私が運転を習ったころ、車はとても分かりやすかった。比較的安価なガソリンで走り、ラジオが付いていた。
ほかの移動手段は、船、バス、列車、飛行機、オートバイに限られていた。大都市に住んでいれば、公共交通機関や徒歩で移動していた。
数十年後の今、交通手段の種類は基本的に変わらないが、自動車はテクノロジーによって大きく姿を変え、自動車業界は電気自動車や自動運転車から、UberやLyftなどの配車サービスまで、あらゆる変化に揺さぶられている。
空の旅における最大の変化は運賃だ。私が16歳だったころから、ずっと大幅に下がっている。
言うまでもなく、私は交通を取材しており、この10年、変化の波が押し寄せる様子を最前列で見てきた。振り返れば、最も大きな変化は電気自動車だと言うと思うかもしれない。何しろテスラの時価総額は500億ドルで、その指標ではフォードやフィアット・クライスラー・オートモービルズを上回るのだから。
だが、それは違う。
私が見てきた最大の変化はUberでもない。高級航空旅行の登場でも、格安航空会社でも、プライベートジェットの増加でさえない。
高速鉄道?米国ではそれほどでもない。空飛ぶ車?いや、まだだ。
私が見てきた交通の変化で、群を抜いて大きいのは自転車利用の爆発的な増加だ。10年以上前、私はニューヨーク周辺を離れて暮らしていた。ニューヨーク市に住んでいたころも自転車には乗っていたが、戻ってきたとき、これほど自転車が増えているとは思わなかった。
どこもかしこも自転車
CitiBikeのようなシェアサイクルの自転車が、マンハッタンのあちこちに置かれている。1990年代には誰もが自転車便の配達員を避けるのに慣れていたが、今では通勤者や、ブルックリン橋を渡ってみたいだけの人たちを避けて歩く。自転車専用レーンは至る所にあり、自転車向けの信号もある。雨でも晴れでも、みぞれでも雪でも、人々は一年中自転車に乗る。
今では、自転車店の数は、かつてのギリシャ料理のコーヒーショップや場末のバーと同じくらいあるように感じる。
この変化はニューヨークに限らない。米国のほかの多くの都市でも、自転車利用が急増している。電動アシスト付き、積載量を増やした(自転車界のSUVのような)タイプ、洗練されたシングルスピード、太いタイヤのクルーザー、昔ながらのハイブリッドバイクなど、自転車に新たなジャンルが次々と登場している。
この変化は、いつの間にか大きなものになっていた。20年前なら、ニューヨークのアッパーイーストサイドからミッドタウンまで自転車で行こうとすれば命がけだったが、今では膨大な数の自転車が、街の交通網に組み込まれている。
「ニューヨーク市では75万人を超える人々が定期的に自転車に乗っている。わずか5年前より25万人増えた」と、ニューヨーク市運輸局は「街の自転車利用」報告書で述べている。
「ニューヨーク市では毎日45万回を超える自転車移動があると推定される。15年前の3倍だ。」
正直なところ、こうなるとは思っていなかったが、そうなってよかった。交通の変化の中には戸惑うものもある。だが、これは歓迎すべき変化だ。

