がん700万件が予防可能、その他健康に関する最新動向

大気汚染は、毎年数百万件の予防可能ながん症例を引き起こす健康リスク要因の一つです。 Image: Reuters/Amel Emric
Shyam Bishen
Head, Centre for Health and Healthcare; Member of the Executive Committee, World Economic Forum- このグローバル・ラウンドアップでは、ヘルスケアに関する最新動向をお届けします。
- トップストーリー:700万件のがん症例が予防可能、女性器切除(FGM)は依然として重大なリスク、サウスカロライナ州で麻疹(はしか)の集団感染が発生
1. 700万件のがん症例が予防可能
世界保健機関(WHO)と、その専門機関である国際がん研究機関(IARC)の新たな報告書によると、世界のがん症例の最大4割は予防可能であることが明らかになりました。
同調査では、タバコ使用から大気汚染まで30の修正可能なリスク要因を分析。2022年に新たに診断された全がん症例の37%が予防可能な原因に起因すると結論付けました。これは、世界全体で710万症例に相当すると推定されます。
タバコは最大の単一予防可能要因と特定され、世界の新規がん症例の15%を占めています。報告書によると、感染症が10%で第2位、アルコール摂取が3%で第3位です。
予防可能ながん新規症例の割合は、男性が45%と女性(30%)を大きく上回りました。主な原因は、男性では喫煙(23%)、女性では感染症(11%)でした。
世界経済フォーラム年次総会2026で行われたセッションでは、最新の研究と新たな治療法が、がんの予防、検診、治療の改善にどのような可能性をもたらすか、またその限界がどこにあるのかを探りました。その様子は以下の通り。
2. 450万人の少女が対象となる、FGMの危険性
国連のリーダーたちによる共同声明によると、2026年時点で推定450万人の少女(その多くが5歳未満)に女性器切除(FGM)が行われる可能性があります。
世界ではすでに2億3,000万人以上の少女・女性が、この慣行による生涯にわたる身体的、心理的、社会的影響を抱えて生活しており、FGMに関連する健康上の合併症の治療には、年間約14億ドルの費用がかかると推定されています。
防止に向けた進展は加速しているものの、課題は残っています。保健教育、地域主導の取り組み、メディアキャンペーン、支援体制の強化などの施策により、FGMを受ける少女の割合は、2人に1人から3人に1人に減少しました。
ただし、国連のリーダーたちは、持続的な政治的コミットメント、予測可能な資金調達、強化されたパートナーシップがなければ、これらの成果が後退する可能性があると警告しています。
3. 短報 - 世界の健康に関するその他の話題
米国サウスカロライナ州で麻疹が流行 - 同州では920例の麻疹(はしか)症例が報告されており、その大半がグリーンビルとスパルタンバーグで発生。ワクチン接種率が低い状況下で、この流行は数週間から数カ月続く見込みです。感染者の大半は未接種者であり、これを受けて、2026年1月には州全体で麻疹ワクチン接種が大幅に増加しました。
バングラデシュ北部でニパウイルスによる死亡例が発生 - これに先立ちインドで2例のニパウイルス感染が確認。一部のアジア諸国で、空港での健康検査を強化していた矢先でした。WHOによると、コウモリ由来の食品を介して感染するこのウイルスは、致死率が高いものの、人から人への感染は発生しにくいため、国際的な感染拡大リスクは低いとされています。
女子の自閉症は診断されにくい - スウェーデンの大規模研究により、女子は男子と同程度の有病率にもかかわらず、小児期に自閉症と診断される可能性が著しく低く、診断が思春期や若年成人期まで遅れることが多いことが判明しました。専門家は、構造的な偏見、症状の隠蔽、時代遅れの固定観念が診断不足の一因となっていると指摘しています。
HPVワクチンが子宮頸がん検診を変革する可能性 - 新たな研究によると、思春期早期にヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンを接種した女性は、生涯で必要な子宮頸がん検診が大幅に減少する可能性があります。12~24歳で接種した場合は15~25年ごとの検診で十分であり、25~30歳で接種した場合でも10年ごとの検診で済むとされています。専門家は、これらの知見が非常に高いワクチン接種率と、研究が行われたノルウェーのような統一された検診プログラムがあってこそ成り立つ点に、注意を促しています。
4. 世界経済フォーラムからの情報
健康は世界最高の投資 - 世界経済フォーラムのヘルス、ヘルスケア部門の責任者として、健康状態の悪化がもたらす経済的コストについて記事を執筆しました。このコストは現在、年間でグローバルGDPの約15%に相当する規模。同時に、医療システムでは効果的でない介入に支出の20~30%が浪費されており、成長を鈍化させ、競争力を損なう要因となっています。健康をコストではなく投資と捉えることで高いリターンが得られるというテーマは、2026年の年次総会で行われた専門家主導のパネルセッションでも取り上げられました(下記動画を参照)。断固たる対策が講じられなければ、数十年にわたる進歩が後退する恐れがあります。
非感染性疾患(NCD)に対する解決策の模索 - 糖尿病や心臓病などの非感染性疾患(NCD)は、早期死亡の大部分と多大な医療費の原因となっていますが、多くの症例について、早期介入による予防、管理が可能です。2026年年次総会において専門家たちは、AIの活用、食料システムの改革、地域社会の関与、健康的な選択へのインセンティブなど、対症療法から予防への転換を強調しました。NCD対策の要点は、こちら。
医療分野におけるサイバーレジリエンスの優先順位向上 - 医療はサイバー攻撃の大きな標的であり、情報漏洩は患者ケアの混乱、信頼の喪失、数百万ドル規模の損失を引き起こします。一方、サイバーレジリエンスよりも診療を優先した投資が行われることが多いのが現状です。戦略的なデジタルツイン技術が、病院運営のシミュレーション、サイバーリスク対策の検証、投資の最適化をどのように可能にするか、詳しくはこちら。
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