ファッション業界のサーキュラー・エコノミーへの移行を導くイノベーション
2023年、グローバルな中古衣料品売上高は2,110億ドルに達しました。 Image: Unsplash/Priscilla Du Preez
- 2024年には、中古衣料品の世界売上高がファッション業界の世界売上高の10%を占める見込みです。
- 価格と持続可能性への懸念、オンライン小売の成長により、中古衣料品の売上は近年急増しています。
- 世界経済フォーラムのアップリンクのイノベーターたちは、ファッション業界のサーキュラー・エコノミーを促進する方法を生み出そうとしています。
古着は、2024年には世界のファッション市場の10%を占める勢いです。
持続可能性、コストへの懸念、そして、オンライン・ショッピングの普及により、「プレ・ラブ(中古)」衣料を受け入れることが叫ばれるようになり、古着を購入することにまつわるネガティブなイメージはなくなりました。
2023年、世界の中古衣料品売上高は前年比19%増の2,110億ドルに達しました。そして、グローバルデータによる古着再販サイト「スレッドアップ(ThredUp)」向けの報告書は、2027年にはその額が3500億ドルに達する可能性があるとしています。また、2027年までに、全世界の古着売上はアパレル市場全体の平均3倍の速さで増加する見込みです。
ファストファッションにとっては好ましいニュースではないかもしれませんが、地球にとっては良いニュースです。
ファッション業界の温室効果ガス排出量の試算は、高いところでは2019年の世界銀行の分析で世界排出量の10%、低いところではアパレル・インパクト・インスティテュートの2023年の報告書で1.8%となっています。
ここでは、世界経済フォーラムのアップリンク(UpLink)のイノベーターたちによる、サーキュラー・エコノミーを促進し、ファストファッション業界をよりサステナブルなものにするための4つのイノベーションを紹介します。
合成皮革とテキスタイルの植林
米国を拠点とするスタートアップ企業、ナチュラル・ファイバー・ウェルディングは、植物由来の素材をサステナブルな「レザー」(合成皮革)やテキスタイルに転換しています。
同社の製品は、植物を合成繊維のような働きをする繊維に融合させるもので、PVCや合成結合剤を含まないMIRUMと呼ばれる植物由来の合成皮革レザーもそのひとつ。
MIRUMは、天然皮革とは異なり有害な化学物質を使用せず、「プリーザー(プラスチックレザー)」とは違って汚染物質でもありません。生分解して天然素材に戻る自然なプロセスで作られています。
衣料品のサーキュラー・エコノミーを見極める
バングラデシュのイーオングループは、サーキュラー・エコノミーを推進してファッションをよりサステナブルなものにするために、サーキュラーIDと呼ばれるデジタルIDを衣料品に付与する方法を開発しました。
このデジタル・パスポートにより、各アイテムを生産から販売、再販、リサイクルに至るライフサイクル全体で追跡・追跡することができます。これにより、衣料品を何度でも販売・再販することが可能になりました。
このIDには生地の特徴などの重要な情報が記録されており、衣料品が寿命を終えた後のリサイクル処理に役立ちます。
過剰在庫の削減
衣料品廃棄物との戦いに挑む米国のクイーン・オブ・ロウは、ファッション業界の企業が余剰在庫を迅速に設定・管理できる電子商取引ソフトウェア・ソリューションを提供しています。
「Materia MX」呼ばれる同社のSaaS(サービスとしてのソフトウェア)サプライチェーンソリューションで、余剰在庫の売買、再利用、リサイクルを自動化し、在庫効率を高め、コストを削減し、衣料品の無駄を省きます。
古いファッションのアップサイクル
世界的な繊維廃棄物問題に取り組むもうひとつのイノベーター、ドイツのリフレッシュ・グローバル社は、「スマート繊維廃棄物アップサイクリング・マイクロファクトリー」で、古着を香料、医薬品、靴、布地、車の内装材などに転換しています。
同社は、廃棄された繊維廃棄物を工場に集め、色や素材の種類ごとに機械で分別しているのです。
特許取得済みのバイオテクノロジー・プロセスにより、廃棄物はバイオエタノール、ナノセルロース、不織布パルプの3つの生分解性原料に変わります。これらの低コストで大量生産可能な原料は、建設、自動車、繊維、ファッションの各分野に利用できます。
こうした例はほんの一部ですが、ファストファッションを減速させ、サーキュラリティ(循環性)を高めて、私たちが身につける衣服をよりサステナブルなものにすることを目指すイノベーターたちは今も、そしてこれからも活躍していくでしょう。
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