過去2週間の自然・気候関連の主なニュースをまとめて紹介します。
自然・気候関連の主なニュース:経済モデルは気候リスクを過小評価、1月に世界各地で異常気象、AIを活用した天気予報システムが精度を向上
1. 米国でEPA規則を撤廃
トランプ政権は木曜日、米国で温室効果ガス排出の規制と気候変動対策の根拠となっていた、環境保護庁(EPA)の重要な科学的認定を撤回したと、ニューヨーク・タイムズが報じました。
EPAの危険性認定は2009年に制定され、二酸化炭素やメタンなどの温室効果ガスを公衆衛生への脅威と位置づけました。この認定は、大気浄化法に定められた排出基準や、自動車、発電所、石油・ガス産業の施設に関するその他の規則を支える根拠となっていました。この規則の撤廃は温室効果ガス排出に対処する正当性を損ない、ニューヨーク・タイムズの報道によると、後任の大統領が将来、気候関連の規則を復活させることを妨げる可能性があります。
2. 経済モデルは気候リスクを過小評価していると報告書が警告
気候危機は経済全体を変容させていますが、現在の経済モデルは、異常気象からティッピングポイントの突破まで、実際のリスクを捉えきれていません。
エクセター大学のGreen Futures Solutionsチームが主導し、Carbon Trackerと連携して作成された「気候リスクの再調整」報告書は、GDPへの偏重によって、死亡、格差、住み慣れた地域からの移転、生態系の喪失、そして福祉や生産性への長期的な損害など、多くの被害が見過ごされていると指摘しています。
「より幅広い指標がなければ、気候リスクはマクロ経済計画において組織的に過小評価され続けるでしょう」と著者らは警告しています。
気候リスクは時間とともに蓄積し、相互に作用して、繰り返されるショックを標準的なモデルでは捉えられないシステム全体の危機へと変えていきます。報告書によると、気温上昇が2°Cを超えると不確実性やテールリスクが急激に高まり、潜在的な損失が急速に拡大するにつれて、損害を正確に推計することが難しくなります。
では、何ができるのでしょうか。報告書は、規制当局、銀行、ファンドなどの関係者への影響を整理しています。
金融規制当局と中央銀行は、気候変動を一部の環境問題ではなく、金融安定に対する中核的な脅威として扱うべきです。
長期投資家と年金基金は、気候リスクを分散投資で取り除くことはできません。グリーン移行を加速させれば、排出量だけでなくポートフォリオのリスクも低減します。
政策立案者、規制当局、投資家は、GDPに基づく狭いシナリオに頼るのではなく、より予防的で堅牢かつ透明性の高いアプローチを採用する必要があります。
3. 2026年の幕開けを告げる異常気象
1月は波乱の幕開けとなり、世界各地で異常気象が大きな被害をもたらしたと、世界気象機関(WMO)が報告しています。
「異常気象が世界経済フォーラムの旗艦年次刊行物『グローバルリスク報告書』で常に主要リスクの一つに挙げられるのも不思議ではありません。気象・気候関連災害の被災者は年々増え続けており、その恐ろしい人的被害は、この1月、日々明らかになっています」と、WMO事務局長のセレステ・サウロ氏は述べました。
1月に世界各地で見られた異常気象の例を紹介します。
オーストラリアでは2度の熱波と火災が起きやすい気象条件に見舞われ、南オーストラリア州の町セドゥナでは1月26日に49.5°Cを記録しました。
チリではビオビオ州とニュブレ州で致命的な山火事が広がり、数万人が避難を余儀なくされました。
北米では1月最終週に冬の嵐に見舞われ、大陸全域で多数の航空便が乱れ、停電も発生しました。
ポルトガルはクリスティン暴風雨に襲われ、直接的な復旧費用は47億ドル超に上りました。
4. ニュース概要:その他の自然・気候関連の主な話題
科学者らがAIを活用した天気予報システムを発表:香港大学の新しい「DDMS」モデルは異常気象を予測でき、雷雨や大雨などを最大4時間前に予測し、精度を15%超向上させます。
自然への投資効果を取り上げた新報告書。「自然に1ドル投資するごとに、その破壊に別の30ドルが費やされている」。これは、国連環境計画(UNEP)の新報告書、『自然への資金フロー2026』に掲載された数々の示唆に富む統計の一つです。報告書は、高いリターンを実現するため、自然を活用した解決策への世界的な資金調達を転換し、有害な投資を段階的に廃止するよう求めています。
企業が2030年の自然目標にどう貢献できるか。今月発表された、生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学・政策プラットフォームの新たな評価は、企業、政府、市民社会などが自然への影響を測定し、軽減するための100の行動を提示しています。
マレーシアが電子廃棄物の輸入を禁止:同国は世界有数のプラスチック廃棄物輸入国の一つですが、環境への有害な影響を理由に、これらの廃棄物の輸入を禁止しました。
電子廃棄物の国内への持ち込みは今後認められず、すべての機関が関与する厳格な取り締まりが必要になります。
—マレーシア反汚職委員会のアザム・バキ委員長
マレーシア反汚職委員会のアザム・バキ委員長
EIB、炭素市場への懸念緩和を目指す:欧州投資銀行は、欧州連合(EU)の新たな炭素市場ETS2(排出量取引制度2)の導入を前に、政府が貧困層を保護できるよう35億ドルを前倒しで拠出します。この資金は、2028年に燃料へのCO2価格付けが始まる前に、よりクリーンな暖房や交通手段を支援します。
世界最大の環境サービス決済プラットフォームが稼働へ:ブラジル有数の農業データサービス企業Agrotoolsは、農家に市場価格相当の賃料を支払うプラットフォームを構築しています。在来林を維持するための取り組みです。この計画により、質の高い農地3,000万ヘクタールを保全し、5年間で150億ドルを呼び込み、買い手による炭素排出量の相殺を支援できる可能性があります。
5. フォーラム・ストーリーズで読む自然・気候危機の関連記事
ダボス2026:地球の限界の範囲内で、どう繁栄を築けるのか?今年の年次総会は、地政学が主役となった一週間として記憶されるでしょう。しかし舞台袖では、気候・自然危機が続いていました。「私たちは本当に、本当に重大な局面にいます」と、ポツダム気候影響研究所所長で、世界屈指の著名な気候科学者であるヨハン・ロックストローム氏は述べました。「時間がなくなりつつあります」と参加者に語りかけ、「しかし、まだ手遅れではありません」と続けました。
気候と自然をテーマにしたセッションの冒頭で、ロックストローム氏はパネル討論の指針となる重要な情報を示しました。地球は過去12,000年間、極めて安定した気候に恵まれ、人類が繁栄できる安全な環境が保たれてきたと指摘しました。しかし科学者らは、今後3年から5年以内に、地球の気温上昇が1.5°Cの限界を確実に超えると予想しています。「今後75年で、科学的証拠から見て破滅的で、管理不能な3°Cの世界へ向かっています」と警告しました。
ダボス2026で、他のリーダーたちが自然と気候について何を語ったのか、こちらのまとめでご覧ください。
プラスチック交渉が再開、今必要なこと。今月、新議長が選出されました。プラスチック汚染に関する政府間交渉委員会の議長です。プラスチック交渉の再開にあたり、世界的なプラスチック条約の実現に必要なことを議論した、ダボス年次総会で収録された特別セッションをご覧ください。
世界で最も危険な山の一つで生き延びるために闘った登山家:アヌラグ・マルー氏は氷河のクレバスへ300メートル転落し、救助隊に意識不明の状態で発見されるまで72時間閉じ込められていました。右手の指を失い、立ち上がり方や歩き方を学び直す必要があったため、長期にわたるリハビリを受けました。山岳環境の予測がますます困難になることで、探検家や地域社会にとってこうした場所の危険性が高まる可能性があります。以下の動画で、彼のストーリーをご覧ください。



