電話やテキストメッセージ、WhatsAppを活用し、教育へのアクセス改善に取り組むスタートアップ企業

Child writing in a notebook.

これまでに約800人の学生を対象にプロセスと学習プログラムのテストを行ってきたエカトラ社 Image: Unsplash/Santi Vedrí

Charlotte Edmond
Senior Writer, Forum Agenda
  • ラーナブル社は、機械学習、AI、拡張現実を用いて専用アプリやWhatsAppで共有できるコンテンツを作成しています。
  • エカトラ社は、仕事や生活のスキルを習得できるマイクロラーニングのコースをテキストメッセージで展開しています。
  • コール・ア・カーニー社は、学習者が固定電話からアクセスでき、自立した学習スキルを身につけることができるインタラクティブなストーリーを提供しています。

パンデミック(世界的大流行)により、テクノロジーにアクセスできる人とそうでない人の差が浮き彫りとなりました。「デジタル・ディバイド(情報格差)」と呼ばれるこのようなアクセスの格差は、世界中の学校が閉鎖を余儀なくされる中、遠隔教育において特に深刻な影響をもたらしています。

学校がオンライン学習を提供できる状況にあっても、適切な機器やインターネット環境がないために、オンライン学習にアクセスできない生徒が多くいたのです。

多くの貧しい農村部の人々にとって、問題を悪化させたのは確かにパンデミックだったかもしれませんが、根本的な原因は他にありました。

この問題に取り組んでいるのが、世界経済フォーラムのトップイノベーターコミュニティアップリンク(UpLink)の一員である3つのスタートアップ企業です。彼らは、低価格で利用しやすいテクノロジーを使って、世界の恵まれない学生たちに教育を提供しようとしています。

Learnable aims to make education more accessible and inclusive for African students
アフリカの学生にとってよりアクセスしやすく、よりインクルーシブな教育の実現を目指すラーナブル社 Image: Learnable/UpLink

ラーナブル

Learnable(ラーナブル)社は、AI(人工知能)、機械学習、拡張現実を用いて、専用のモバイルアプリやWhatsAppで共有することのできる豊富な学習リソースを教師自身が作成できるサービスを提供しています。このサービスは、アフリカの教師たちが低帯域幅でも高品質なコンテンツを送受信することができるよう作られたものです。創業者のショリワ・ショーン・ベンジャミン氏は、これにより適切なテクノロジーやインターネットの接続環境がないために、多くの学生が教育コンテンツにアクセスできないというデジタル・ディバイドの解消に貢献したいと願っています。

本サービスはテクノロジーを活用し、講義の作成プロセスや学習者の評価、パフォーマンス管理を簡素化しています。

Text-message-based learning means students with even the most basic mobile devices can participate
テキストメッセージを使った学習では、一般的なモバイル機器しか持たない生徒でも参加できる。 Image: Ekatra

エカトラ

Ekatra(エカトラ)は、テキストメッセージを使った学生のマイクロコース参加を実現した世界初の低データ/ノーデータ学習プラットフォームです。エカトラは、教育機関がマイクロラーニングを作成、展開することを可能にし、非常に効果的かつ効率的なデジタル学習ツールであると言われています。

このプラットフォームは、十分な教育を受けていない高校生たちに重要な仕事や生活のスキルを教え、即戦力として活躍できるようにすることを目的とした組織をサポート。テキストとオーディオのテクノロジーをベースにしているエカトラは、特別なアプリやデバイスを必要とせず、一般的な携帯電話さえあれば誰でもアクセスできます。

また、学習者に必要とされるのは基本的な技術のみである一方、開発プロセスはAIや機械学習ツールを使って自動化されており、大規模な導入にも適しています。

これまでにエカトラ社は約800人の学生を対象に、このプロセスと学習プログラムのテストを行ってきました。

The pandemic has highlighted and exacerbated the digital divide.
デジタル・ディバイドを浮き彫りにし、悪化させたパンデミック Image: Statista

コール・ア・カーニー

Call-a-Kahaani(コール・ア・カーニー)社は、ストーリーと自動音声応答(IVR)プラットフォームを活用し、学習者に生活に必要なスキルと継続的な学習のためのマインドセットを提供しています。このテクノロジーはインターネットを必要とせず、携帯電話や固定電話からアクセスできるため、デジタル・インフラの整っていない地域への展開に最適です。

学習者は、4分間のナレーション付きのストーリーを聴き、学習の必要性や効果を測るためのシナリオに沿った課題に答えます。自らのストーリーのプラットフォーム上での共有、他者との交流も可能です。

また、インタラクティブなストーリーや課題は、学習者が主人公の決断や選択、それらがもたらす影響に触れることで、自主的な意思決定のスキルを身につけられるように設計されています。

コール・ア・カーニー社にはこれまでに、インドの15以上の州から2万2,000件以上の電話を受けており、総通話時間は3万4,000分に達しています。

エジソン・アライアンス

世界経済フォーラムのエジソン・アライアンスも、世界各地でデジタル・インクルージョンの促進と拡大に取り組んでいます。エジソン・アライアンスは、2025年までに、すべての人に安価でアクセス可能なデジタル機会を提供することを目指しています。

世界経済フォーラムの会長であるクラウス・シュワブ教授は、以下のように述べています。「デジタルへのアクセスや導入に向けて段階的に変化していく時代は終わりました。教育、健康、気候、平等、成長に関心を持つ人たちにも『すべての人にコネクティビティを』という私たちのミッションの推進者となってもらうため、この課題は、他の多くの課題の基礎となる重要なものであることを強調していくことが必要なのです」。

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