ソーシャルメディアを通じた誤情報拡散にどう対処するか
誤情報の拡散を減らすための新たなアプローチは、地球規模課題に対する取り組みの強化につながるでしょう。 Image: Unsplash
- 「2023エデルマン・トラスト・バロメーター」は、人々のメディアへの信頼が低下している中、特に、ソーシャルメディアに対する信頼度が低いことを明らかにしています。
- ある研究では、ソーシャルメディア上のインセンティブ構造を変えることで、誤情報の拡散を抑えることができることがわかりました。
- メディアへの信頼低下とエコーチェンバー現象により、人々が協力して問題解決することが難しくなってきています。誤情報の拡散を減らすための新しいアプローチを模索することは、最終的に、地球規模課題に対する集団としての行動を促す取り組みの強化につながるでしょう。
今日の終わりまでに、フェイスブックでは24億のコンテンツがシェアされ、インスタグラムには9,000万枚以上の写真、ユーチューブには70万時間以上の動画コンテンツがアップロードされ、ツイッターには4億9,000万ツイートが投稿されるでしょう。ツイッターに関しては、毎分34万7,000ツイートが投稿されていることになります。
なぜ、私たちは、毎日多くの貴重な時間を費やして、他者と情報を共有するのでしょうか。考え得る多くの理由の中で、洞察や情報を他者と共有することに満足感を得られるというのが、主要な理由の一つです。私たちが他者と知恵を共有するときに、脳の報酬中枢が強く活性化されることが脳画像研究で示されていますが、それは、ソーシャルメディアを使うときにも同じことが言えます。
情報への信頼度
米エデルマンが発表した、各国国民の自国の政府、企業、メディア、NGOに対する信頼度を示した「2023エデルマン・トラスト・バロメーター」によると、メディアへの信頼度が最も低く、特にソーシャルメディアに対する信頼度が低いことがわかりました。伝統的なメディアへの信頼度は66%から58%に、ソーシャルメディアへの信頼度は44%から39%に減少しています。シェアードメディアの環境が、エコチャンバー現象(ソーシャルメディアにおいて、価値観の似たもの同士で交流し共感し合うことにより、自分の意見が増幅・強化されること)を生み出すにつれ、人々が協力して問題解決することが難しくなってきています。
調査対今日の終わりまでに、フェイスブックでは24億のコンテンツがシェアされ、インスタグラムには9,000万枚以上の写真、ユーチューブには70万時間以上の動画コンテンツがアップロードされ、ツイッターには4億9,000万ツイートが投稿されるでしょう。ツイッターに関しては、毎分34万7,000ツイートが投稿されていることになります。
なぜ、私たちは、毎日多くの貴重な時間を費やして、他者と情報を共有するのでしょうか。考え得る多くの理由の中で、洞察や情報を他者と共有することに満足感を得られるというのが、主要な理由の一つです。私たちが他者と知恵を共有するときに、脳の報酬中枢が強く活性化されることが脳画像研究で示されていますが、それは、ソーシャルメディアを使うときにも同じことが言えます。
明らかなのは、人々の疑問や不安をよそに、ソーシャルメディアがプラットフォームとして重要な役割を果たす時代に私たちは生きているということです。
脳の情報処理の仕組み
人は、新しい情報に触れると、自分の先入観に沿ったデータを素早く受け入れ、対立するエビデンスはより批判的な目で見る傾向があります。
アフェクティブ・ブレイン・ラボの所長で、認知神経科学の教授であるターリ・シャーロット氏によると、脳は、いかなるエビデンスも自分が持っている知識に照らし合わせて評価しようとするようです。
「新しいエビデンスがその人が持つ考えや意見に沿わない場合、それは無視されたり、大幅に変更されたりします。そのため、既存の信念を打ち破ろうとする代わりに、新しい信念を植え付け、提供する情報のポジティブな側面を強調することが有効かもしれません。」
ソーシャルメディア・プラットフォームが提供する「いいね」や「シェア」といった他者からの承認は、情報の真実性とは完全に切り離されているため、誤った情報の拡散を後押しする可能性があります。
インターネットが主要なニュースの情報源となっているこの時代、世界中の人々が、フェイクニュースを目にしてシェアしてしまうリスクを抱えています。
人々は日々、お気に入りの有名人や政治家の最新情報や投稿を読み、視聴し、シェアしていますが、その情報源が、真実で信頼性のある情報を当然提供しているものと考えがちです。ニュースメディアから大量に流れてくる情報の信頼性を判断し、真実を見分けることが難しくなっている今、人々はニュースそのものを避けるようになっています。
誤情報の拡散は減らせるのか
最近のある研究は、ソーシャルメディア上の投稿に対する信頼度及び認知された信頼性に関するフィードバックを提供するボタンを追加し、インセンティブ構造に小さな変更を加えることで、誤情報の拡散を減らしつつ、ユーザーエンゲージメントを高い水準に保つことができることを示しました。
情報に関連する課題を解決するために、不特定多数の人々から意見やソリューション、または貢献を求めるのは新しいアプローチではありません。比較的質の高い知識の蓄積を通じて貢献する群衆の能力は、ウィキペディアなどの他のオンライン環境でもすでに明確に示されています。
こうした取り組みは、現在、ファクトチェックのための他のターゲットを絞ったクラウドソーシング・アプローチと並行して行われています。例えば、ツイッターは、一般のユーザーが、誤情報を含むと思しきツイートを特定し、警告ラベルを表示するファクトチェック機能「バードウォッチ」を、コミュニティ主体の義情報拡散防止対策として2021年に発表しました。最近の研究では、ファクトチェック手法としてのバードウォッチの有効性が示唆されたものの、意見の一致の低さや、知名度の高いプロファイルのツイートに焦点を当てられていることなど、いくつかの欠点が明らかになりました。
また、伝統的なメディアも誤情報への対応を進めています。BBCは、ニュースで使用される情報や映像などを検証する専門のチーム「BBC Verify」を発足。調査報道やデータ分析などの技能を持つ約60人のジャーナリストが、ニュースの透明性確保に取り組んでいます。BBC Verifyの目指すところは、視聴者や読者にジャーナリズムが生み出される舞台裏を説明することで、ジャーナリストの仕事のプロセスや報道内容がいかに信頼できるものであるかを示すことです。
ソーシャルメディア・プラットフォームのインセンティブ構造を変えるために、あらゆる手段を模索することは、誤情報の対象となる課題に対してポジティブな影響をもたらします。最終的には、気候行動やパンデミック対策など、重要な地球規模課題に対する集団としての行動を促す取り組みの強化につながるでしょう。
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