社会的企業ドー・エインは、路地を遊び場に変えることで、急成長するヤンゴンの街を変えようとしている。
この街の公共空間の割合は、世界でも最低水準の一つだ。
公共空間を増やすことを目指す社会的企業が、路地や放置された空き地を公園や心地よい場所へと変えている。
何年もの間、イー・レイは、ほかの住人が建物の裏に無造作に捨てるごみの悪臭と、それを餌にする大量のネズミを寄せ付けないよう、1階の自宅の裏口を固く閉ざしていた。
今、ヤンゴン中心部の狭い裏路地に立ち、長年この街に住む彼女は目の前の光景に顔をほころばせた。色鮮やかな壁画、きれいに鉢植えされた植物、小さな木製の腰掛け、ブランコ、鮮やかな緑と黄色のシーソーがあった。
「裏通りがこんなふうになっているのを見ると、すばらしい気持ちになります」と、55歳のイー・レイは感慨深げに語った。
ごみだらけの通りを公共の遊び場兼庭園へと変える路地の改修は2017年に行われ、急成長するこの街をより暮らしやすくしようと取り組む社会的企業ドー・エインが主導した。
「ヤンゴンは、この地域でも世界でも、公共空間の割合が最低水準の一つです」と、ドー・エインの創設者エミリー・ロエルは、事務所の裏にある別の色鮮やかな路地でトムソン・ロイター財団に語った。
「つまり、子どもたちには遊ぶ場所がなく、高齢者には外で静かに座れる場所がなく、人々が気軽に集まれる場所もほとんどありません」と彼女は述べた。
最新のプロジェクトとして、ドー・エインは昨年6月、ヤンゴン郊外のヤンキンで、もう一つのごみ捨て場になりかけていた放置地に、地域の遊び場と公園を開設した。
ケニアからコロンビア、スペインからシンガポールまで、都市計画担当者や企業、市民は、急成長する都市に緑豊かな開放空間をつくり、地域のつながりを育み、深刻化する汚染や窮屈な居住環境に取り組んでいる。
国連によると、世界人口の半数以上が都市に暮らしている。ワシントンに拠点を置くシンクタンク、世界資源研究所のロビン・キングは、都市部が包摂的で持続可能であることが極めて重要だと述べた。
同研究所の「持続可能な都市」プログラムのディレクターは、「特に貧しい人々にとって重要です。民間のレクリエーション空間を利用する機会が必ずしもあるとは限らないからです」と語った。
ロエルも同じ懸念を抱いており、ヤンゴン周辺では、民間所有の遊び場や、家族に利用料を課す空間が次々と登場していると話す。
「裕福な子どもの中にはそこで遊ぶ余裕がある子もいますが、貧しい子どもの多くは、良い遊び場へ行くのに何キロも移動しなければならなかったり、あまり外に出られなかったりします」と彼女は述べた。

「私たちの家」
地元の非営利団体アナザー・デベロップメントの調査によると、1990年から2014年にかけて、ミャンマーの旧首都で最大の都市ヤンゴンの人口はほぼ倍増し、500万人を超えた。
しかし、1人当たりの緑地面積は約40%減少し、約0.40平方メートル(4平方フィート)となった。
政府のデータや各種調査によると、これは、ジャカルタやバンコクなど人口密度の高いほかの東南アジアの都市を大きく下回る。両都市の1人当たり緑地面積は約7平方メートル(75平方フィート)だ。
人類学を学んだロエルがヤンゴンに緑地を増やそうと取り組み始めたのは、2013年に国連で働くためこの街に移り住んだ後、傍らで始めたプロジェクトがきっかけだった。
友人の歴史的建造物にあるアパートの改修を手伝ったことで、彼女は文化遺産の修復に関わるようになった。また、自宅近くの小さな路地を庭園に変えたことから、さらにプロジェクトが広がった。
ロエルと数人の友人が近所の子どもたちと活動を企画した際、「ごみについて人々がもっと責任を持つべきだということや、公共空間が足りていないことについて、話し合いが始まりました」と彼女は語った。
「それによって、所有者意識や参加意識がいくらかよみがえったようでした……そして、地域の人たちが私たちのところに来るようになりました。」
2017年までに、彼女たちはドー・エイン(「私たちの家」)を設立した。建築・デザイン事務所として、現在は30人を超えるスタッフを擁し、ヤンゴン各地の放置された場所を緑のオアシスに変える、営利・非営利の複数のプロジェクトを手がけている。
ごみから自撮りスポットへ
ヤンゴンの活気あふれる中心部には壮麗な植民地時代の建物が数多く並び、その一部はホテルやバー、レストランとして新たな命を吹き込まれている。
しかし、1980年代から1990年代の建設ブームのさなかに急増したけばけばしい色に塗られた建物の裏にある路地の多くは、住民によってごみ捨て場として使われることが少なくない。
ヤンゴン市開発委員会(YCDC)の汚染管理・清掃部門副局長、ゾー・ウィン・ナインによると、法律上、同委員会がごみを回収するのは指定されたごみ箱や場所であるため、これらの路地には市当局の手も届かなかった。
しかし、2016年の指令により、同氏の部門はヤンゴン中心部の6つの郡区で、こうした裏通りを一度限りで清掃することになった。清掃はすでに完了し、YCDCは同様の取り組みをほかの地域にも広げていると、同氏は付け加えた。
ドー・エインが改修した裏通りは、これまでに8か所に上る。クラウドファンディングと寄付を資金源とするこれらの場所は、華やかなパンフレットに載る場所以外の街を見たい観光客や、最高の自撮りスポットを探す地元住民を引きつけている。
同時に、クリーン・ヤンゴンなどの地域団体も、ヤンゴンの通りからごみをなくすことの重要性を訴えている。
2017年に始まったクリーン・ヤンゴンのキャンペーンには、現在、地元の非営利団体が約60団体参加している。ボランティアが人通りの多い公共空間のごみを拾うイベントを毎月開催している。
キャンペーンの代表者、ティンザー・エーは、「当初、人々はただの一時的な流行だと思っていました。でも、2年以上たった今も続いているので、一般の人たちがますます参加するようになっているのがわかります」と語った。
YCDCのゾー・ウィン・ナインは、こうした団体が増えていることは重要だと述べた。
「ヤンゴンをきれいに保つには、住民を含め、街にいる全員の参加が必要です。一つの部門だけが責任を負うことはできません」と同氏は語った。
それでも、雨季には一年の半分にわたってカビが発生しやすく、レンガ造りの建物を清掃する高額な処置を行う余裕のある世帯も少ないこの街では、こうした空間の維持は継続的な課題だ。
ドー・エインのロエルは、「地域の人々が自分たちの場所だと感じることが、本当に重要な要素の一つです」と語る。団体は、空間の改修費用の一部を近隣住民や建物の所有者に負担してもらい、維持管理の責任も一部担ってもらうという。
ドー・エインが薬用植物や食用植物の茂る都市農園に変えた、キャウ・ジン・ミンのアパート前の路地。その共有意識は、彼に地域のつながりが深まったと感じさせた。
彼の通りにある壁の一つには、かつて政治犯として拘束され、現在はヤンゴン地域議会の議員を務めるブロガー、ネイ・フォン・ラットの詩が記されていた。清掃された路地が2年前に再開した日を記念して書かれたものだ。
「この小さな通りは、テープカットで開かれたのではない。私たちの心を閉ざしていた金属の鎖を断ち切ることで開かれた」と詩には記されていた。
「以前は、ごみや汚れ、ネズミのせいで足を置く場所もありませんでした。下水も漏れていました。本当にひどかったです」とキャウ・ジン・ミンは語った。
「今は、家の中が暑ければ外に出て、ここで日陰に座って休めます。学校が休みの間は、子どもたちがここで遊べます。」
