太陽光発電が今もっとも注目されていることを示す、3つの革新的なソーラーファーム
太陽光発電は現在、史上最も安価な電力源となっています。 Image: REUTERS/David Gray
- 国際エネルギー機関によると、太陽光発電は史上最も安価な電力源であり、2019年の成長率は22%でした。
- 普及が進むにつれて、革新的なプロジェクトが次々と登場し注目を集めています。
- スイス・アルプスの貯水池には、世界最高地のフロート式ソーラーファームがあります。
- カナダでは、北極圏の人里離れた地域に、ソーラーファームが建設されています。
- また、インドでは運河をソーラーファームに変えて、生活や農業のための土地を確保しています。
国際エネルギー機関(IEA)によると、太陽光発電は現在、史上最も安価な電力源であり、2019年の太陽光発電成長率は22%となりました。再生可能エネルギーによる発電量としては、風力発電に次ぐスピードで成長しています。
普及が進むにつれ、太陽光発電の可能性を拡大するプロジェクトが注目されていますが、ここでは3つのプロジェクトをご紹介します。
フロート式ソーラーファーム
寒冷な山は、太陽光発電の用地として注目されることはないように思えるかもしれません。
しかし、山に積もった白い雪や氷、山肌に反射する太陽光を想像してみてください。その白く明るい地表面で光が反射する「アルベド効果」により、スイス・アルプスにあるソーラーファームでも砂漠と同等の日射量を得ることができるのです。
スイスとイタリアの国境、標高1,800メートルを超える高地に位置する貯水池トゥールズ湖には、世界最高地のフロート式ソーラーファームがあります。
「強い日射があるため、発電量は低地の発電所に比べ、50%増になる」と、プロジェクトに携わるスイスの電力会社、ロマンド・エナジー社は予測しています。
このパイロットプロジェクトでは年間80万キロワット時の電力が生産されますが、これは220世帯分以上の電力供給量に相当します。
2022年には発電力をさらに拡大し、6,100世帯分の平均消費電力量に相当する2,200万キロワット時の発電量が見込まれています。
遠隔地のソーラーファーム
北極圏から約130キロ北に位置する、カナダ北西部のユーコン準州の山岳地帯でも、先駆的なソーラーファームプロジェクトが展開されています。
ユーコン準州のオールド・クロウは、空路でしか行けない人口約300の遠隔地の集落ですが、太陽光発電設備の新設により、電力供給のために使用している年間20万リットルのディーゼル燃料を削減することができます。
また、2,000枚以上のソーラーパネルが集落の滑走路沿いに設置されていることで、「長い日照時間と、北極圏の夏の太陽の軌跡を最大限に活かすことができる」と、北極評議会は説明しています。同評議会は、北極圏の国際的な協力を推進しており、「昼間の日光照射量がわずかでも、かすかな太陽光が雪に反射することにより発電できる」としています。
このソーラーファームがフル稼働すると、年間680トン(CO2換算)の温室効果ガスを削減できるようになり、これは自動車140台分の排出量に相当します。
カナルトップ・ソーラーファーム
地球の反対側にあるインドでは、太陽光は豊富に降り注いでいるものの、ソーラーファームを建設する用地の確保が高額になる、という課題があります。
インドは世界で最も人口密度の高い国の一つであり、人々の生活や農業には土地が必要とされるからです。
同国では、運河が優れた解決策となっています。灌漑用水路の上にソーラーパネルを設置し(カナルトップ太陽光発電)、農村部に電気を供給しています。さらに、ソーラーパネルが太陽光を遮ることで、農地に水を供給する用水路から水の蒸発を抑える効果もあります。
また、インドには主要な運河システムが120ほどあり、グジャラート州だけで8万キロメートルを超える灌漑用水路があります。グジャラート州電力公社によると、このうちの30%をソーラーカナルに変えた場合、36,400ヘクタールの土地が確保され、18,000メガワットの発電が可能と見込まれています。
同州は、2015年に初の大規模なカナルトップ太陽光発電所を立ち上げました。その後、グジャラート州以外のインドの8州で、「ソーラーカナル」プロジェクトが実施されました。
持続可能な太陽光発電
IEAによると、米国、中国、EUなどの主要な市場において、太陽光発電は、今後2025年までの間に年間約125GW増加することが見込まれています。
競争力が高まるにつれ、IEAは持続可能な開発シナリオで「2030年まで年平均15%の成長が必要」としていますが、太陽光発電はその目標に達する見込みです。
気候変動対策のスケールアップは、「世界経済フォーラム 持続可能な開発インパクト・サミット2021」の主要テーマとなっています。
9月20日から23日までの4日間、さまざまな部門・業界のリーダーたちが一堂に会し、国連の17の持続可能な開発目標(SDGs)達成を加速させるための議論を重ねます。
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