全米住宅建設業者協会によると、建設会社の82%が、建設労働者の不足を最大の懸念事項として挙げている。実際、労働者の平均年齢はかつてない速さで上昇している。英国建築協会(Chartered Institute of Building)によれば、60歳以上の労働者の数は増加のペースが速まり、30歳未満の層は減少のペースが速まっており、その変化はいずれも他のどの年齢層より顕著だ。
人材の採用と管理は、建設業界にとって長年の課題だ。ベクテル・グループの会長兼CEO、ブレンダン・ベクテルはこう述べている。「当社は人を中心とする事業であり、世界で最も有能なプロジェクトチームを編成することにかかっている」。この課題は今後数年でさらに差し迫ったものになる。建設業界に限った話ではない。世界経済フォーラムの最近の報告書は、今後の雇用動向が深刻な課題となり得ると警告している。労働力の需要と構成が引き続き大きく変動すること、人口動態の変化によって熟練労働者が不足すること、そしてテクノロジーの急速な進歩によって、あらゆる階層で新たな、より幅広いスキルが求められることだ。
世界経済フォーラムのために実施された、回答者100人超の建設業界調査では、回答者の77%が、業界は人材の獲得と定着に十分取り組んでいないと答えた。また、採用に十分な投資をしていると全面的に同意した回答者は一人もいなかった。
業界がより多くの人材を引き付けるためにできることを8つ紹介する。
人材管理を最優先する
従来、建設業界の労働力管理は好況と不況のサイクルに合わせることと同じで、採用と解雇は景気全体の動向に左右されていた。しかし、人材獲得競争に勝つには、根本的により長期的な取り組みが必要だ。第一歩は、戦略的な労働力計画である。つまり、必要なスキルの量と質、そしてそれらのスキルを持つ人材をどの程度確保できるかという見通しから、会社の将来の需要を戦略的に考え、採用、定着、研修を体系的に計画することだ。
建設業界の人口構成をざっと見るだけでも、計画がいかに重要かが分かる。米国の建設労働者の平均年齢は43歳。英国では、政府が掲げる100万戸の住宅建設目標を達成するため、今後5年間で建設労働者をさらに70万人確保する必要があると、ファーマー報告書は述べている。
懸念されているのは、将来の労働者数だけでなく、熟練労働力の質でもある。建設業界では、ビルディング・インフォメーション・モデリング(BIM)、ワイヤレスセンシング、ビッグデータと分析、3Dプリンティング、自律型機器といった破壊的技術を通じて、急速なデジタル変革が進んでいる。これにより、従来とは根本的に異なるスキルが必要になり、データサイエンティストやIT専門家をめぐって、GoogleやAppleなどのテクノロジー企業と人材獲得を競うことになる。
建設会社のCEOにとって、人材と人材管理を最優先事項にする必要がある。学生や若手専門職にとって、それはすでに就職先を選ぶ際の重要な要素だからだ。
企業文化を刷新する
ロサンゼルスの渋滞にうんざりしたイーロン・マスクが、トンネル掘削機を開発し、地下道路を建設する意向をツイートしたとき、多くの人はシリコンバレー発のまた一つの奇抜なアイデアとして片付けただろう。しかし、ドイツのトンネル掘削専門企業ヘレンクネヒトを含む建設業界の一部関係者は、それをはるかに真剣に受け止めた。
大胆なビジョンを示し、慣習にひるまない文化を築くことで、マスクをはじめとする成功したイノベーターは、まったく異なる分野から優秀な人材を引き付け、業界の標準的な慣行に挑むことができる。対照的に、多くの、あるいは大半の建設会社は、保守的で「失敗を恐れる」企業文化を持ち、組織の惰性に妨げられている。企業文化は人材を引き付ける磁石だ。建設会社は現状に挑み、イノベーションを全面的に受け入れる企業文化を実践する必要がある。その一例として、一部の企業は「リバース・メンタリング」、つまり若手社員に経験豊富な幹部のメンター役を担わせる方法で、従来の階層構造を崩し始めている。
多様性に投資する
「白人、男性、時代遅れ」というあり方は過去のものかもしれない。以前のブログが指摘したように、建設業界では今なお、そのような労働力構成が広く残っている。人口動態の変化や業界のデジタル変革にもかかわらず、工学系の経歴を持つ男性社員が依然として多数を占める。建設会社は、地域社会の専門家、女性、テクノロジーやIT、データサイエンスの経験者など、従来とは異なる人材層に目を向ける必要がある。ボストン・コンサルティング・グループによる最近の調査では、労働力の多様性とイノベーションとの間に明確な関連性が見いだされた。業界経験やキャリアの道筋が多様なメンバーで構成されるチームは、とりわけ大きな成果をもたらす傾向がある。テクノロジー主導の変革が続く建設業界では、異なる、より柔軟なスキルがますます必要になる。企業は、すでに持つスキルだけでなく、将来の可能性も基準に採用する必要がある。

テクノロジーとイノベーションを活用する
イノベーションと新たなテクノロジーを受け入れれば、建設会社は将来への備えを整えると同時に、人材の課題にも対応できる。自動化の拡大、現場外でのプレファブ化、新たな協働ツールといった進歩は、生産性(そして賃金)を高め、現場での作業時間を短縮するのに役立つ(いずれも今回の調査回答者が特に望んでいたことだ)。自動車業界ではすでに標準となっているイノベーションの一部、たとえば外骨格型装具、人間とロボットの協働、人間工学に基づく作業工程は、建設作業にも役立つ可能性がある。身体的負担を軽減し、高齢化する労働力にもより適した仕事にできるからだ。
継続的な学習とキャリア形成を促す
今回の調査では、学生や若手専門職にとって、就職先として魅力的な要素の一つは、学びとキャリア形成(L&D)であることが分かった(興味深い仕事内容に次いで2番目に挙げられた)。しかし、その点で建設業界が期待に応えていると回答した人は、わずか48%だった。異なるスキルが求められる業界環境が根本的に変化するなか、継続的なL&Dは特に重要だ。建設会社は、社内アカデミー、外部研修機関との連携、またはその両方を通じて、継続的なL&Dを企業文化に組み込むべきだ。
適切なインセンティブを設ける
人材について論じるなら、Y世代とZ世代の優先事項の違いにも触れずにはいられない。今日の若い人材は、給与や福利厚生だけでなく、柔軟性(「自分の時間を自分で決める」)、仕事の意義、倫理を重視する。テクノロジー業界などの多くの企業は、こうした新たな優先事項を反映するため、採用や人材定着の仕組みをすでに調整している。人材獲得競争に加わる建設会社も、取り組みを強化する必要がある。ミレニアル世代は、何千年もの歴史を持つ業界の変革に貢献できる機会に引かれるかもしれない。ただし、会社が本気で変化を受け入れていると感じられる場合に限る。
建設業界の世間的なイメージを改める
建設業界には今も「退屈で汚い」というイメージがあるが、企業には、活気があり、目的意識に導かれる業界という、より魅力的なイメージをつくる大きな可能性がある。今回の調査で、業界の専門家は、社会に役立つ影響(「私たちはものをつくる」)、国の発展への貢献、都市化や気候変動といった現代の深刻な課題への取り組みを誇りとして挙げた。
実際、建設業界は世界のGDPの6%を占め、あらゆる他産業が発展するための物理的な基盤をつくり、住宅、病院、交通網、学校、劇場などの社会インフラを通じて、すべての人の生活の質に直接影響を与えている。さらに、エジプトのピラミッド、ローマのコロッセオ、パナマ運河、あるいはブルジュ・ハリファのような超高層ビルなど、建造物や工学上の偉業は、常に人々を魅了し、今もその魅力は続いている。
建設業界の関係者は、こうした影響を伝えるために、より緊密に協力し、ソーシャルメディアを通じて魅力的な物語を幅広く発信すべきだ。企業は早い段階から動き、学校や大学に出向いて、業界のイメージを積極的につくっていく必要がある。
体系的に協力する
ここまで挙げた7つの取り組みは、実施に時間がかかる場合があり、成果が出るまでにも確実に時間を要する。建設業界のエコシステム全体にわたる、考え方の転換が必要だ。重要な推進要因の一つは企業間の協力であり、相乗効果を生かし、キャンペーンを調整することにつながる。
大学などの外部組織との協力も同様に重要だ。たとえば、建設専門職の継続的なL&Dを提供し、業界の将来のニーズに合わせてカリキュラムを整えることができる。大規模公開オンライン講座(MOOC)という新たな形式を活用した注目すべき例が、コロンビア大学の建設プロジェクト管理・計画専門講座であり、異なる企業から業界のリーダー20人が参加している。
これらの取り組みには、業界関係者の確固たる決意が必要であり、多くの場合、多額の資金投資も求められる。いつものことだが、投資は明確な戦略に基づき、将来成果を上げられるよう慎重に準備すべきだ。人材への十分な投資を怠るのは、間違いなく近視眼的だ。ピーター・ドラッカーの言葉を借りれば、「人材を育成することは、企業にとって最も重要な仕事である。それは知識経済における競争の不可欠な条件だ」。

