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「スマホを充電する感覚で」~創業者が語るEV普及に必要な発想の転換〜

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電気自動車のインフラには改善が必要です。 Image: Unsplash/Michael Fousert

David Elliott
Senior Writer, Forum Agenda
  • 電気自動車(EV)の販売台数は増加していますが、都市部での公共充電設備はまだ不足しています。
  • これが普及の大きな障壁になっている、と世界経済フォーラムの白書「電気自動車充電インフラへの投資拡大:都市のための政策ロードマップ(Scaling Investment in EV Charging Infrastructure: A Policy Roadmap for Cities)」では述べられています。
  • スタートアップ企業、イッツ・エレクトリックのソリューションは、公共事業ではなく建物から電力を供給します。

電気自動車(EV)の世界的な販売台数は急速に伸びています。2022年の1,000万台から増加し、2023年には世界中で約1,400万台の乗用EVが購入されました。

この急増に対応するため、世界中の都市で充電ネットワークの拡大が進められています。一方、世界経済フォーラムの白書によると、充電ネットワークの整備は、充電に対する需要の高まりを満たし、脱炭素化目標を達成するのに十分なスピードで進められていません。

世界経済フォーラムの白書「電気自動車充電インフラへの投資拡大:都市のための政策ロードマップ(Scaling Investment in EV Charging Infrastructure:A Policy Roadmap for Cities)」は、今後、EVドライバーの多くは、充電器を設置した専用駐車場を利用することができないと指摘。例えば、米国において、充電器を設置可能な屋外駐車場を利用することができる人は、人口の48%のみです。欧州連合も同様の状況であり、この公共充電設備の不足がEV普及の主な障壁となっていると、同白書の著者たちは述べています。

Cumulative global public charging connectors
EV用の公共充電設備は増加していますが、需要を満たすには十分なスピードではありません。 Image: 世界経済フォーラム

公共充電の新しいルート

自治体当局は、公共充電インフラの拡大にあたり、大きな課題に直面しています。いくつかの例として、建物の密集度が高く、送電網の容量が限られ、充電ネットワークを迅速に展開・維持するためのリソースが不足していることなどが挙げられます。

EV充電サービスの新興企業、イッツ・エレクトリックの共同創設者であるティア・ゴードン氏は米国の状況について「現在、充電サービス会社は、いわゆる昔ながらのやり方をしています。道路や街路にある公共の設備から引き込んでいますが、これには基本的に12~18カ月かかってしまいます。

これは大きな時間的障壁であると同時に、コスト的にも大きな障壁です。当社は、まったく異なる観点からこの課題に取り組んでいます」と述べています。

同社は、街角にある公共の設備からではなく建物から給電される、カーブサイド(道端)EV充電器ネットワークを構築しています。適切な不動産所有者と提携し、関連する許可を取得。該当する建物の予備電力を供給源に充電器を設置して維持管理するため、建物所有者は費用を負担することなく、充電器から不労所得を得ることができます。

「当社の存在意義は、都市が最も簡単にEV充電器を設置できる方法を作り出すこと」と同氏。「必要となるものは、歩道に充電器を設置する許可を得るための道筋を確保することだけです。多くの都市は、その道筋が取り消し可能な許可証または取り消し可能な同意許可証と呼ばれるものだと知っています」。

これらの許可証を単一の地域ではなく、さまざまな場所で適用できるようにすることにより、都市は急速に充電器のネットワークを構築できるようになるでしょう。同氏はさらに次のように付け加えています。「真の官民連携によって、気候変動対策を迅速に拡大できるのです」。

How EVs are changing transportation across the world
EVは、世界中の都市で一層身近な存在になりつつあります。 Image: 世界経済フォーラム

マインドセットの転換

同社のウェブサイトでは充電器を紹介する際に、「近隣住民のことを考えたスマートなデザインで、ほとんど目立ちません」と説明しています。同氏にとって、これは単に外観の問題ではなく、電気自動車が気候変動対策の潜在能力を発揮するために必要とされるマインドセットの転換の一部です。

「消火栓について考えてみましょう。消火栓はどこにでもあるのに目立ちません。しかし、都市の安全とウェルビーイング(幸福)にとって極めて重要なものです。都市で育つ次世代の子供たちが、今日の子供たちにとっての消火栓と同じくらい普通に、街角に設置された電気自動車の充電器を見つけられるようになってほしいと思います」。

また、必要とされる最大の変化は、電気自動車を「燃料補給する」という認識の完全な転換だと同氏は付け加えます。

How EVs are changing transportation across the world
EVは世界中の都市でますます身近な存在になりつつあります。 Image: 世界経済フォーラム

「電気自動車の充電は、夜寝る前に携帯電話を充電することと何も変わりません。ガソリンスタンドまで運転して、公共の安全のために地下に貯蔵されている有害な燃料を給油するのとは違うのです。

電気自動車の素晴らしいところは、どこでも充電できることです。必要なのは、プラグを差し込むためのソケットまたはポートのみ。このことを理解し始めれば、『どうやって車を充電しようか』といった不安は軽減されるでしょうし、実際に充電するともっと簡単だということが分かるはずです。充電は以前よりもずっと便利になっていおり、これが、行動変化を起こすために本当に必要なことなのです」。

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公共充電の新しいルートマインドセットの転換

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