「電子マネーでの給与受取」半数が利用したくない 給与デジタル払いの意識調査
「電子マネーでの給与受取」半数が利用したくない 給与デジタル払いの意識調査 Image: Unsplash/Towfiqu barbhuiya
これまで給与の支払いは、現金か銀行振込に限定されていましたが、11月28日に労働基準法施行規則の一部を改正する省令が公布されたことで、2023年4月1日から電子マネー(デジタルマネー)での支払いが加わる予定です。いわゆる「給与デジタル払い」が可能になることで、支払いの選択肢が増えることになりますが、KSI Web調査の「給与デジタル払いに関する意識調査」によりますと、この新たな制度を「利用したい」「場合によっては利用したい」と答えた人は計32%と、「したくない」「あまりしたくない」と答えた計49%に比べかなり下回わりました。
現代社会では、デジタルマネーの利用が増えており、給与を銀行に預けたあとクレジットカードと紐づけて、スマホを使って各種支払方法で利用できるため、給与をデジタル払いされても、そうでなくてもおそらく今までの生活から大きく変わらないでしょう。
ただ、アルバイトや日雇い労働など、その日ごとに給与が支払われる場合は、デジタルで支払われたほうが便利なケースもあるはずです。また、雇い主側としても、銀行振込だと手数料がかかるため、その負担軽減にもつながります。
給与デジタル払いを利用する理由としては、「給与振り込みから支払いまでキャッシュレスで手間なく済ませられるから」と答えた人が39.7%で、続いて「銀行などの金融機関やATMの手数料を軽減できるから」が32.9%、現金を持ち歩く機会が減らせるから」が29%となっており、ほぼデジタルマネーで生活している人には好意的に捉えていることが伺えます。
一方、利用しない理由としては、「セキュリティ不備による不正引き出しなどに不安があるから」が49%と約半数を占め、「給与は現金支給化銀行振込があれば十分で、デジタル化のメリットを感じないから」が37.5%、「賃金移動業者が経営破綻した時の補填が心配だから」が31.2%と続きます。すでにデジタルマネーを使っていても、セキュリティへの不安やあまりメリットを感じないという人も多くいることがわかります。
こうした不安を払拭して、前向きに給与デジタル払いが広がっていくかは政府や企業の取り組みと雇われ側の意識改革が必要かと思いますが、デジタルマネーでの支払いは大きく広がっていることから、給与デジタル払いを利用する人も着実に増えていくかもしれません。
文 = 飯島範久
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