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企業が、ブランディングを超えた目的を持つべき理由

企業の目的は、ブランディングにとどまらず、変革を真に触媒するものであるべきです。

企業の目的は、ブランディングにとどまらず、変革を真に触媒するものであるべきです。 Image: lad Hilitanu/Unsplash

Dominic King
Senior Principal, Accenture Research
Ana Clara Gimenez
Manager, Accenture Research
Andrea Moore
Manager, Accenture Strategy
Catalina Mainardi
Specialist, Accenture Research
本稿は、以下センター (部門)の一部です。 ニューエコノミーとソサエティ
  • 企業の目的は、ブランディングを超え、変革を真に触媒するものでなければなりません。
  • 「活気ある目的」と「ダイナミックな倫理」は、この使命感を高める2つの重要なコンセプトです。
  • こうした考え方は、組織のあらゆるレベルに組み込まれなければなりません。

企業目的は、とても重要なものです。企業の存在理由を明確に示すものであるべきで、単に利益を生み出すことだけでは十分ではありません。従業員(77%)と消費者(76%)の4分の3が、自分が働くまたはサービスや商品を購入する企業に、明確な社会的目的があることが重要だと答えています。企業は、戦略と目的を明確に結びつけることで、イノベーションと成長を促すことができます。

しかし、目的を明示しても、企業ウェブサイトの「会社概要」セクションに書かれた内容を超えるインパクトを企業が与えられていないケースは数多くあります。アクセンチュアの調査によると、最高経営責任者(CEO)の52%が、企業の目的は、変革のための真の触媒というよりは、タレントブランディングのツールであると答えています。同じ調査では、自分の仕事と会社の幅広い目的に関連性があると認識しているのは、従業員のわずか30%であることが分かりました。

さらに、アクセンチュアと国連グローバル・コンパクト(UNGC)による最新の調査では、41%の最高経営責任者(CEO)が、今日の急速に変化する環境を考慮し、自社の核となる目的を再評価していることが明らかになりました。これは、企業にとって、収益性と持続可能性という2つの目標をどのように達成するかを明確に示す機会となり得ます。しかし、それを実現するためには、目的を具体的な行動に結びつける必要があります。どのようにすればよいのでしょうか。

目的をステートメントから戦略へと昇華させるために、リーダーは「ミッションとパーパス」に注力する必要があります。これは、アクセンチュアと世界経済フォーラムが特定した、責任あるリーダーシップの「5つの要素」のひとつです。このリーダーシップの質は、繁栄という共有ビジョンをインスパイアすることで共通の目標を達成しようとするものであり、それは、組織のDNAに組み込むことができます。まず、企業の目的を具体化するための取り組み(活気ある目的)、そして、企業倫理の維持・向上のための体系的アプローチ(ダイナミックな倫理)を通じて、リーダーシップを発揮することができるでしょう。

「活気ある目的」と「ダイナミックな倫理」は、繁栄という共有ビジョンをインスパイアすることで共通の目標を達成しようとする企業にとって重要な意味を持ちます。
「活気ある目的」と「ダイナミックな倫理」は、繁栄という共有ビジョンをインスパイアすることで共通の目標を達成しようとする企業にとって重要な意味を持ちます。 Image: Accenture/World Economic Forum, Shaping the Sustainable Organization, 2021

活気ある目的

リーダーシップを取るチームは、企業目的を組織内で実現するための一連の取り組みを定め、企業目的があらゆるレベルの意思決定に影響を与えるようにする必要があります。

企業が、ステークホルダーから信頼を勝ち取るためには、目的達成に向けた道のりで透明性を確保すると同時に、説明責任を果たす必要があります。カリフォルニアで設立されたフットウェアとアパレルの企業であるAllbirdsは、「より良いビジネスを通じて気候変動を逆転させる」ことを目標に掲げています。Allbirdsは、自社の説明責任を果たすため、カーボンフットプリントをあらゆる側面から測定し、5つの異なる段階(素材、製造、輸送、製品使用、廃棄)における排出量を追跡するだけでなく、平均的な製品のフットプリントを商品ラベルで表示しています。

こうした取り組みには、明確なインセンティブが与えられるべきです。つまり、役員報酬と長期目標や持続可能性目標をリンクさせるのです。リワード・バリュー財団は、2023年の世界経済フォーラムの年次総会で、長期的で持続可能な価値創造に沿って役員報酬を策定する企業を支援する「責任ある報酬原則(the Principles of Responsible Remuneration, PRR)」を発表しました。最高経営責任者(CEO)の報酬モデルに関する同財団の調査は、ターゲットを絞ったインセンティブ付与が、「クリーン」な生産を10%押し上げることができることを示しています。

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ダイナミックな倫理

目的は、企業がその範囲内で事業活動を行う際の、倫理的な基準を設定・推進するものでなければなりません。アプローチは、信頼を培うために厳格であるべきである一方で、持続可能なビジネス慣行への期待の変化にも対応できるよう、アジャイルであることが不可欠です。

まず、企業はどのようにして公正に競争し、行動するのかを検討する必要があります。例えば、ウォルマートは、「顧客が大切にしているもののために、お金をより多く貯蓄する」という目標を掲げています。この目標は、「より強力なイノベーション、より低価格、より良い品質」の実現につながる公正な競争に対する強いコミットメントによって支えられています。

また、リーダーシップを取るチームは、包括的な労働基準に基づき、サプライチェーン全体で従業員の福利厚生に明確な境界線を設定する必要があります。重要な取り組みには、強制労働や奴隷労働を特定と排除や、サプライヤーの選定・評価において人権基準を用いることなどが含まれます。Lululemonは、「人々が最高の状態で働けるよう支援し、人間の可能性を高める」という目的を具現化するために、工場労働者とその地域コミュニティのための福祉と教育のイニシアチブに投資しています。

そして、企業は、環境・品質基準を策定する必要があります。こうした基準は、排出量から生物多様性、ステークホルダーとの信頼構築に至るまで、組織の影響を形作ります。「美しさと人間関係を育むことで、よりよい生活とビジネスを実現する」という、Naturaの企業目的は、同社の環境活動を推し進めています。Naturaは、製品に生分解性成分を95%配合することと、アマゾンの保全の拡大に取り組む一方で、2025年までに、森林伐採ゼロと主要サプライチェーンにおけるトレーサビリティ100%を目指しています。

こうした取り組みは、無形の野心を具体的な行動に変えるのに役立ちます。つまり、従業員にインセンティブを与え、持続可能性を日々の意思決定に組み入れ、バリューチェーン全体の信頼を醸成すると同時に、イノベーションを促進し、消費者ロイヤルティと収益性を向上させることができるのです。責任あるリーダーは、目的を、単なるブランディングツールから、組織が長期的に存続し続けるための具体的な表現へと昇華させなければなりません。

アクセンチュアと世界経済フォーラムの「サステナビリティDNA」に関する調査の詳細は、こちら。あなたの組織のDNAの強さを評価することもできます。

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