ヘルスとヘルスケア

認知症が急増中―脳を守る5つの意外な方法

認知症リスクの低減に効果があるとされるお茶を飲む高齢の女性。

新たな研究によると、お茶やコーヒーの摂取が認知症リスク低減に寄与する可能性があります。 Image: Pexels

Madeleine North
Senior Writer, Forum Stories
本稿は、以下センター (部門)の一部です。 ヘルス、ヘルスケア
  • 世界中で5,700万人以上が認知症と共生しており、主要な死因、障害要因の一つになっています。
  • 新たな研究は、リスク低減の意外な方法を示唆しています。
  • 世界経済フォーラムの新たな報告書『The Human Advantage: Stronger Brains in the Age of AI(人間の優位性:AI時代のより強い脳)』によると、脳の健康への投資により、2050年までに2億6,700万年の障害生存年を防止できる可能性があります。

健康的な生活習慣が認知症リスクを低減することは広く知られていますが、最近の研究では、より具体的な、時に予想外の要因も関与している可能性が明らかになっています。

世界保健機関(WHO)によると、認知症は現在、世界第7位の死因であり、障害や要介護状態の主要な原因となっています。ほぼすべての国で高齢化が進む中、認知症の患者数は2021年の5,700万人から2050年には推定1億3,900万人へと急増すると予測されています。

認知症の原因と、発症リスクに影響を与える可能性のある(あるいは与えない可能性のある)要因の両方について、引き続き研究が進められています。

2025年、ケンブリッジ大学の研究者らは、認知症と脳内の老廃物除去システムの障害との関連性を指摘。一方、別の主要な研究レビューでは、更年期症状の治療に広く用いられるホルモン補充療法(HRT)が、認知症リスクに影響を与えないことが判明しました。リスクを増加させることも減少させることもないと考えられます。

では、何が効果的なのでしょうか以下の点が明らかになっています。

脳への刺激

脳を活性化させるため、毎日のクロスワードパズルが推奨されることがよくありますが、シカゴの研究者たちはこの概念をさらに一歩進めました。約2,000名の高齢者に対して、8年間にわたり追跡調査を実施。読書、執筆、美術館訪問、外国語学習などの活動を含む「認知的エンリッチメント(知的刺激)」を人生を通じて行うことが、認知症または軽度認知障害の発症リスクをどの程度低減させるかを明らかにしました。その結果、生涯を通じて最も高い認知的エンリッチメントを得た人々は、認知症発症リスクが38%低いことが示されました。

シカゴのラッシュ大学医療センターに所属する本研究の著者、アンドレア・ザミット氏は、次のように述べています。「私たちの発見は励みになるものです。生涯を通じて多様な知的刺激活動に継続的に取り組むことが、認知機能に違いをもたらす可能性を示唆しています。図書館や生涯学習への愛着を育む早期教育プログラムなど、豊かな環境へのアクセスを拡大する公共投資は、認知症発症率の低下に寄与する可能性があるのです」。

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脳を活性化する飲み物

健康分野では批判されることも多いカフェインですが、脳の健康に関しては有益な側面があるようです。13万人以上の医療従事者を対象に、40年以上にわたりカフェイン摂取習慣を観察した研究では、1日2~3杯のコーヒーまたは1~2杯のお茶が「認知症リスクと認知機能低下の速度を最も大きく低下させる」関連性を指摘。特に注目すべきは、1日5杯という大量のコーヒーを摂取する人々においても、ほとんど飲まない人々と比べて認知症リスクが18%低いことが確認された点です。

一方、英国オックスフォード大学、ケンブリッジ大学、米国イェール大学の新たな包括的研究によると、アルコールは「少量であっても」認知症リスクを高める可能性があります。これまでの研究では、軽度から中程度の飲酒には神経保護効果がある可能性が示唆されていましたが、56万人を対象としたこの大規模分析では、いかなる量のアルコール摂取も認知症リスクを高めるという結論に至りました。研究の筆頭著者であるオックスフォード人口健康学部のシニア臨床研究員、アニヤ・トピワラ氏は「人口全体でのアルコール摂取量の削減は、認知症予防において重要な役割を果たす可能性がある」と述べています。

清浄な空気

大気汚染が健康被害をもたらすことは広く知られていますが、2025年に『ランセット』誌に掲載された2つの論文により、大気質の悪化が脳の健康に与える影響と、それが認知症発症リスクを高める仕組みが明らかになりました。ケンブリッジ大学の研究者たちが、因果関係を検証した51件の研究を分析。微小粒子状物質(PM2.5)、二酸化窒素、黒色炭素(すす)への長期曝露が、いずれも認知症リスク上昇と関連していることを発見しました。

PM2.5が1立方メートルあたり10マイクログラム(μg/m³)増加するごとに、認知症リスクは17%上昇し、すすについては、1μg/m³増加ごとにリスクが13%上昇。また、二酸化窒素については、10μg/m³増加ごとにリスクが3%上昇しました。

これにより、「汚染の低減により認知症発生率を低下させることができるため、より厳格な大気質基準は健康面、社会面、経済面において大きな利益をもたらす可能性が高い」と結論づけています。

この結果は、キングス・カレッジ・ロンドンによる26年間にわたる研究でも裏付けられています。同研究では1,700人以上の脳の健康状態を追跡調査しました。中年期に大気汚染に多くさらされた人々は、「認知機能、処理速度、脳の構造的結果が劣る」ことが判明し、より良い空気を吸うことが認知症発症率の低下に寄与する可能性を再び支持する結果となりました。

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その他の疾患向けの薬剤

既存医薬品の転用は新たな概念ではありません。最近では、2型糖尿病治療薬が効果的な減量補助剤として見出されました。認知症研究分野では、既存療法のうち、この疾患を治癒させる、あるいは少なくとも有病率を低下させる可能性を秘めたものを探求しています。

英国のエクセター大学が主導し、アルツハイマー病協会が資金提供した既存80種類の薬剤に関するレビューでは、有望な3つの薬剤が特定されました。

  • リルゾールは現在運動ニューロン疾患の治療に用いられていますが、動物実験では認知機能の改善に加え、認知症発症時に脳内で異常な凝集を起こすタウタンパク質のレベルを低下させる有望な結果が示されています。
  • 主に男性の勃起不全治療に用いられるバイアグラは、マウス実験において神経細胞を保護し、認知機能を改善し、同様に脳内の異常なタウタンパクの蓄積を減少させることが確認されています。
  • 帯状疱疹ワクチンは現時点で最も有望な候補であり、単回接種により認知症発症リスクが20%低下することを実証する研究結果が得られています。

これらの「優先候補」について、最も一般的な認知症であるアルツハイマー病の患者への潜在的効果を完全に解明するためには、さらなる研究と臨床試験が必要とされています。

視力低下と「悪玉」コレステロールの治療

2024年、ランセット委員会の報告書は、「未治療の視力低下と高LDL(悪玉)コレステロールが認知症のリスク因子であるという新たな有力な証拠」を特定しました。

これらは、世界の認知症症例のほぼ半数に起因するとされる14のリスク因子リストに、同委員会が新たに追加した最新のリスク因子。その他の12項目は、教育水準の低さ、聴覚障害、高血圧、喫煙、肥満、うつ病、身体活動不足、糖尿病、過度のアルコール摂取、外傷性脳損傷、大気汚染、社会的孤立です。

アルツハイマー病協会の政策・研究担当最高責任者であるフィオナ・キャラガー氏は、「認知症リスクの低減には、早すぎることも遅すぎることもありません」と述べています。

認知症対策の加速

認知症の予防と治療の進歩を加速させるため、多くの組織が活動しています。「ダボス・アルツハイマーズ・コラボレイティブ」は、世界経済フォーラムと「アルツハイマー病に関するグローバルCEOイニシアチブ」が主導する取り組み。医薬品開発と医療診断に7億ドルを投資しています。

新たな報告書『The Human Advantage: Stronger Brains in the Age of AI(人間の優位性:AI時代のより強い脳)』は、「脳の健康状態を予防、治療し、回復を支援するための費用対効果の高い介入策を拡大する」ことの必要性を主張しています。同報告書によると、脳の健康への投資を強化することにより、2050年までに世界で2億6,700万障害調整生存年(DALY)を回避可能であるほか、累積GDPで最大6.2兆ドルの利益を生み出す可能性があります。

また、同報告書は、AIなどの新技術が認知症などの疾患の早期診断と経過観察に寄与し得ると指摘。「アルツハイマー病の発症を5年遅らせる医療進歩があれば、2050年までに同疾患の有病率が41%低下し、関連コストが40%削減される可能性がある」と示唆しています。

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