ストレスに関する3つの重要なポイント
燃え尽き症候群は、地球規模課題のひとつ Image: REUTERS/Dadang Tri
- ストレスは短期的にも長期的にも私たちの健康に影響を与えます。
- 状況によっては、パフォーマンスが向上し、生命の危機に対処できるようになるなど、ストレスがプラスに働くこともあります。
- しかし、ストレスが慢性化して健康に悪影響をおよぼすのを防ぐためには、ストレスを見極めて、うまく対処することが重要です。
世界の何十億人もの人々にとって、この1年半は特にストレスの多い日々でした。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で生活は混乱し、何百万人もの命が失われました。さらに、パンデミック(世界的大流行)がもたらした不確実性や、ロックダウン(都市封鎖)、家庭学習など新たな課題も加わり、ストレスレベルが上昇していることが調査により報告されたのは当然のこととも言えます。
ストレスは私たちの健康にどのような影響を与えるのでしょうか。ストレスにメリットはあるのでしょうか。また、うまく付き合うにはどうすればよいのでしょうか。
ストレスは健康に悪いのか
ストレスは、短期的にも長期的にも、私たちの心身の健康に影響を及ぼします。
米国国立精神衛生研究所(NIMH)は、慢性的なストレスはさまざまな症状となって現れると説明しています。消化器系の不調にはじまり、頭痛やイライラまで、日常的に健康に害を及ぼします。長期的に見ると、心臓病や高血圧など、より深刻な症状を引き起こす可能性もあります。
また、早めに対処しなければ、ストレスが原因でうつ病や不安症状など精神衛生上の不調につながる恐れもあります。
長期的なストレスは、肉体的、精神的、感情的な疲労感をもたらすと英国の国民保健サービス(NHS)は説明しており、このような感情は、仕事の場ではよく耳にする「燃え尽き症候群」と呼ばれるものです。
世界保健機関(WHO)は、実際には、燃え尽き症候群を「うまく対処できない、慢性的な職場のストレスに起因するとして概念化された症候群」と定義しています。
すべてのストレスは悪なのか
必ずしもそうではありません。生命の危機に瀕したとき、私たちはストレスとの戦いに備えるか、または逃げるかを促されます。NIMHは「脈拍が早く、呼吸が速くなり、筋肉が緊張すると同時に脳がより多くの酸素を使い、活動が活発になります。これらはすべて、生存を目的とした機能であり、ストレスに対する反応なのです」と、説明しています。
また、危険な状況に直面していないときにもストレスは有用な働きをします。1908年に行われた研究(ヤーキーズ・ドットソンの法則)によると、ストレスとパフォーマンスの間には「最適な」交点があるとされています。
ストレスが強すぎると燃え尽きてしまいますが、ストレスとパフォーマンスの最適な交点は、特に仕事において役立つ可能性があります。マッキンゼー・アンド・カンパニーの記事が説明しているように、自分自身のストレスを理解し見極めれば、ストレスを効果的にコントロールして、パフォーマンスを向上させることができるでしょう。
どのようにストレスに対処すればよいのか
ストレスを適切に管理できなければ、上述したような健康状態に陥る可能性があります。
マッキンゼーの記事のグラフが示すように、ストレスを感じた期間の後には、ある一定期間、回復と休息のための時間をとる必要があります。
WHOは昨年、ストレスの対処法を分かりやすく示した「ストレス時代における問題への対処方法(図解)」というガイドを発表しました。ここでは、自分をグラウンディングする方法や、ストレスの問題と原因を特定する術が紹介されています。
また、NHSのウェブサイトでも、ストレスや燃え尽き症候群に対処するためのアドバイスが紹介されています。大きな仕事は分担する、事前の計画を立てる、一人で抱え込まず相談するなどです。NIMHのウェブサイトでは、定期的に運動をすることと、睡眠不足やアルコール摂取量の増加など、ストレスに対する体の反応の兆候を見極めることなどを提案しています。
ストレスをコントロールできると、意外な成果が得られることもあります。最近の研究では、ストレスの緩和により、一度白髪になった髪が再び黒く戻る可能性があることも分かっています。
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