月面再着陸を目指すアルテミス計画、最初のミッションで宇宙に飛び立った6つのもの
アルテミス計画は、人類が将来的に太陽系探査の足がかりを築くための重要なプロジェクトです。 Image: NASA
- 米航空宇宙局(NASA)は、約半世紀ぶりの有人月探索を目指すアルテミス計画の第一弾として、無人試験ミッション「アルテミスI」を打ち上げました。
- アルテミス計画では、月面にベースキャンプを建設し、それを拠点に将来的に月面探査と深宇宙探査が実施されることになっています。
- 「アルテミスI」のロケットには宇宙船「オリオン」が搭載されており、宇宙飛行士のダミー人形や小型探査機、月の岩石、アマゾンの音声AI(人工知能)「アレクサ」、月面に植える植物の種、世界中で愛されている漫画とアニメのキャラクターのぬいぐるみも宇宙に送られました。
米航空宇宙局(NASA)は、壮大な月面着陸計画であるアルテミス計画の第一弾として、11月に飛行試験用のロケット「アルテミスI」を打ち上げました。アルテミス計画は、人類の月面での長期滞在を視野に入れたもので、女性と非白人が初めて月面に着陸する予定です。
月面ではベースキャンプの建設も予定されています。そこを拠点とし、NASAは、月面探査と深宇宙探査による科学的発見と、宇宙で見出せる可能性のある経済的利益の模索を目指すグローバルアライアンスを主導します。また、NASAは、アルテミスベースキャンプを次なる宇宙探査の大計画である、火星への宇宙飛行士の派遣に向けた知見を得る目的での活用することを視野に入れています。
世界経済フォーラムの、宇宙分野および宇宙に関するグローバル未来委員会のリードであるニコライ・クリストフは、「アルテミス計画は、人類による将来的な太陽系探査の足がかりを築くための重要なプロジェクトである」と、今回のロケット打ち上げについて語ります。
このミッションは、全人類の利益につながるものであり、国際協調が非常に重要になってくるとも、クリストフは述べています。「近い将来、月とその周りの惑星に人類が滞在でき、さらにその先の未来において、人類を火星にも送り込むことができれば、科学的・技術的進歩が社会全体にもたらされることになるでしょう。そのためには、国際協調がとても重要な意味を持つようになります」。
「アルテミスI」の最大の目的は、宇宙船「オリオン」の宇宙飛行の有効性を試験すること。「アルテミスII」で最初の有人飛行を実施する前に、大気圏再突入から降下、着水、回収までが安全に実施できるかを検証します。
「アルテミスI」で宇宙に飛び立った6つのもの
宇宙飛行士のダミー人形:船長役の「ムーニキン・カンポス」をはじめ、「ヘルガ」と「ゾーハー」の3体の宇宙飛行士のダミー人形が、ロケットの操縦席に乗せられて宇宙に飛び立ちました。宇宙放射線の影響をテストするために、完全装備の宇宙服を着たダミー人形にはセンサーが取り付けられています。
キューブサット:キューブサットと呼ばれる靴箱ほどの大きさの小型探査機が、科学観測の目的で深宇宙に送り込まれました。
月の岩石:1969年、アポロ11号に搭乗して月面に降り立ったニール・アームストロングとバズ・オルドリンは、岩石のサンプルを採取して地球に持ち帰りました。今回、その一部が再度宇宙へと送られました。
植物の種:今回、さまざまな生物学の実験も実施されます。その一つとして、植物の種が月面に植えられます。月面初の植物として順調に成長することが期待されます。
「カリスト」:ロッキード・マーティン、アマゾン、シスコの3社からの協力を得て、音声AI(人工知能)の「アレクサ」とビデオコラボレーションシステムの「Webex」を利用するシステム「カリスト」が、宇宙船「オリオン」に搭載されました。「カリスト」は宇宙飛行士と運用管制官が安全かつ円滑に任務を遂行できるようにサポートする目的で活用されます。
ぬいぐるみ:世界中で愛されている漫画キャラクターの「スヌーピー」とアニメキャラクターの「ひつじのショーン」のぬいぐるみも、宇宙飛行士のダミー人形に同伴して今回のミッションに参加しました。
世界経済フォーラムと「宇宙に関するフューチャー・カウンシル」による、宇宙産業との連携した取り組みについて、詳しくはこちらをご覧ください。
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