AIとテクノロジー、「インテリジェント時代」について知っておくべきこと〜年次総会2025〜
- 最近の調査によると、AIや量子コンピューティングを含むテクノロジーが、あらゆる分野の企業にとって、変化とディスラプション(創造的破壊)の主要な原動力となっています。
- 「インテリジェント時代における産業」は、ダボス会議2025のサブテーマのひとつであり、この構造的な変化における時代の専門家が一堂に会します。
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AI、量子コンピューティング、ブロックチェーンなどの急速な進歩により、インテリジェント時代にはあらゆる場所であらゆるものが一挙に変革しつつあります。
産業界は、このような大きな技術的シフトだけでなく、大規模な地経的変化も考慮したビジネス戦略の適応を求められています。
ダボスで開催されている世界経済フォーラム年次総会2025では、専門家が一堂に会し、ビジネスリーダーが短期的な目標と長期的な課題のバランスを取りながら、それぞれの業界を変革していく方法について議論します。
世界経済フォーラム年次総会2025 の主なセッション
以下の時間はすべて中央ヨーロッパ時間(日本時間との時差: JST -8)です。
1月21日(火曜日)
08:15 - Getting EV Supply Chains Right
13:00 - Crypto at a Crossroads
13:00 - Demystifying Industrial Policy
1月22日(水曜日)
10:15 - Keeping up with Smart Factories
11:30 - Cutting Through Cyber Complexity
17:30 - AI: Lifting All Boats
1月23日(木曜日)
09:00 - Defending the Cyber Frontlines
10:15 - Thriving in Orbit
10:45 - Technology in the World
1月24日(金曜日)
09:00 - Giving Intangibles Real Value
知っておきたいレポートと発表
世界経済フォーラムのサイバーセキュリティレポートによると、地政学的緊張の高まりや新興技術の急速な導入により、サイバー環境はますます複雑化しています。こうした状況は、組織や国家に深刻かつ広範な影響を及ぼし、サイバー不公平をさらに悪化させています。
- Global Lighthouse Network: The Mindset Shifts Driving Impact and Scale in Digital Transformation(グローバル・ライトハウス・ネットワーク:デジタルトランスフォーメーションにインパクトとスケールをもたらすマインドセットの変革)
グローバル・ライトハウス・ネットワーク(GLN)は、デジタルトランスフォーメーションにより、生産性と持続可能性において卓越したインパクトを達成した企業を認定。本白書では、デジタルにおける「スケール化のスランプ」への対処から現場の労働力への投資まで、本ネットワークに新たに加わった36のライトハウスが得た最先端の教訓について報告します。
- Better Together: Building a Global Health Network through Data Collaboration(改善のための連携:データ連携によるグローバル・ヘルス・ネットワークの構築)
本白書は、グローバルヘルスにおけるデータネットワークエコノミーのビジョンを提示し、連携とイノベーションによりヘルスケアの課題に対処するための変革的アプローチを提供。ヘルスデータにおける連携に不可欠なイネーブラーと、ヘルスケアにおいて影響力のある、スケーラブルなソリューションを生み出すための成功事例と戦略を探求しています。
- The Global Public Impact of GovTech: A $9.8 Trillion Opportunity(ガブテック(GovTech)のグローバルな公共へのインパクト:9.8兆ドルの機会)
2034年までに、ガブテック(GovTech)は、世界全体で9.8兆ドルの公共価値を創出し、政府の運営方法や市民とのつながりを変革すると予測されています。
効率性、透明性、持続可能性への要求が高まる中、GovTechはプロセスの効率化、コスト削減、公共の信頼の再構築のためのソリューションを提供。政府はイノベーションを受け入れ、官民連携を促進するための決断が必要であることを、本レポートは強調しています。
- Centre for the Fourth Industrial Revolution (C4IR) India - An Impact Journey(第四次産業革命センター(C4IR)インド:インパクトの軌跡)
C4IRインドは2018年に発足し、過去6年の間に国内における125万人の市民に直接影響を与え、イニシアチブを通じて意義ある変化をもたらしてきました。本レポートでは、これまでの主要な成果を振り返り、複雑な開発課題に対応するための技術拡張には、複数のステークホルダーによる連携が不可欠であることを強調しています。
- Embracing the Quantum Economy: A Pathway for Business Leaders(量子経済の受容:ビジネスリーダーのための道筋)
本レポートは、コンピューティング、センシング、通信・セキュリティの3つの主要分野において、量子テクノロジーが世界の産業と経済に変革をもたらす可能性を強調。これらのテクノロジーにより、先進的な機械学習やシミュレーションを通じた業務の最適化、疾病検出の精度向上、サイバーセキュリティの将来的な強化に不可欠な最先端の暗号技術による安全なデータ通信などを実現することができます。
1月21日:Blueprint for Intelligent Economies: Achieving Growth through Inclusive AI(インテリジェントエコノミーの青写真:包摂的AIによる成長の実現)1月21日:AI Transformation of Industries: Frontier Technologies Transforming Industrial Operations (AIによる産業の変革:産業オペレーションを変えるフロンティアテクノロジー)1月22日:Teach AI Partnership(ティーチAIパートナーシップ)
「産業におけるインテリジェント時代」について知っておくべきこと
新型コロナウイルス感染症のパンデミックから気候変動、さらには紛争の波及的影響に至るまで、過去数年間、産業やサプライチェーンにとってほぼ絶え間ない混乱が続いています。
混乱は課題をもたらす一方、初期投資から実用化へと迅速に移行できる企業にとっては、生産性や成長、広域な持続可能性において新たな機会をもたらします。
変革は、製造業だけでなく、その他のセクターの企業にとっても、混乱に耐えるだけでなく、激動する環境の中で長期的に繁栄するために不可欠です。
研究によると、デジタルトランスフォメーションは持続可能性の向上とオープンイノベーションの促進をもたらす触媒となり得ます。リーダーたちは、こうした変化がもたらす機会を最大限に活用するための、新しく、現代的なリーダーシップ・ツールキットを必要としています。
AIガバナンス・アライアンス(AIGA)は、産業変革の推進を通じ、責任あるAI導入のためのベストプラクティスを確立。同時に、産業エコシステムを変革し、長期的な社会的利益をもたらす実践的なAI活用や先端的の革新を模索するために、世界のリーダーを結集しています。
AI、量子コンピューティング、バイオテクノロジー、ロボティクス、自動化などの分野における進展は多くの機会をもたらす一方、これらの新技術はエネルギー需要を急増させています。
国際エネルギー機関(IEA)は、2026年までにデータセンターの電力消費量が1,000TWhに達する可能性があると予測。これは日本の年間エネルギー消費量にほぼ匹敵します。
こうしたことから、インテリジェント時代を支える電力供給は、世界の電力需要と供給に大きな影響を与える非常に大きな課題となるでしょう。急速に進化する技術がエネルギー消費を現在よりもはるかに増大させる中、電力供給が、業界の脱炭素化やネットゼロ目標にも広範な影響を及ぼすことが予想されています。
「産業におけるインテリジェント時代」についてさらに知る
過去12か月間に発表された主要な出版物
- Disrupting Cybercrime Networks: A Collaboration Framework(サイバー犯罪ネットワークの撲滅:連携の枠組み)
業界の専門家とパブリックセクターの連携により、サイバー犯罪の撲滅が進んでいます。世界経済フォーラムの「Partnership against Cybercrime(サイバー犯罪に対抗するパートナーシップ)」が作成した本白書は、既存のパートナーシップの成功を基に、サイバー犯罪活動の撲滅を加速させる方法を探求。世界各地の主要なサイバー犯罪対策の連携事例を分析し、効果的なパートナーシップの共通要素と課題を特定しています。
- Governance in the Age of Generative AI: A 360° Approach for Resilient Policy and Regulation(生成AI時代のガバナンス:レジリエンスの高い政策と規制のための360°アプローチ)
急速なイノベーションと世界的な不確実性の中、生成AIは産業、経済、社会を再形成する変革の力として台頭。この重要な局面において、先見的なリーダーシップと、将来を見据えたガバナンスへの協力的なアプローチが求められています。
「新興テクノロジー・トップ10 」レポートは、戦略的インテリジェンスの重要な情報を提供しています。2011年に初めて発行されて以来、科学者、研究者、未来学者の洞察をもとに、社会や経済に大きな影響を与える可能性のある10の技術を特定しています。これらの技術はディスラプティブ(創造的に破壊的)、投資家や研究者にとって魅力的であり、さらに、5年以内に大規模な展開が見込まれています。本版では、同フォーラムのグローバル・フューチャー・カウンシルズ、および世界の一流機関の編集者2,000名以上からなる、学術研究の大手出版社「フロンティアーズ」の世界的ネットワークから、300名以上の専門家の協力を得ることにより、分析の幅を拡大しています。
- AI for Impact: The PRISM Framework for Responsible AI in Social Innovation(インパクトをもたらすAI:社会的イノベーションにおける責任あるAIのためのPRISMフレームワーク)
AIは、組織が社会的・環境的課題を克服する上で大きな可能性を示しています。本シリーズにおける最初のレポート「インパクトをもたらすAI:社会的イノベーションにおける責任あるAIのためのPRISMフレームワーク」では、AIの展開状況を社会的インパクト領域、地域、ジェンダーの観点から分析し、AIの導入により成功したソーシャル・イノベーターの事例を紹介しています。
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Jeremy Jurgens and Kary Bheemaiah
2025年1月23日