日本、入国規制緩和に期待するインバウンド消費は本格回復なるか
入国規制を緩和した後も入国者数に制限があるのは、主要G7カ国(G7)の中で日本だけ。 Image: Unsplash
- 日本政府は、新型コロナウイルス対策の入国規制を緩和。外国人観光客は、添乗員付きパッケージツアーに参加せずとも日本へ旅行することができるようになりました
- しかし、日本は依然として観光客の数に上限を設けるなど、旅行に大きな制限を設けている数少ない主要国のひとつです
- 円安を背景にインバウンド消費が経済の活性化を後押しする可能性を秘めていますが、政府は、厳格な感染対策とのバランスを取る姿勢を示しています。
日本政府は、新型コロナウイルス対策の入国規制を緩和し、添乗員なしのパッケージツアー受け入れを開始しました。
従来の入国規制では、旅行業者等を受け入れ責任者とする添乗員付きパッケージツアーによる外国人観光客のみの入国が許されていましたが、今回の緩和により、有効なワクチンの接種証明書があれば、出国前72時間以内のPCR検査は不要となり、受け入れ人数の上限も1日2万人から5万人に引き上げられることに。旅行会社を通じて手配された旅行であれば、どの国からの旅行者も入国できるようになりました。
これにより、インバウンド消費の回復は見込めるのでしょうか。経済界では期待と不安が入り交じります。その理由のひとつは、入国者上限が残ったことでした。
しかし、日本政府は今後入国者数の上限を撤廃し、個人外国人観光客に国境を解放する方向で検討を進めていることを明らかにしました。
現在、主要7カ国(G7)で人数制限があるのは日本だけで、1日5万人という人数は2019年に1日平均14万人あまりが入国していたのに比べて半分以下に過ぎません。また、ビザ(査証)も来日の障壁となっています。日本は、新型コロナウイルス感染拡大以前、米国を含む68の国・地域について、短期滞在(最長90日以内)の場合にビザを免除していましたが、今回の緩和では、すべての外国人にビザ取得を義務付けています。
観光庁は、「外国人観光客の受け入れ対応に関するガイドライン」を改訂したものの、「マスク着用」「手指消毒」「3密(密閉・密集・密接)の回避」の基本的な感染予防対策の徹底を引き続き求めた上で、民間医療保険への加入なども推奨しています。一方、世界の主要国では、すでに入国制限が撤廃され、マスク着用者も目立たなくなってきています。
国連世界観光期間(UNWTO)と国際航空運送協会(IATA)が共同開発したディスティネーション・トラッカーの最新情報によれば、9月2日時点で「外国人の入国規制がまったくない国」は81ヵ国・地域に増加しており、うち43カ国はヨーロッパ諸国です。世界の国々の入国規制緩和の流れが、日本の一歩先を行っていることは否定できないでしょう。
旅行・観光セクターの持続可能でレジリエントな成長を可能にし、ひいては国の発展をも後押しするファクターと政策を調査した世界経済フォーラムの報告書「2021年旅行・観光開発指数レポート」によると、日本は、開発指数ランキングの第1位に選出されています。第7派の感染拡大が続く一方、記録的な円安により日本は外国人観光客にとって魅力的な旅行先であり、外国人観光客の増加による経済効果への期待も高まっていますが、訪日外国人の数が年間3,000万人を超えていた感染拡大前の水準を大きく下回る中で、感染対策を徹底しながら経済の活性化をどのように進めていくのかが喫緊の課題となるでしょう。
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