気候アクションの学び場を、ロンドンの「空き家」で次々展開

London City skyline, view from Stave Hill

Image: Getty Images

IDEAS FOR GOOD

大都市の中心部は、人口だけではなく建物も多い。近年は政府や地方自治体が、廃墟や空き家への対応に苦労している事例も少なくないだろう。ロンドンもそうした課題を抱える都市の一つだ。2018年のデータによると、イギリス全体では、10年以上空き家となっている住宅が1万1,000軒以上存在するとの調査結果がある。中でもロンドンでは、投資目的で購入された家が放置されていることが問題になっており、空き家によって地域コミュニティのための場所が減少していくことも危惧されている。

そんな中、ロンドンでは使われなくなった映画館や図書館、小学校の庭、空き地を、気候変動対策を学ぶ場所に転用するプロジェクトが始まった。「Sharing Spaces(シェアリング・スペース)」と名付けられたこのプロジェクトは、地元の人々にコミュニティ・スペースを提供し、気候変動対策に関する技術を学んでもらうと同時に、地域のつながりを構築していく。対象は、ロンドン内の7つの行政区にまたがる8つの地域だ。

シェアリング・スペースは、各地域で、順番に約3か月間開催される。毎週開催されるワークショップでは、地域住民が衣服を交換したり、裁縫やアップサイクルの技術を学んだりする。さらには、エネルギー料金を節約する方法を学んだり、近隣の植林や栽培計画に参加したりするセッションもある。肉を使わない低コストの料理を学べる教室も人気だという。

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このように、シェアリング・スペースでは気候変動対策そのものに関心がある人だけでなく、「生活費を削減したい」「自然保護の方法を学びたい」など、自分のライフスタイルを変えたいと思っている人たちが、気軽に参加できる場となっているのだ。

このプログラムは、環境に配慮した生活の工夫や知識をコミュニティで共有し、学び合うための取り組みとして、Camden Think & Doによって考案された。Camden Think & Doは、ロンドンのカムデンにある気候変動と社会活動のためのコミュニティ・スペースであり、2021年からこのプロジェクトを運営している。

現在は、気候変動対策に取り組む慈善団体Ashdenの支援を受けて、この学びをロンドン市内の他のコミュニティと共有している。2024年4月に開始されたイーリング、バーネット、ブロムリーでのシェアリング・スペースには、1,000人以上が参加したという。

ロンドンでは、不法占拠者たちが荒廃した建物を修繕し、コミュニティのために活用できる場所として再生する「ReSpace」という取り組みも行われている。これらは空いている土地という物理的な資源と、コミュニティ全体で情報や技術を共有することの価値を掛け合わせた、世界中の街(町)に示唆がある事例と言えるのではないだろうか。

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