2025年のクリスタル・アワード受賞者を発表
2025年クリスタル・アワード受賞者は、先見の明を有するだけではありません。意義ある変化の推進者です。 Image: Valeriano Di Domenico
Hilde Schwab
Chairperson and Co-Founder, Schwab Foundation for Social Entrepreneurship, World Economic Forum Geneva- 今年で31回目となるクリスタル・アワードは、変化を推進し、より良い社会の形成に貢献している3人の文化リーダーたちに贈られます。
- 受賞者は、ユニセフ親善大使であり、子どもの権利の世界的擁護者であるデビッド・ベッカム氏、著名なファッションデザイナーであり、慈善家、そして女性の権利の擁護者であるダイアン・フォン・ファステンバーグ氏、そして著名な建築家であり、社会活動家、そして2024年プリツカー賞受賞者である山本理顕氏です。
- 授賞式は1月20日にダボスで開催され、オンラインでセッションを視聴することができます。
ダボスで開催される2025年の年次総会において、社会を変革する卓越した文化リーダーの素晴らしい功績とポジティブな影響が称えられます。2025年クリスタル・アワード受賞者は、先見の明を有するだけではありません。意義ある変化の推進者です。
彼らの創造性と洞察力により、私たちは団結し、人間としての経験に対する理解を深め、大胆な変革ビジョンを提示することで、短期的思考や視野の狭さを乗り越えることができます。彼らの作品は、より深いつながりを育み、深い考察を促し、より包括的かつ先見性のある未来の創造を推進します。それは、社会をより良く変える力を持っています。
第31回クリスタル・アワードの受賞者は3名。ユニセフ親善大使であり、子どもの権利の世界的擁護者であるデビッド・ベッカム氏、著名なファッションデザイナーであり、慈善家、そして女性の権利の擁護者であるダイアン・フォン・ファステンバーグ氏、そして著名な建築家であり、社会活動家、そして2024年プリツカー賞受賞者である山本理顕氏です。
第31回クリスタル・アワード受賞者
デビッド・ベッカム氏
「ユニセフ親善大使として20年間活動する中で、私は、世界中の子どもたちを守り、その生活を向上させるという使命を全うするために、大使、スタッフ、支援者の方々が献身的に取り組む姿を目の当たりにしてきました。この賞を受けるにあたり、困難な状況の中で、世界中の子どもたちの生活の改善に尽力している多くの人々に思いを馳せています」。
デビッド・ベッカム氏は、長年にわたる人道支援活動と、世界中の子どもたちの生活改善に対する揺るぎない献身が評価され、2025年のクリスタル・アワードを受賞。子どもたちの教育、保護、ウェルビーイングのために献身的に尽力してきたベッカム氏は、自身の立場とリソースを活用し、永続的かつ前向きな変化を生み出すことで、世界中の弱い立場にある子どもたちの権利を擁護する強力なグローバルリーダーとして頭角を現しました。
今年、ユニセフ親善大使として20周年を迎えた同氏は、紛争や危機に見舞われた地域を含む広範囲にわたって精力的に活動し、紛争や危機の最前線に置かれがちな子どもたちに必要なことについて声を上げています。その活動は緊急対応にとどまらず、健康、教育、権利、ジェンダー平等に投資する対象を絞ったプログラムを支援し、若い女性や思春期の少女たちの熱心な擁護者でもあります。ユニセフでの活動を通じて、予防接種の重要性を啓発し、マラリア予防のキャンペーンを長年展開。
2009年には、マラリア撲滅運動「Malaria No More」の創設メンバーとなり、以来、英国を拠点とするこの慈善団体のアンバサダーを務めています。また、2018年には、英連邦首脳会議に先立ち10億人にリーチした受賞歴のあるマラリア撲滅キャンペーン「Malaria Must Die」を主導し、マラリアのない世界を実現するための大胆な行動を呼びかけました。
スポーツが持つ変革力を信じ、世界中で人々を良い方向に導く力として、人種差別、メンタルヘルス、機会均等の課題に取り組む草の根のイニシアチブを推進する多くの若者向けプログラムを支援しています。また、サッカー界の若い才能を支援するという個人的な取り組みは、米国サッカー界のアカデミー制度の発展に貢献し、誰もが参加できる環境を確保することにつながりました。
世界的に有名なアスリートであり、子どもの権利の熱心な擁護者でもあるベッカム氏の功績は、社会変革を推進する上で彼が持つ文化的な影響力と影響力を象徴しています。世界中の人々の生活の改善に献身的に取り組む姿勢は、より良い社会を実現するために影響力と影響力をもたらす彼のプラットフォームの力を示しており、グローバルな影響力とポジティブな成果をもたらしています。
ダイアン・フォン・ファステンバーグ氏
「自信を象徴するシンプルな小さなドレスのおかげで、私は責任ある立場の女性になることができました。それがドレスだったからこそ、その自信を多くの女性たちと分かち合うことができたのです。そして、それが女性を力づけるという私の使命の始まりでした」。
著名なファッションデザイナー、慈善家、作家であるダイアン・フォン・ファステンバーグ氏は、慈善活動、指導、社会的責任を通じて女性の地位向上に多大な貢献をしたとして、2025年のクリスタル・アワードを受賞しました。自身の名を冠したブランドの創設者であり、象徴的なラップドレスの生みの親である同氏は、ジェンダー平等と女性の権利の運動において、女性の自立と強さを一貫して支持する主導的な存在として活躍。
ファッション業界への貢献にとどまらず、女性たちの熱心な擁護者でもあります。2010年には、ディラー・フォン・ファステンバーグ・ファミリー財団と共に、DVFアワードを創設し、他の女性の生活を向上させるために献身的に活動する素晴らしい女性たちの功績を称え、支援し、その声を広める活動を行っています。毎年、5人の受賞者が選出され、その重要な活動をさらに推進するための助成金が授与されます。
また、1997年に設立された非営利団体、バイタル・ボイス・グローバル・パートナーシップの理事も務めています。女性リーダーたちの強力なグローバルネットワークである同組織の会員は、より公平な未来を思い描く勇気を持った185カ国、2万人以上の変革者たちです。また、同氏はアメリカ・ファッション・デザイナー協議会(CFDA)の会長を13年間にわたって務めた後、現在は理事会のメンバーでもあります。
その慈善活動は、CFDAのライフタイム・アチーブメント・アワードや全米女性殿堂入りなど、数々の賞を受賞。2020年にはフランスよりレジオン・ドヌール勲章シュヴァリエを、2021年には母国ベルギーより王冠勲章コマンドール章を受章しました。女性支援への尽力に加え、ニューヨークのリバティーアイランドに新しい自由の女神博物館を建設するための資金調達と設立も主導しました。
山本理顕氏
「建築はコミュニティの人々によって造られます。そのコミュニティがいつまでもそこに存在し続けるためには建築が必要なのです。建築家の責任はコミュニティの人々と共に美しい建築を造ることです。その建築はコミュニティの人々の誇り高い記憶を未来の人々に伝えることができます。もし私がそのような建築を造ることができたとしたら、とてもうれしい。クリスタル・アワード受賞を誇りに思います」。
山本理顕氏は、建築と社会への顕著な貢献により、2025年のクリスタル・アワードを受賞しました。地域再生への献身、持続可能性における画期的な取り組み、そして思慮深い建築設計哲学は、コミュニティに多大な影響を与えています。同氏の作品は、建築の未来に影響を与え、人々の生活の向上と環境の保全における建築の重要な役割を強調するものです。
1945年に北京で生まれた同氏は、建築家および教育者として、建造環境と建築思想の両方に大きな影響を与えてきました。横浜国立大学で教鞭をとり、名古屋造形大学学長、東京藝術大学客員教授を歴任し、現在は神奈川大学の客員教授を務めています。その功績により、横浜国立大学および日本大学から名誉教授および名誉工学博士の称号を授与されています。
熊本県営保田窪第一団地、埼玉県立大学、北京の建外SOHO、横須賀美術館など、彼の影響力あるデザインは、建築が人と人とのつながりや社会の進歩を促す触媒であるという信念を反映しています。2011年の東日本大震災後には、地域再生を支援する「地域社会圏研究所」を設立し、癒しの場としての建築への取り組みを強化しました。
同氏はその功績が認められ、2001年に日本芸術院賞、2024年には建築界のノーベル賞とも呼ばれるプリツカー賞を受賞しました。プリツカー賞の審査員団は、彼の作品を「人類への貢献」と称賛し、ハイアット財団会長のトム・プリツカー氏は、彼の建築哲学の繊細で思慮深い性質を認めて「世界的な哲学者」だと述べています。
同氏のグローバルな影響力は、日本、中国、ヨーロッパに及び、モダニズムと文化的感受性を融合させています。サステナブルな建築設計の先駆者である同氏の作品は、環境との調和、エネルギー効率、自然素材の利用を優先しています。
同氏のレガシーは、建築とは建物だけではなく、空間が人々やコミュニティに与える永続的な影響でもあることを思い出させてくれます。