Open For Businessの2022年都市評価は、経済実績とLGBTQ+コミュニティの包摂度に基づいて145都市を順位付けしています。
アムステルダム、ボストン、ロンドンは、世界で最もLGBTQ+に包摂的で革新的な都市に数えられます。
ケニアのナイロビ、インドのチェンナイ、チリのサンティアゴなどの都市では、LGBTQ+に関する状況が改善しています。
新たな報告書によると、包摂的な都市は競争力が高い傾向にあります。
Open For Businessの2022年都市評価は、経済実績とLGBTQ+コミュニティ(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、クィア(または自認を模索中の人)など)の包摂度に基づいて145都市を順位付けしたものです。
全体として、豊かな都市ほどLGBTQ+に包摂的な傾向にあると、著者らは述べています。
その他の主な調査結果を10項目紹介します。
オランダの首都、LGBTQ+分野で世界をリード
アムステルダムは2年連続で、世界で最もビジネスに開かれた都市となりました。著者らによると、オランダの首都はLGBTQ+インクルージョンの「世界を照らす力強い灯台」であり、2022年の評価対象都市の中でLGBTQ+コミュニティに対する「最も寛容な社会的態度」を示しています。アムステルダムでは、LGBTQ+の人々に対する法的障壁はごくわずかです。雇用や商品・サービスへのアクセスにおいてLGBTQ+の人々を差別することは違法です。アムステルダムのビジネス面の強みには、起業家精神における「卓越した」実績と「活況を呈する」スタートアップ環境があります。
米国でLGBTQ+分野の評価が最も高い都市はマサチューセッツ州に
ボストンは、報告書でトリプルA評価を得た米国唯一の都市です。米国では複数の都市や州が転向療法を禁止しており、ボストンもその一つです。転向療法とは通常、性的指向や性自認を変えることを目的とした、心理的、医学的、または信仰に基づく療法です。国連はこうした行為を拷問にたとえています。ボストンはイノベーション分野で世界第2位となり、評価対象都市の中で人口当たりの名門大学数が最も多くなっています。
ロンドンはLGBTQ+インクルージョンを強く支持
ロンドンもこの指数で最高のAAA評価を得ています。報告書によると、英国の首都はLGBTQ+のインクルージョンと平等を「揺るぎなく支持する都市」として知られています。評価対象の145都市の中でも、イノベーションと人的資本(技能や知識)の水準は最高レベルです。しかし英国政府は2022年4月、長らく待たれていた転向療法禁止措置の対象にトランスジェンダーの人々を含めないと発表しました。著者らは、これが今後ロンドンのAAA評価に「悪影響」を及ぼす可能性があると述べています。
ナイロビ、LGBTQ+インクルージョンのランキングで上昇
アフリカでは、ケニアの首都ナイロビが初めてランキングを上げました。同市は「ビジネスに開かれていない」と分類されていますが、起業家精神のスコア上昇とLGBTQ+インクルージョンの小幅な改善が順位上昇につながりました。ケニアは、国勢調査にインターセックスの人々を含めたアフリカ初の国となりました。LGBTQ+コミュニティに対する「社会的態度の改善」も見られます。ただし、同性間の性行為は依然として犯罪とされています。
インド、チェンナイでLGBTQ+の状況が前進
アジア太平洋地域では、インドのチェンナイでインクルージョンとイノベーションに関する「多くの初の取り組み」があったと、2022年のランキングは指摘しています。例えば、チェンナイが位置するタミル・ナードゥ州は、2021年6月にインドで初めて転向療法を禁止しました。また裁判所は、州内の警察がLGBTQ+コミュニティの人々に嫌がらせをした場合、処罰されるべきだとの判断を示しました。チェンナイはインド初の市イノベーション担当官の職を設け、開発を促進・推進するためのイノベーション拠点を整備しました。
オーストラリアのLGBTQ+ランキングでパースが首位
オーストラリアでは、今年のランキングで順位を上げたのはパースだけで、高いAA評価を獲得しました。最も注目すべき変化は、パースが2021年後半に、インターセックスやアセクシュアルの人々も含むLGBTQ+コミュニティ向けの初の計画を採択したことです。この計画では、安全、教育、ホームレス問題、医療など7つの主要分野における取り組みを示しています。同市は、企業向けにLGBTQ+インクルージョン研修を支援することを目指しています。パースでは経済指標の大半も改善しました。
中・東欧ではタリンが首位
エストニアの首都タリンは、中・東欧で最も高い順位の都市です。LGBTQ+の人々に対する態度には改善の兆しが見られると、著者らは述べています。エストニアは、LGBTQ+の権利保護に取り組む政府間グループ「平等権連合」の地域内で数少ない加盟国の一つでもあります。しかし、婚姻の平等はまだ法的権利として認められておらず、転向療法も禁止されていません。同市はイノベーションとスタートアップ活動で「地域を明確にリード」しており、欧州のどの国よりも人口当たりのスタートアップ数が多く、住民100万人当たり1,107社に上ります。
ラテンアメリカでLGBTQ+の権利が前進
チリ、メキシコ、コスタリカの首都であるサンティアゴ、メキシコシティ、サンホセは、ラテンアメリカで「包摂性と競争力が部分的にある」と分類された都市に含まれます。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)により、これらの都市の経済競争力スコアは低下しました。しかし、LGBTQ+インクルージョンがランキングのさらなる下落を食い止める「重要な要素」となりました。コスタリカでは2020年5月、同性カップルの結婚が認められました。サンティアゴでは2021年後半に婚姻の平等が導入され、2022年3月には同性カップルが結婚し、共同で子どもを養子に迎えることが認められました。メキシコシティは、すでに2009年に婚姻の平等を合法化しており、メキシコで初めて転向療法を禁止した場所となりました。
イスラエルの都市がLGBTQ+分野をリード
イスラエルのテルアビブは、LGBTQ+の権利に関する近年の前進と、LGBTQ+コミュニティへの強力な法的保護を背景に、アフリカ・中東地域をリードしています。イスラエルは2022年2月、医療従事者による転向療法を禁止しましたが、トランスジェンダーの人々は対象に含まれませんでした。テルアビブは起業家精神、イノベーション、人的資本の各分野でも地域最高のスコアを得ています。一方、イスラエル全土では2000年以降、LGBTQ+の人々に対する社会的態度が悪化しています。
アブダビとドバイはLGBTQ+インクルージョンの評価が低い
中東では、アラブ首長国連邦のアブダビとドバイはいずれも、評価対象都市の中で「LGBTQ+インクルージョンのスコアが最も低い都市の一つ」です。国の法律では同性間の親密な関係は死刑に処され、地域の法律で定められた刑罰は禁錮14年です。トランスジェンダーの人々は、公的書類上の法的な性別を変更できません。著者らは「こうした犯罪化は、アブダビとドバイの競争力や人材誘致力に長期的な影響を及ぼす可能性がある」と述べています。
世界的に見ると、Open For Businessの2022年都市評価では、順位を上げた都市より下げた都市の方が多くなっています。
著者らはこれを懸念すべき状況と述べています。性的指向や性自認を理由に「世界中で何百万人もの人々が、安全を感じにくくなり、差別、嫌がらせ、暴力にさらされている」ことを意味するからです。
LGBT+インクルージョンに取り組む世界企業の連合体Open For Businessは、企業のリーダーたちがこの評価を活用し、包摂的な政策づくりを改善することを期待しています。
都市評価は2018年に開始され、プロフェッショナルサービス企業のアクセンチュアおよび戦略アドバイザリー企業のブランズウィックとの提携により発表されています。




