気候変動対策

海から二酸化炭素を除去する、企業4社による処理方法とは

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直接海洋回収(DOC)は、炭素貯蔵および再利用のために、海水から溶存二酸化炭素を除去します。 Image: Unsplash/Cristian Palmer

Andrea Willige
Senior Writer, Forum Stories
  • 直接海洋回収(DOC)は、炭素貯蔵および再利用のために海水から溶存二酸化炭素を除去します。
  • Brineworks(ブラインワークス)社、Captura(キャプチュラ)社、Sea02社などの企業は、この分野の主要なイノベーターです。

地球上で最大の二酸化炭素吸収源である海洋は、排出量と気候変動との闘いにおける知られざるヒーローです。海洋は、排出される二酸化炭素の4分の1を吸収 し、排出二酸化炭素が引き起こす過剰な熱の90%を吸収しています。

海洋が大気中の二酸化炭素をさらに吸収できるようにすることができたら、どうなるでしょうか。これが、直接海洋回収(DOC)のコンセプトです。

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直接海洋回収とは

パリ協定の目標達成状況を監視する「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」の調査によると、二酸化炭素およびその他の温室効果ガスの排出を削減しようとする動きは世界的に続いているものの、新たな排出を削減するだけでは、ネット・ゼロを達成することはできません。新たな排出における脱炭素化に加え、 既存の炭素を大気中から除去する方法 、つまり「負の排出」を生み出す方法を見つける必要があるのです。

その方法のひとつが、大気から二酸化炭素を直接回収する直接空気回収(DAC)です。回収された二酸化炭素はその後、地中深くに貯蔵、もしくは、さまざまな産業用途に利用されます。一方、大気中の二酸化炭素濃度は比較的低いため、DACにはコストがかかります。

直接海洋回収(DOC)は、さまざまな電気化学的プロセスを用いて海水から溶存炭素を直接除去するという点において、DACと似ています。処理された海水は、さらに多くの二酸化炭素を大気から吸収するために、海に戻されます。海洋には大気の150倍もの二酸化炭素が含まれているため、DOCはDACよりも効率的かつ低コストとなる可能性があるのです。

海からの二酸化炭素除去を約束する4社

発電所や工場の排ガスを浄化する産業用炭素回収システムは何年も前から存在している一方、DOCはまだ初期の開発段階にあります。この技術のパイオニアが、以下の4社です。

1. Brineworks(ブラインワークス)社

アムステルダムを拠点とするスタートアップのBrineworks(ブラインワークス)社は、海水から二酸化炭素を抽出する出発点として、電気分解を用いて水分子を酸素と水素に分解。同社によると、大規模に稼働した場合、この方法は、二酸化炭素1トンあたり100ドル以下で回収でき、DACによる一般的なコストの半分以下になります。

この技術は、太陽光や風力などの再生可能エネルギーで作動するため、事実上どこでも実施可能なクリーンエネルギー処理です。この手法では、化学薬品は海に戻さず、戻すのは水だけであると同社は述べています。

ブラインワークスによるこの技術のもう一つの利点は、副産物として水素を生成することです。鉄鋼やセメント製造などの重工業における脱炭素化に伴って「グリーン」かつカーボンフリーである水素の需要が高まるにつれ、水素は将来的な収益源になる可能性を秘めています。

スタートアップとテクノロジーに関するニュースを配信するTechCrunchによると、ブラインワークスは最近、この方法を開発するために220万ドルの資金を確保しました。

2. Captura(キャプチュラ)社

カリフォルニア工科大学(Caltech)のスピンオフであるCapture(キャプチュラ)社は、海水から二酸化炭素を抽出する方法として電気透析を採用。電気透析は、海水を酸性化して海水中に溶解している二酸化炭素を放出させ、膜で回収する仕組みとなっています。キャプチュラの技術は、添加物および副産物が不在であり、燃料は再生可能エネルギーです。同社は、海水淡水化プラントや廃止された石油掘削施設など、既存のインフラを再利用することを目指しています。

同社は、米国エネルギー省およびノルウェーのエクイノール社などの業界関係者から支援を受けており、現在、エクイノール社と共に、ハワイで年間1,000トンの二酸化炭素を除去するパイロット・プロジェクトに取り組んでいます。

Process of extracting CO2 from seawater.
キャプチュラの直接海洋回収法は、海水から二酸化炭素を抽出するために電気透析を採用しています。 Image: Captura

3. Sea02

Sea02社もまた、電気透析を利用して二酸化炭素を海水から分離。一度回収した二酸化炭素は、隔離、もしくはその後利用ができるようにしており、脱炭素化した水は海に戻され、再び大気から二酸化炭素を吸収し始めることができます。

同社は現在、貯留容量を確保するため、パートナーとなるヨーロッパの貯留事業者を探しています。デルフト大学のスピンアウトであるSea02の目標は、今年中に250トンの炭素を除去し、2045年までに除去量を100万トン、つまりギガトンまで増加させることです。

4. Ebb Carbon(エブ・カーボン)社

Ebb Carbon(エブ・カーボン)社が焦点を当てているのは、養殖場、海水淡水化プラント、沿岸産業プラント、海洋研究所など、水を処理する組織です。海水がこれらの施設を流れる際、同社の技術により、低炭素電力を使って酸性溶液とアルカリ性溶液に分離します。

アルカリ性溶液はその後海に戻され、そこで二酸化炭素と結合して重炭酸塩を形成。同社によると、重炭酸塩は二酸化炭素を1万年貯蔵する安定した形態です。同社の処理方法は、魚介類などの海洋生物に影響を与える海洋酸性度を下げることにも役立ちます。

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直接海洋回収とは海からの二酸化炭素除去を約束する4社1. Brineworks(ブラインワークス)社2. Captura(キャプチュラ)社3. Sea024. Ebb Carbon(エブ・カーボン)社
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