0の望ましい姿なのです。

これは高い理想なのかもしれません。しかし、未来に向けて今私たちが焦点を当てることができる現実的な優先事項を紹介します。

1.地方経済、地域経済を強化するための投資

大規模なグローバル統合から恩恵を受けるのは国際都市だけではありません。私たちは、グローバリゼーションの次の波に乗ることができる強靭な地方/地域のシステムを積極的に構築し、地方において雇用を創出・維持するために教育、雇用、インフラなどを地域にあったバランスで保つべきです。ガーナのディーセント・ワーク・プログラム(働きがいのある人間らしい仕事プログラム)は雇用と成長を拡大することを目的とした地域に根差した取組みの一例です。

2.革新的な教育制度とスキル・ギャップの積極的な是正

2022年までに、トレーニングやスキルアップが必要となる労働者は世界で54%以上に上ります。今後5年間で仕事に必要なトレーニングの機会を創出するだけでなく、若い学生が今後20年間の間に必要とされる仕事の種類に適合するスキルを取得することができる環境を整える必要があります。ニュー時ランドでは、国家的な技術カリキュラムが実施されており、生徒はデジタルクリエイターや消費者となるための教育を受けることができます。

3.最も脆弱な層にフォーカス

グローバリゼーションの負の側面により不均衡な影響を被る人々もいます。グローバル/ローカルな機関が、誰にとっても平等な結果をもたらすための普遍的な戦略とターゲットを絞った戦略の両方を推進することが必要です。フィーディング・アメリカは、米国全土で慈善活動として栄養価の高い食品を提供しながら、特に食料不足が深刻な人々に対しては食料アクセスの弊害を取り除くことを重視したプログラムを展開しています。

4.気候変動対策

グローバリゼーションの先の波では、気候変動は差し迫った問題ではありませんでしたが、今日、脆弱な地域や人々に対して不均衡な影響を与えようとしています。地方の経済や教育を強化するためのリソースが気候変動の影響を緩和させるために転用されるのであれば、グローバリゼーション4.0の課題は悪化するでしょう。30歳以下の50%近くは、気候変動が最も差し迫った地球規模課題と捉えています。私たちがグローバルなリーダーシップを発揮するまで待っていると、問題は手遅れとなるかもしれません。

5.公正に焦点を当てた取り組み

上記の優先事項を推進し、より確かな公正を構築するためには、今日よりもさらに連携したグローバルな取り組みが必要となるでしょう。多くの企業、NGO、アドボカシーグループ、学術界、そして個人までもが、公正な結果に影響をもたらすために、かつてないグローバルな繋がりと力を有しています。ミレニアル世代は、そうした取り組みに参加する企業の従業員として、また消費者として 、社会貢献活動を推進することが予測されます。

こうした優先課題に対応しない国は、グローバリゼーションの次の波に乗り過ごすかもしれません。ミレニアル世代は公正な成長を目指した変化を促進することができます。グローバリゼーション4.0を引き起こす「導火線」は、私たち世代が目の当たりにする決定的瞬間となるでしょう。