注目すべき中国企業10社――中国経済の実像を映す企業とは

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  • この中国企業10社からは、圧力の下で経済がどのように変化しているかを現場の視点から捉えることができる。

  • バッテリーから玩具まで、これらの企業は中国の産業が及ぶ領域の広さを示している。

  • 天津で「サマーダボス」(2025年ニュー・チャンピオンズ年次総会)が開かれ、各国のリーダーが集う今週、注目の議題の背景にある実体経済を形づくる企業を紹介する。

EVバッテリーの世界的リーダーから、中国の若者の想像力と財布をつかむ玩具会社まで、中国経済の現状を草の根から読み解く手がかりとなる企業10社を紹介する。

これらの企業を合わせて見ると、新たな地政学的状況に中国がどう適応しているかが浮かび上がる。より深い変化を反映し、グリーンテクノロジー、国内イノベーション、プラットフォーム主導型サービスへの移行を示している。一方で、規模と持続可能性、開放と統制、野心とリスクの間にある緊張も露呈している。

CATL(寧徳時代):「EVバッテリー製造で他の追随を許さない世界的リーダー」

上場状況: 上場企業(SHE:300750、香港証券取引所への上場を近日予定)

設立: 2011年、曽毓群(ロビン・ゼン)が設立

本社:福建省寧徳市

主な事業:EVおよびエネルギー貯蔵向けリチウムイオン電池、電池材料、バッテリー管理システム

注目すべき理由:
沿海部の福建省北部にある寧徳市を拠点とするCATLは、EVバッテリー製造で他の追随を許さない世界的リーダーで、およそ世界市場シェア38%を占める。価格競争の圧力がある中でも、規模の大きさと原材料コストの削減により利益を伸ばした。国際展開を拡大し、ハンガリーとスペインの大規模工場を含む欧州の拠点を拡充しているほか、さらなる拡大に向けた資金調達のため香港上場を計画している。

意外と知られていないこと:
CATLの売上高の約86%は現在、電池販売によるもので、残りの大半をエネルギー貯蔵システムが占める。未加工鉱物の販売による売上高は約1.5%にすぎない。同社のセル・トゥ・パック技術はエネルギー密度を15~20%高め、生産工程を簡素化する。これは効率を高める重要な要因となっている。

たとえるなら……
ASMLの技術的な不可欠性とシュナイダーエレクトリックのエネルギー分野の専門性に、アリババの規模とスピードの戦略を組み合わせ、脱炭素社会に向けて福建省で生み出した企業だ。

遠景能源(Envision Energy):「フォーチュン誌の『Change the World 2024』に選出」

上場状況: 非上場

設立: 2007年、張雷(レイ・チャン)が設立

主な事業:スマート風力タービン、エネルギー貯蔵システム、グリーン水素ソリューション、AIoTを活用したバッテリー、エネルギー管理ソフトウェア

注目すべき理由:
上海を拠点とする遠景能源は、風力、エネルギー貯蔵、水素などを含む包括的な再生可能エネルギーソリューションを提供し、グリーンテクノロジー分野の世界的リーダーへと成長した。2024年には風力タービンの受注が過去最高の30.6 GWに達し、海外市場での受注は10 GWを超え、中国メーカーの中で首位に立った。急速な事業拡大と技術の進歩は国際的な評価を集めており、フォーチュン誌の「Change the World 2024」に選出された。同社はグリーンエネルギーへの移行を牽引する存在となっている。

意外と知られていないこと:
中核となるエネルギーソリューションに加え、遠景能源は遠景・弘毅カーボンニュートラル基金を運営し、2023年にチームズ・チャンピオンシップを制したフォーミュラEチーム、Envision Racingを所有している。また、AIoT(「モノの人工知能」)オペレーティングシステム「EnOS™」を運用し、世界で100 GWを超えるエネルギー資産を管理している。2022年までに世界の事業活動でカーボンニュートラルを達成したことは、同社の持続可能性への取り組みを示す。2028年までにバリューチェーン全体でネットゼロ排出を実現することを目指している。

たとえるなら……
GEリニューアブル・エナジーの技術力とテスラのエネルギー貯蔵分野の革新性を、世界規模の事業展開と組み合わせ、持続可能な未来を目指す使命のもとに推進する企業だ。

海爾(ハイアール):『IoT家電の世界的リーダー』

上場状況: 上場企業(上海証券取引所:600690)、香港にも上場

設立: 1984年、張瑞敏が設立

本社:山東省青島市

主な事業:スマート家電、IoT、ホームオートメーションソリューション、デジタル工場

注目すべき理由:
リストの中で最も歴史の長い企業である青島拠点のハイアールは、中国の起業家精神に革命をもたらした。創業した年に、CEOが欠陥のある冷蔵庫を大ハンマーで破壊した逸話は有名だ。それから40年の間に、主に寮向け冷蔵庫で知られていた白物家電メーカーから、世界的なIoT家電リーダーへと成長した。各プラットフォームにAIを統合し、世界20超の市場でマイクロファクトリーを運営する一方、事業活動のゼロカーボン化を目指している。

意外と知られていないこと:
ハイアールは、地域の需要やカスタマイズに対応する、小規模で柔軟な生産拠点であるマイクロファクトリーを10カ所近く分社化した。青島にある「ダークファクトリー」は、ほぼ全自動のロボット運用で照明が不要なことからそう呼ばれる。ここでは洗濯機や冷蔵庫を自律的に生産しており、人間の監督者は3人以下だ。

たとえるなら……
GEアプライアンスにボッシュの精密なエンジニアリングを加え、ネットフリックスのAIを活用したパーソナライズと、モジュール式でユーザー中心の工夫を少し添えた企業だ。

華為(ファーウェイ):「グーグルのようなAIへの野心を、深センの気質で実現」

上場状況: 非上場、従業員所有

設立: 1987年、任正非が設立

本社:広東省深セン市

主な事業:ICTインフラ、消費者向けデバイス、クラウドとAI、デジタル電力、自動車ソリューション

注目すべき理由:
米国の制裁にもかかわらず、深センを拠点とするファーウェイは2024年に復活を遂げた。スマートフォン事業の再興(中国国内でアップルを上回る)、クラウドコンピューティングの成長、新エネルギー車市場への参入は、複数の分野で自己変革を進める同社の姿を示している。長らく高度にグローバル化してきたサプライチェーンの中で、中国が半導体製造の自給自足を目指す取り組みの中核を担う存在となった。

意外と知られていないこと:
ファーウェイは2024年、1,800億元(人民元)を研究開発に再投資した。これは売上高の5分の1を超える額で、研究開発部門の従業員11万3,000人の半数以上を将来技術に振り向けた。同年の研究開発費は過去最高を更新した。

たとえるなら……
シスコの通信分野のDNAとサムスンのデバイス・エコシステムに、グーグルのようなAIへの野心を融合させ、独立とイノベーションを重んじる深センの気質で築いた企業だ。

ファーウェイ:デジタルイノベーションを活用して人々の生活にポジティブな変化をもたらす
ファーウェイ:デジタルイノベーションを活用して人々の生活にポジティブな変化をもたらす
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晶科能源(JinkoSolar):「TOPCon技術関連の特許を462件超保有」

上場状況: 上場企業(NYSE:JKS)

設立: 2006年、李仙徳が設立

本社:中国・上海

主な事業:太陽光発電モジュール、太陽電池、ウェハー、エネルギー貯蔵システム

注目すべき理由:
上海を拠点とする晶科能源は、世界最大級で、金融機関からの信頼も厚い太陽光モジュールメーカーの一社だ。2024年には、同社は過去最高となる92.9 GWのモジュールを出荷し、世界の太陽光産業の最前線に立つ地位を維持した。中国、ベトナム、米国、マレーシアに製造拠点を持つなど世界各地に広く展開し、160を超える国々に製品を供給している。

意外と知られていないこと:
晶科能源は、N型TOPCon(トンネル酸化膜パッシベーションコンタクト)太陽電池の開発を先駆けてきた。2024年末までに、量産時の変換効率は約26.5%に達した。同社はTOPCon技術関連の特許を462件超保有しており、高効率太陽光ソリューションのイノベーションに取り組む姿勢を示している。

たとえるなら……

エヌビディアのたゆまぬ研究開発力に、トヨタの精密な製造文化、フレクストロニクスのグローバルなサプライチェーン網、そしてソフトバンクを思わせる野心を少し加えた企業だ。

隆基緑能科技(LONGi Green Energy Technology):『世界の太陽光発電(PV)産業を牽引する企業』

上場状況: 上場企業(上海証券取引所:601012)

設立: 2000年、李振国が設立

主な事業:単結晶シリコンウェハー、太陽光モジュール、BC(バックコンタクト)太陽電池、グリーン水素ソリューション、太陽光発電所の開発。

注目すべき理由:
隆基緑能は、単結晶シリコンウェハーの世界最大手メーカーであり、世界の太陽光発電(PV)産業を牽引する企業の一社だ。単結晶シリコンウェハーは、シリコン単結晶を超高純度に薄くスライスしたものだ。結晶構造が均一で電子が流れやすいため、他の種類より効率よく太陽光を電気に変換できる。同社は太陽光技術の進歩を牽引しており、とりわけ高効率のBC(バックコンタクト)太陽電池の開発に力を入れている。

意外と知られていないこと:
2024年、隆基緑能は研究開発に50億1,400万元を投資し、これは年間売上高の6%に相当した。同社はBCセルおよびモジュール関連の400件超を含む、認可済み特許3,342件を保有していた。HPBC 2.0モジュールはセル歩留まり率97%を達成し、複数の大陸で大規模出荷が進んでいる。

たとえるなら……
太陽光分野のインテルにアップルの革新への意欲を合わせ、シーメンスの世界的な事業展開を備えた企業だ。急速に変化する再生可能エネルギーをめぐる複雑な地政学の中で事業を進めている。

美団(Meituan):「中国に欠かせない生活サービス・プラットフォーム」

上場状況: 上場企業(香港証券取引所:3690)

設立: 2010年、王興が設立

主な事業:オンデマンド配達(食事、食料品、小売商品)、ホテル・旅行予約、自転車・電動モペッドのシェアリング、レストラン予約、モバイルバッテリーのレンタル、AIを活用した物流

注目すべき理由:
北京に本社を置き、インターネット分野で複数の起業経験を持つ王興が創業した美団は、中国に欠かせない生活サービス・プラットフォームへと成長した。2023年には約220億件の注文を処理し、1秒あたり約700件に達した。フードデリバリーでの圧倒的な存在感に加え、食料品小売、旅行、地域サービス(中国でO2O、すなわち「オンライン・ツー・オフライン」サービスと呼ばれる分野)にも進出し、中国のデジタル経済の中心的な存在となっている。「チーター」に由来する社名を持つ海外向けプラットフォーム「KeeTa」は、中国国外の多数の市場で展開され、特にサウジアラビアで成功を収めている。

意外と知られていないこと:
2024年、美団の自動配送車は490万件超の注文を配達し、ドローンによる配送は45万件に達した。これは同社が中国の「低空経済」に参入したことを示している。また、技術力の強化を目指し、AIスタートアップのライトイヤーを2億8,100万ドルで買収した。さらに、配達員に社会保障給付を提供することを約束しており、従業員の福利厚生を重視する姿勢を示している。

たとえるなら……
アマゾンの物流力とウーバーイーツの配達網に、エアビーアンドビーの旅行サービス、ファンダンゴの映画チケット販売網、そしてグーグルのAIイノベーションを少し加えた企業だ。すべてを大幅に強化して中国市場向けに展開し、急速に世界へ進出している。

泡泡瑪特(ポップマート):「コレクターズトイ市場を再定義」

上場状況: 上場企業(香港証券取引所:9992)

設立: 2010年、王寧が設立

2024年の売上高:

130億4,000万元 (約18億米ドル)

主な事業:デザイナーズトイのコレクターズアイテム、IP開発、世界各地の小売店と自動販売機網

注目すべき理由:
ポップマートは「ブラインドボックス」のコンセプトを世界的な現象へと変え、何が入っているか分からないデザイナーズトイで消費者を魅了している。これは昔ながらのガムボールマシンとは違う。ただし、急速に広がる「キダルト」文化によって、あなたのお父さんも顧客になるかもしれない。北京を拠点とする同社は、実店舗と自動販売機を組み合わせた革新的な小売り手法で、コレクターズトイ市場を再定義した。2024年には、ぬいぐるみシリーズの人気急上昇を追い風に売上高が倍以上に伸びた。特に人気を集めたのは、凶暴そうでいて愛らしいキャラクター「ラブブ」だ。

意外と知られていないこと:
香港のイラストレーター兼デザイナー、カシン・ロンが生み出したキャラクター「ラブブ」は2024年に文化的アイコンとなり、ポップマートの売上高に30億元超をもたらした。独特なデザインと物語性が世界中で支持され、さまざまなコラボレーションやメディアへの登場につながった。

たとえるなら……
中国のソフトパワーが高まる初期の兆候だ。ディズニーの物語づくりの力とシュプリームの話題性を生む商品展開に、アマゾンのテクノロジーを活用した流通力とTikTokの文化的影響力を組み合わせている。

賽力斯集団(Seres Group):「フォード級の産業力を後ろ盾に」

上場状況: 上場企業(上海証券取引所:601127、香港証券取引所への上場申請を近日予定)

設立: 1986年に創業。同ブランドのEV事業は張興海のもとで再興

本社:中国・重慶

主な事業: 新エネルギー車(Seres、AITO)、内燃機関、自動車部品

重要な理由:
重慶を拠点とするSeresは、無名の存在から急成長し、Huaweiの自動運転技術を搭載したEV「AITO」シリーズで、中国市場においてTeslaやBMWに挑むまでになった。重慶市政府の支援を受け、Seresの2024年の販売台数は386,900台を超えた(これは前年比268%増にあたり、世界でわずか4社しかない黒字の新エネルギー車メーカーの一つとなった。

あまり知られていないこと:
Seresは、HuaweiのHarmonyOSを基盤とするHIMAアライアンスと深く結びついており、ブランド戦略の一体感を最大限に高めるため、AITOブランドのライセンスを取得している。また、ネパールや新興地域などの市場を狙い、海外にも事業を拡大した。

たとえるなら…
Huaweiの自動運転技術を頭脳に、Ford級の産業力を後ろ盾にした、規模を拡大したRivianに、新興市場におけるGMの戦略を少し加えたような存在。

小紅書(小红书 / RedNote):「ユーザー生成コンテンツとeコマースをシームレスに融合」

状況: 非公開企業

設立: 2013年、Charlwin Mao WenchaoとMiranda Qu Fangにより設立

主な事業: ソーシャルメディア、eコマース、インフルエンサーマーケティング、AIを活用した検索、越境小売

重要な理由:
国際的にはRedNoteとして知られる小紅書は、中国のファッショナブルな都市生活者向けのニッチなショッピングガイドから、同国を代表するライフスタイルプラットフォームへと進化した。月間アクティブユーザー数は3億人を超え、ユーザー生成コンテンツとeコマースをシームレスに融合。コミュニティでの交流が購買決定を促す、独自のライブコマース・エコシステムを築いている。2024年には、上海を拠点とする同社の収益性が大きく向上し、純利益は倍増して10億ドルを超えた。これは、同社の強固な収益化戦略と、大規模なIPOの可能性を示している。

あまり知られていないこと:
2025年初頭、小紅書では「TikTok難民」と呼ばれる海外ユーザーが急増した。これは、米国におけるTikTokの事業の将来をめぐる不透明感を受けたものだった。この予想外の流入を受け、同社は米国、香港、マカオなどの市場を対象とした海外向けeコマースの試験プログラム開始を含め、グローバル展開計画を加速させた。さらに、プラットフォームにはAI検索ツール「点点」が導入され、ライフスタイル検索エンジンとしての機能が強化された。

たとえるなら…
InstagramのビジュアルストーリーテリングとPinterestの発見エンジンに、Amazonのeコマースの強みを組み合わせ、中国のデジタルネイティブな消費者向けに最適化し、いまや世界市場を見据えている存在。

ライセンスと再掲載について
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