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インドの消費成長は、注目されていない地域にあり

企業は、インドの主要メガシティ以外の場所に目を向け、新たに誕生する高い消費力を持つ数百万人の都市住民にリーチする必要があります。 Image: Tejj/Unsplash
- インドでは大規模な都市化が進んでおり、消費成長の93%が地方へ分散しています。
- 地域の中産階級の富裕層が拡大するにつれ、国内に約500の消費都市が出現する見込みです。
- 企業は、主要メガシティ以外の場所に目を向け、新たに誕生する高い消費力を持つ数百万人の都市住民にリーチする必要があります。
グローバル企業がインドのメガシティに集中する一方で、消費パターンの根本的な変化が進行中です。今後15年間で、インドの都市部消費者層の成長の93%は、国内5大都市以外で発生する見込みです。この分布状況を踏まえ、企業が世界有数の重要新興市場にどうアプローチするかを再考する必要があります。
メガシティ神話
インドのメガシティが注目されるのは当然のことです。インドには世界人口トップ10都市のうち、人口2,950万人のニューデリーと2,210万人のムンバイの2都市が存在します。
一方、2040年までにインドの都市部消費者層の増加分の93%は、ニューデリー、コルカタ、ムンバイ、バンガロール、チェンナイの5大都市以外で発生する見込みです。これらの大都市は主要な経済拠点であり続けますが、同期間の消費者層への新規参入者の割合はわずか7%に留まるでしょう。
2035年までに、インドには「消費者都市」が499都市誕生する見込みです。これは人口の75%が消費者層(1日あたり13ドル以上を消費)に属する都市と定義され、現在の2倍以上の規模となります。2040年までに、インドでは50万人規模の消費者を抱える都市が149都市に増加する見込みです。これは米国の53都市、欧州の112都市を大きく上回る規模となります。190都市の中国のみが、同国を上回ると予測されています。
この成長は二級都市に集中しているわけではなく、国内数百の急成長都市圏全体に広がっています。

ニューデリーが示すインドの消費者の未来像
主要都市圏外での消費者成長が最も顕著である一方、ニューデリー住民の消費額は依然として最高水準です。主要都市の現状を理解することは、新興都市における将来の機会の予測に役立つでしょう。
2026年時点で、インド国民の平均支出額は1,927ドルであるのに対し、ニューデリー住民の支出額は3,265ドルと、全国平均を約70%上回ります。


この支出格差は、所得水準の高さと特有の消費パターンを反映したものです。
- ニューデリーでは住宅費が支出の31%を占め(全国平均14%)、生活費の高さを示しています。都市が発展するにつれ、不動産および賃貸費用が消費傾向に影響すると考えられます。
- 飲食費は、全国平均(29%)よりも都市部(18%)で支出に占める割合が低くなっています。これはエンゲルの法則に沿うものです。つまり、収入が増加するにつれ、絶対的な支出額は同じでも、食費の割合は減少するのです。
- アルコール飲料と衣類は、ニューデリーでは全国平均と比較して支出に占める割合が低くなっています。また、交通費は全国平均より高く、これは通勤需要の増加や移動コストの上昇が要因と考えられます。
- 教育費、身だしなみ費、金融サービス費は都市部でより高く、所得上昇に伴い、ヒューマンキャピタル(人的資本)への投資やプレミアムサービスがより重要な役割を果たしていることを示しています。
こうした傾向は、今後10年間で数百の地方都市が臨界点に達する中で、今後の動向を予兆している可能性があります。
都市境界の外側
都市境界は、従来の行政区分が示すよりも流動的なものであり、市場規模の推定や戦略策定において重要な意味を持ちます。
インド全土で消費都市が増加し続ける中、消費パターンや労働市場が都市境界を越えて広がる、同様の相互接続された都市クラスターが形成される可能性が高いでしょう。効果的な市場戦略を構築するには、これらの都市を行政区分のみに依存せず、経済圏として捉えることが極めて重要です。
拡大する中産階級
インドの拡大する都市に居住する消費者層とは、具体的にどのような人々でしょうか。2036年までに、インドの中産階級および富裕層消費者が全支出の93%を占める見込みです(2026年の80%から増加)。2035年までに、インドの主要世代(ベビーブーマー、X世代、ミレニアル世代、Z世代)のそれぞれにおいて、20%以上が1日あたり45ドル以上を消費する見込みです。これにより、幅広い年齢層にアピールする製品、サービスを開発するビジネスチャンスが生まれます。
企業戦略への示唆
1. 分散型アプローチ
上位5都市のみに焦点を絞る企業は、消費者層の成長の93%を見逃すことになります。数百に及ぶ中小都市へ効率的にリーチできる分散型事業体制と、地域市場のニーズや嗜好に合わせた商品、サービスの提供が求められます。
2. 行政区域の枠を超えた思考
行政区域の境界は、経済的実態を捉えきれません。戦略立案においては、都市の経済的影響圏全体を考慮すべきです。
3. プレミアム化への備え
新興都市においても、富裕層や中産階級が増加する消費者層に向けた、製品とサービスの設計が求められます。
4. 都市型消費パターンの予測
都市が臨界規模に達するにつれ、住宅中心の支出、体験型経済、モビリティソリューションなど、ニューデリーで見られる消費パターンへの移行が予想されます。
企業にとっての課題は、もはやインドのメガシティ以外への進出の是非ではなく、数百の都市圏で起きている急速な成長に対応する能力を、いかに迅速に構築できるかです。
本寄稿文のデータはすべて、ワールド・データ・ラボの査読済み自社ツールおよび予測に基づいています。
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