<報告書発表> グローバルリスク報告書2026年版 新たな競争の時代に高まる地政学的、経済的リスク

発行済み
2026年01月14日
2026
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世界経済フォーラム 広報統括(日本)栃林直子 naoko.tochibayashi@weforum.org

  • 地経学上の対立が2026年のグローバルリスクとして首位に浮上し、今後2年間の重要度において8ランク上昇しました。短期的には経済的リスクが最も急速に高まっており、景気後退とインフレはいずれも前年比で8ランクアップと急上昇しています。
  • AIへの懸念が高まる一方、環境的リスクは短期的には順位を下げました。
  • グローバルな見通しは不透明なままであり、専門家の半数がグローバル情勢は激変または不穏と予測。平静を見込む専門家はわずか1%です。
  • 『グローバルリスク報告書2026版』は、こちら。ソーシャルメディアのハッシュタグは #Risks26 。 年次総会の詳細はこちら。ソーシャルメディア上のハッシュタグは、#WEF26。

2026114日、スイス、ジュネーブ – 世界経済フォーラムの『グローバルリスク報告書2026年版』によると、最大のリスクに「地経学上の対立」が浮上。「国家間武力紛争」、「異常気象」、「社会の二極化」、「誤報と偽情報」が続きます。

リーダーたちや専門家は深刻な懸念を示しています。調査回答者の半数が、今後2年間のグローバル情勢は激変または不穏と予測しており、前年よりも14ポイント増加。さらに40%が少なくとも不安定な状況が続くと予測する一方、安定とする回答者は9%、平静と予測する回答者は1%でした。今後10年間については、57%が激変あるいは不穏な世界を予測し、32%が不安定、10%が安定、1%が平静を予測しています。

世界経済フォーラム総裁・CEOのボルゲ・ブレンデは、「主要国が自国の利益圏を確保しようとする中、新たな競争秩序が形作られつつあります。協力の形が昨日とは明らかに異なるこの変化は、現実的な課題を反映しています。このような状況においては、協調的なアプローチと対話の力が依然として不可欠です」と述べています。「ダボスで開催される年次総会は、リスクと機会を理解し、対処に必要な架け橋を築くための重要なプラットフォームとなるでしょう」。

同フォーラム常務取締役のサーディア・ザヒディは、次のように述べています。「同報告書は、競争の時代が地経学上の対立から制御不能な技術進歩、増大する債務までのグローバルリスクを増幅させる中で、早期警戒システムとして機能します。また、こうしたリスクに対処するための私たちの集団的能力にも変化をもたらすでしょう。ただし、これらのリスクはいずれも必然的な結果ではありません。本報告書の指摘する課題は、私たちが直面する潜在的な危険の深刻さを示すと同時に、今後の方向性を形作る上で私たちが共有する責任の大きさを浮き彫りにしています」。

同報告書は、リスクを即時(2026年)、短期~中期(今後2年間)、長期(今後10年間)の三つの時間軸で分析。近い将来の重要リスクには、武力紛争や経済的手段の武器化、社会の分断が挙げられます。こうした差し迫ったリスクが深刻化する中、技術革新の加速から環境の悪化まで、長期的な課題も連鎖的な影響を生み出しています。

地政学的、経済的、地経学的リスクが急増

地経学上の対立」が短期リスクの首位を占め、回答者の18%が、2026年に世界危機を引き起こす可能性が最も高いリスクと認識。また、今後2年間の重要度においても首位となり、前年に比較して8ランク上昇しました。「国家間武力紛争」は2026年の第2位に上がり、今後2年間では第5位に後退しています。

対立が激化、長期化する世界においては、サプライチェーンなど広範なグローバル経済の安定性や、経済的ショックに対処するための協力体制が脅かされるでしょう。地政学的なリスクに関しては、回答者の68%が今後10年間、世界秩序は多極化または断片化すると見込んでおり、前年比で4ポイント上昇しました。

経済的なリスクは全体として今後2年間に最も大きな増大を示しています。「景気後退」および「インフレ」のリスクはいずれも8ランク上昇し、それぞれ11位と21位。一方、「資産バブルの崩壊」のリスクは7ランク上昇し、18位となりました。こうした地経学的な緊張の中で高まる債務懸念と潜在的な資産バブルが、新たな変動の局面を引き起こす可能性があります。

テクノロジー、社会、環境

誤報と偽情報」は今後2年間で2位、「サイバーセキュリティ対策の低下」は6位となりました。「AI技術がもたらす悪影響」は最も顕著な上昇傾向を示し、今後2年間では30位ですが、今後10年間では5位に上昇。労働市場、社会、安全保障への影響に対する懸念を反映しています。

社会の二極化」は2026年で4位、今後2年間では3位に入っています。「不平等」は今後2年間、10年間の両方で7位です。また、2年連続で最も相互関連性の高いリスクに挙げられ、社会的流動性の停滞に伴い他のリスクを助長しています。「景気後退」は相互関連性で第2位。こうした相互関連性の背景には、生活費への圧力や、高所得者と低所得者の経済格差など経済の二極化が進む「K字型経済」の定着に対する懸念があります。

短期的な懸念事項が長期的な目標を上回った結果、今後2年間の環境的リスクの重要度は順位を下げました。「異常気象」は2位から4位へ、「汚染」は6位から9位へ低下し、また「地球システムの危機的変化」と「生物多様性の喪失」はそれぞれ7ランクと5ランク、順位を下げています。また、環境的リスクのすべてにおいて、深刻度スコアが低下。これは相対的な変化だけでなく絶対的なシフトを示しています。一方、今後10年間では環境的リスクが依然として最も深刻なリスクであり、上位3位は「異常気象」、「生物多様性の喪失」、「地球システムの危機的変化」となっています。また、回答者の4分の3が、環境関連の見通しについて「激変」または「不穏」と見込んでおり、これは全カテゴリー中で最も否定的な見解です。

グローバルリスク報告書について

グローバルリスク報告書は、世界経済フォーラムが発行するグローバルリスクに関する主要な出版物であり、今回の発行で第21回を迎えます。同報告書は、アカデミアと各国政府、企業、国際機関、市民社会のグローバルリーダーたちおよび専門家1,300名以上の見解を基にした「グローバルリスク認識調査」、ならびに「グローバルリスク報告書諮問委員会」、「グローバル・フューチャー・カウンシル・ネットワーク」、および世界経済フォーラムの経営幹部コミュニティからの知見を得て作成。差し迫ったリスク、短期的なリスク、長期的なリスクを特定、分析し、リーダーたちが新たな課題に対処するための先見性を備えると同時に、レジリエンスの高い未来を築く集団的行動を促進するための知見の提供を目的としています。詳細については、グローバル・リスク・イニシアチブのウェブサイトをご確認ください。報告書の全文はこちら

同フォーラムの「Global Economy Dialogue Series(グローバル・エコノミー対話シリーズ)」は、この先見性構築のアプローチを補完するものです。2つの公開資料地政学的要因と技術的推進力の相互作用を検証する『 Four Futures for the New Economy(ニュー・エコノミーの4つの未来)』、AIと人材動向に関する重要な不確実性に焦点を当てた『Four Futures for Jobs in the New Economy(ニュー・エコノミーにおける仕事の4つの未来)』は、2030年までの世界経済の異なる軌跡が企業に与える戦略的意味合いを探求。いずれも注視すべき指標、各シナリオの含意、複数の未来に備えるための後悔のない行動を特定し、不確実性を乗り切るための手立てを提示します。

世界経済フォーラム年次総会2026について

第56回世界経済フォーラム年次総会は、2026年1月19日から23日までスイスのダボス・クロスタースにて開催。「対話の力(A Spirit of Dialogue)」をテーマに、各国政府、企業、国際機関、市民社会、アカデミアのリーダーたちが一堂に会します。詳細はこちら

<ご参考>

動画:wef.ch/videos | YouTube

ポッドキャスト:wef.ch/podcasts | YouTube

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