<報告書発表> サイバーを利用した詐欺は、 今や最も広範かつグローバルな脅威の一つ

発行済み
2026年01月12日
2026
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世界経済フォーラム 広報統括(日本)栃林直子 naoko.tochibayashi@weforum.org

  • 世界経済フォーラムの新たな報告書『グローバル・サイバーセキュリティ・アウトルック2026』によると、サイバーを悪用した詐欺はランサムウェアを抜き、CEOの最大の懸念事項となりました。
  • 調査回答者の87%が昨年、AI関連の脆弱性の増加を経験しており、94%のリーダーたちが2026年にはAIがサイバーセキュリティを形作る最大の要因になると予想しています。
  • 地政学的な不安定により、各国のサイバー対応能力への信頼が低下しており、31%が自国が重要インフラ攻撃に対応できる能力に対する信頼は低いとしています。
  • 報告書の全文はこちら。年次総会の詳細はこちら。ソーシャルメディア上のハッシュタグは、#WEF26。

2026112日、スイス、ジュネーブ – 世界経済フォーラムの『グローバル・サイバーセキュリティ・アウトルック2026』によると、AI、地政学的な分断、サイバーを悪用した詐欺の急増が、前例のない速度でグローバルなサイバーリスク環境を再定義しています。

アクセンチュアの協力を得て作成された同報告書は、サイバーを利用した詐欺が広範な脅威となっていることを強調しています。この変化は、地域やセクターを越えて広がる詐欺の社会的、経済的影響の増大を浮き彫りにしています。また、同報告書は、AIが攻撃能力と防御能力の両方を強化している実態も明らかにしています。地政学的な分断はこうしたリスクをさらに増幅させ、サイバーセキュリティ戦略の根本的見直しを促すと同時に、地域間の準備態勢の格差を拡大させています。

同報告書は「グローバル・サイバーセキュリティ・アウトルック」シリーズの5つ目に当たります。同シリーズは、パンデミックを契機に進展したデジタル化から今日の複雑化するサイバーセキュリティ環境まで、着実な進化の軌跡を辿ってきました。新たな調査結果は、構造的変革を遂げつつあるサイバー環境について、サイバーレジリエンスをもはや技術的機能としてのみ捉えるのではなく、経済的安定性、国家のレジリエンス、公共の信頼を支える戦略的要件として位置付けるべきだと指摘しています。

世界経済フォーラム取締役のジェレミー・ジュルゲンズは、次のように述べています。「サイバーリスクが相互に密接に関連し、重大な影響を及ぼすようになる中、サイバーを悪用した詐欺はデジタル経済において最も破壊的な力の一つとして台頭し、信頼を損ない、市場を歪め、人々の生活に直接的な影響を与えています。リーダーたちの課題は、もはや脅威を理解することだけではなく、その脅威に先んじるために行動を共同で起こすことです。意義あるサイバーレジリエンスを構築するには、各国政府、企業、技術プロバイダーが連携し、AI主導の世界において信頼と安定性を守るための協調行動を取ることが必要です」。

高いレジリエンスを有する組織と後れを取る組織との格差は依然として顕著であり、スキル不足やリソース制約が構造的なリスクを増幅させています。一方、グローバルサプライチェーンは相互依存性を増し、不透明化が進み、サードパーティーへの依存がシステムの脆弱性へと転化しています。こうした動向は、サイバー能力における格差が拡大する時期に重なり、規模の小さい組織や新興経済国が特に脆弱な状態に晒されています。

「AIの兵器化、継続する地政学的緊張、そして構造的なサプライチェーンリスクが、従来のサイバー防御の在り方を根底から揺るがしています。C-suiteのリーダーにとって、その要請は明確です。AI主導の脅威アクターに対抗するため、従来型のサイバー保護から、先進的かつエージェント型AIを活用したサイバー防衛へと転換し、レジリエンスを高めなければなりません」と、アクセンチュアのサイバーセキュリティ・グローバルリードであるパオロ・ダル・チンは述べています。「真のビジネス・レジリエンスは、サイバー戦略、オペレーショナル・コンティニュイティ、そして基盤となる信頼を融合させることで築かれます。それにより、組織は急速に変化する脅威環境に機動的に適応することが可能となるのです。」

本報告書は、2026年に向けて変化するサイバー環境を形作る主要因を特定。これには以下が含まれます。

  • AIがサイバーセキュリティのリスクを前例のない速度で加速しています。2025年にはAI関連の脆弱性が他のいかなるカテゴリーよりも急速に増加し、回答者の87%が増加を報告。生成AIに関連するデータ漏洩(34%)と敵対的能力の拡大(29%)は、2026年の主要懸念事項となっています。一方、経営幹部の94%が、AIが2026年のサイバーセキュリティを形作る最も重要な力になると予想。組織はこれに対応し、AIによるセキュリティ評価の割合を37%から64%へとほぼ倍増させています。
  • 地政学がグローバルなサイバーセキュリティ脅威の状況を再定義しています。64%の組織が地政学的に動機付けられた攻撃をリスク戦略に組み込み、大企業の91%はそれに応じてサイバーセキュリティ態勢を調整しています。回答者の31%が、自国が重大なサイバーインシデントを管理する能力に対する信頼は低いとしています。この信頼度は地域によって大きく異なり、中東・北アフリカでは84%であるのに対し、ラテンアメリカ・カリブ海地域では13%です。
  • サイバーを悪用した詐欺は、広範かつグローバルな脅威となっています。驚くべきことに、回答者の73%が2025年に直接被害を受けた、あるいは被害者を知っていると回答。CEOたちは現在、ランサムウェアよりも詐欺やフィッシングを最大の懸念事項として挙げています。
  • サプライチェーンは依然として重大な構造的脆弱性をはらんでいます。大企業の65%が、サードパーティーおよびサプライチェーンのリスクを最大のサイバーレジリエンス障壁として挙げており、2025年の54%から増加しています。集中リスクも深刻化。インフラレベルの障害が、相互接続されたデジタルエコシステム全体に広範な影響を波及させ得ることを、主要クラウド/インターネットサービス事業者におけるインシデントが示しています。
  • サイバー格差は地域、業種を問わず拡大しています。小規模組織は、大企業と比較してレジリエンスの不足を報告する可能性が2倍高くなっています。地域別では、サイバーセキュリティ人材の不足が最も顕著なのはラテンアメリカおよびカリブ海地域であり、65%の組織がセキュリティ目標達成に必要なスキルが不足していると報告。一方、サハラ以南のアフリカに拠点を持つ63%の組織も同様に、人材のひっ迫に直面しています。

「AIの進歩は、ビジネスの運営方法や人々の生活と働き方を変革しています。責任を持って導入されれば、これらの技術が迅速な検知と対応を支援し、サイバー防御を強化することができるでしょう。ただし、技術の誤用や不適切な管理は、データ漏洩からサイバー攻撃に至る深刻なリスクをもたらす可能性もあります」と、シンガポールのデジタル開発・情報大臣兼サイバーセキュリティ・スマートネーション担当大臣、ジョセフィン・テオ氏は述べています。「そのため各国政府は、AIがサイバーレジリエンスを強化すると同時に、国境を越えてサイバー犯罪が拡大するリスクを最小限に抑えるため、先見性のある協調的アプローチを必要としています」。

同報告書は、各セクターのリーダーたちに対し、孤立した取り組みを超え、情報共有、基準の統一、必要な能力への投資を通じて集合的な基盤を高めることに取り組むよう求めています。これにより、あらゆる組織がより安全で強靭なデジタル環境の恩恵を受けられるようになるでしょう。

調査結果は、92カ国804名のグローバル・ビジネスリーダーたち(最高経営責任者(CEO)105名、最高情報セキュリティ責任者(CISO)316名、最高技術責任者(CTO)および最高リスク責任者(CRO)など経営幹部123名を含む)より得られた知見に基づいています。

世界経済フォーラム年次総会2026について

第56回世界経済フォーラム年次総会は、2026年1月19日から23日までスイスのダボス・クロスタースにて開催。「対話の力(A Spirit of Dialogue)」をテーマに、各国政府、企業、国際機関、市民社会、アカデミアのリーダーたちが一堂に会します。詳細はこちら

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