エアコンが気候変動対策を脅かしている。私たちにできること

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Air conditioners alone could account for up to 40% of the world's remaining global carbon budget by 2050, jeopardising our efforts to tackle climate changeImage: REUTERS/Vivek Prakash
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ポーランドの炭鉱地帯にあるカトヴィツェで、最新の国際気候協議COP24が閉幕するなか、気候をめぐる議論の多くは、深い絶望を帯びるようになりました。米国科学アカデミーによれば、現在の温暖化のペースは「隕石の衝突」による影響にしか匹敵せず、現生人類が進化する以前の気候へと私たちを引き戻すことになります。『ネイチャー』誌の記事は、次のような現象に警鐘を鳴らしています。「産業化後の北極圏の温暖化に応じた、グリーンランドの流出水量の非線形な増加」(専門用語を使わずに言えば、世界の氷床の融解が急加速しているということです)。

ワシントン大学は、今日の私たちの状況と「大絶滅」との類似点を指摘しています。これは2億5,200万年前に起き、海洋生物の96%を絶滅させた大量絶滅です。IPCCの最新報告書は、深刻な食料不足、山火事、サンゴ礁の大規模な死滅、気候変動に起因する紛争といった、気候変動による最も深刻な影響が、従来の想定よりかなり早く、より低い気温上昇の段階で生じると警告しています。

エアコンは気候変動対策にどのような課題を突きつけているのでしょうか。

一方、ありふれた存在で、ますます普及している家庭用機器の一つ、エアコンがもたらす大きな気候リスクへの注目が高まっています。ローレンス・バークレー国立研究所、国際エネルギー機関(IEA)、ロッキー・マウンテン研究所(RMI)の研究者らは、ルームエアコンだけで、つまり多くの家庭で使われている一般的な窓型・分離型エアコンだけで、現在から2050年までに130ギガトン(GT)を超えるCO2排出量を占めることになると結論づけました。これは、世界に残された「カーボンバジェット」(産業革命前と比べた地球温暖化を2˚C未満に抑えるために排出できる最大量――パリ気候会議で2015年に掲げられた目標です)の20~40%に相当します。

CO2排出量の多いエアコンは、気候変動対策に課題を突きつけるImage: ロッキー・マウンテン研究所(RMI)

絶望を感じるのは理解できますが、あまり役には立ちません。RMIの主任研究員、アモリー・ロビンスはよくこう指摘します。「広がる恐怖は……人を麻痺させ、意欲をそぐ」。それよりも、「希望を実践する」姿勢で行動するほうがずっと有益です。「袖をまくり、懸命に闘って、勝算を変え、あるいは覆す」のです。

ロビンスの最新の知見は、希望を持てる理由が数多くあることを示しています。とりわけ、省エネルギーが持つ気候変動緩和の可能性は、従来考えられていたより実際には数倍大きく、費用も安いからです。ロビンスは、「節約されたエネルギーはすでに世界最大のエネルギーサービス源であり、石油を上回る」と指摘します。つまり、1990年から2016年にかけて世界のエネルギー原単位が低下したことで、2016年にはその年に燃焼された石油の総量を上回るエネルギーが節約されたのです。

過去10年間にコストが急落した再生可能エネルギーとは異なり、省エネルギーは、最も安価な手法が使い尽くされるにつれてコストが上昇すると考えられてきました。しかし、この広く浸透した見方は、効率を枯渇する資源と捉える経済理論に基づくものであり、工学の実践に基づくものではありません。工学の実践が示すのは、導入を加速し、統合的な解決策を採れば、コストを急速に引き下げられるということです。

建物は、CO2排出量の約40%を直接的または間接的に占めており、「統合設計」から最も大きな恩恵を得られる立場にあります。つまり、エネルギーを使うシステムを個別の部品としてではなく、全体として設計することです。こうした手法により、建物のエネルギー効率を桁違いに改善することが、経済的・財務的に実現可能になります。主な方法は、暖房、換気、空調(HVAC)設備をなくすか、小規模化することです。

なくすことのできないエアコン(AC)についても、RMIの調査は、気候変動対策に向けて大幅な改善が可能であることを示しています。多くのACの中核をなすコンプレッサー技術は、理論上の最大効率のわずか14%に達したにすぎません(大半のACは6~8%程度です)。これを、理論上の効率ポテンシャルの40%に達する太陽光パネルや、70%に達するLED照明と比べてみてください。既存技術のハイブリッド化に加え、半導体間の熱移動、磁場の利用、さらには宇宙空間への放熱など、研究所や研究センターで開発中の新システムによって、効率を4倍または5倍に高める現実的な道筋があります。

もちろん課題は、こうした技術を普及させ、規模を拡大する方法を見つけることです。AC業界は、現行の規制や市場のシグナルにただ反応している少数の大手既存メーカーが支配しています。消費者が何より重視するのは価格、ブランド、見た目であり、規制当局は効率基準について十分な圧力をかけていません。その結果、ACメーカーは通常、研究開発よりも広告やデザインに多くの費用をかけ、できる限り安く、効率の低い製品を大量に生産することに注力しています。

しかし、私たちはこの状況を変えられます。世界各国の規制当局は、最低エネルギー性能基準を、通常の市場製品の2倍の効率を持つ最高水準のACに近づけることができます(この取り組みを推進しているのが、キガリ冷房効率プログラムです)。政府の調達機関や大規模な民間購入者(不動産開発業者など)は、超高効率ACの事前市場コミットメントや一括調達プログラムを通じて、購買力を活用できます。納税者の支出を抑え、顧客に価値を提供するために、政府や開発業者がライフサイクルコストの最も低い製品を調達するのは理にかなっています。簡便な融資策は、より効率の高いACの購入を後押しできます。たとえば先進的な電力会社は、電力料金の請求にエネルギー効率の高い家電製品の代金を分割で上乗せして支払える「オンビル」融資を提供できます。これにより消費者は初日から実質的な節約を実現できます。

そして何より重要なのは、慈善支援を受けたチャレンジが技術の上限を引き上げる助けになることです。最近立ち上げられたグローバル・クーリング・プライズは、有望なスタートアップや起業家が、既存メーカーに支配された従来の市場参入経路を迂回して、製品やアイデアを世に広める助けとなる可能性があります。また、現状に甘んじる既存企業の意欲を刺激し、より野心的な行動を促すことで、漸進的な規制アプローチが成果を上げられなかった場面で成功をもたらす可能性もあります。発表後の1か月間で、この賞には20か国以上から1,000を超える企業や個人が登録しました。これは、私たちが望み得る限り、希望を実践する姿勢を示す心強い象徴です。

国連事務総長のアントニオ・グテーレスは、ポーランドで率直かつ明快なメッセージを発しました。「時間がなくなりつつあります。この機会を無駄にすれば、制御不能な気候変動を食い止める最後にして最善の機会を損なうことになります」。気候変動対策における「最後にして最善の機会」が何かは分かっています。すでに最大のエネルギー資源となっている効率化を、指数関数的な全システムのアプローチによってさらに推し進めることです。そして、地球の未来に最大の可能性と影響をもたらす技術に、イノベーションの取り組みを集中させることです。急速に温暖化する世界で私たちが涼を取るために使う機器から始めましょう。

詳しくは、報告書『世界の冷房課題を解決する』をご覧ください。こちらから入手できます。

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