「悪い円安」の裏に低成長・日本の現実、脱却は可能か
2021年の為替市場では「悪い円安」論が跋扈した。この際、「悪い」には二つの意味が混在していたように思う。一つは「日本の政治・経済への不信が円売りを強めている」という「日本回避」という意味での「悪い」だ。
2021年の為替市場では「悪い円安」論が跋扈した。この際、「悪い」には二つの意味が混在していたように思う。一つは「日本の政治・経済への不信が円売りを強めている」という「日本回避」という意味での「悪い」だ。
世界経済のリスク要因から新型コロナウイルスの感染拡大が取り除かれたわけではないが、もはやそれは主役ではなく、感染拡大を起点として火が付いた供給制約、そしてこれに付随するインフレ高進がテーマである。
内閣府が16日に発表した2021年4〜6月期国内総生産(GDP)は物価変動の影響を除いた実質ベース(季節調整値)で前期比プラス0.3%、年率換算では同1.3%だった。日本経済研究センターのまとめる「ESPフォーキャスト」における予想中央値(前期比・年率プラス0.66%)も上回っており、仕上がり自体は「強め」と評価すべき内容である。
2021年も為替市場、いや金融市場全体のテーマが新型コロナウイルスの感染状況にあることは論を待たず、そのかぎを握っているのがワクチン供給の多寡であることは周知の通りである。