<報告書発表> 7つの分野と80%の労働者 未来の働き方を推進する4つのテクノロジー

発行済み
2025年10月14日
2025
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世界経済フォーラム 広報統括(日本)栃林直子 naoko.tochibayashi@weforum.org

  • 4つの技術が労働市場の変革を牽引すると見られており、、特に世界の労働者の約80%が従事する7つの主要な職種群において、その影響が最も大きくなると予測されています。
  • これらの技術がもたらす膨大な可能性を実現すると同時にリスクを最小限に抑えるためには、対象を絞った投資、開発途上市場における技術アクセスの改善、包摂的なプラットフォーム設計が必要です。
  • すでに具体的な成果を上げている応用例としては、ドローンを活用した農作物の収穫、中小企業向けAI搭載物流支援システム、マイクロエネルギーシステムなどが挙げられます。
  • レポートはこちら。グローバル・フューチャー・カウンシルズおよびサイバーセキュリティ年次総会2025はこちら。また、ソーシャルメディアでは、ハッシュタグ #AMGFCC25をご活用ください。

20251014日、スイス、ジュネーブ – 世界経済フォーラムの報告書によると、AI、ロボティクス、先進エネルギーシステム、センサーネットワークという4つの新興テクノロジーが、グローバルな労働市場に変革をもたらす準備を整えています。これらのテクノロジーは、農業、製造業、ヘルスケアをはじめとする重要な分野において、生産性を向上させ、雇用構造を変革する新たな機会を創出すると見込まれます。ただし、潜在的な生産力を引き出し、リスクを管理するためには、投資資金の動員、技術のグローバルな普及の加速、包摂的なアクセスの確保などに関する連携した取り組みが必要となるでしょう。

同フォーラムの「グローバル・フューチャー・カウンシル - 雇用とフロンティア技術」により作成された報告書『Jobs of Tomorrow:Technology and the Future of the World's Largest Workforces(働き方の明日:テクノロジーと世界最大の労働力の未来)』では、農業、製造業、建設業、小売・卸売業、運輸・物流業、ビジネス・管理職、医療・介護職の7つの職種で分析を実施。これらは合わせて世界の労働力の約80%を占め、技術革新が世界的に最も大きな影響を与える可能性が高い職種群です。

「技術開発の方向性は、現在および今後数年間に下される決定によって決定付けられるでしょう」と、同フォーラムの労働、賃金、雇用創出部門長、ティル・レオポルドは述べています。「どのテクノロジーが最も変革をもたらすのか、そして世界の労働者の約80%を占める7つの職種群にどのような変革をもたらすかを理解することは、その影響を予測し、望ましい成果を導く上で極めて重要です」。

グローバルな議論ではデスクワーク中心のオフィス業務に焦点が当たる傾向にありますが、同報告書は、新興テクノロジーが様々な職種で現実世界の変革を推進している実態を明らかにしています。ドローン技術は、アラブ首長国連邦では効率的な都市部配送を、ガーナの農村部では医療機器などの重要物資の輸送をすでに実現。アフリカ諸国における屋上設置型再生可能エネルギーシステムは、最前線で働く人々の勤務時間を安定させ、停電時の外出を促すと同時に、エネルギーシステム専門家の需要を創出しています。

また、半自動化された建設機械が作業員の身体的負担を軽減し、安全性を向上させている事例もあります。さらに、ロボティクスとAIデータ処理の組み合わせが、医療分野における患者の治療プロセスや医療従事者の働き方を再定義する可能性があります。

同報告書によると、変革をもたらすテクノロジーには機会とリスクの両面があるために、業界や状況に応じた適切な対策が極めて重要となります。農業と医療分野では、特に発展途上国市場においてテクノロジーの普及とアクセス向上を最優先課題とする必要があります。製造業では、各国の産業エコシステムに応じて国ごとに異なる戦略を策定しなければなりません。密接に関連する卸売、小売、運輸、物流の各セクターは、市場支配力を集中させずに配送経路や在庫効率を改善する、機能性の高い技術プラットフォーム市場から最大の恩恵を受けるでしょう。

「これらのテクノロジーは、人間の可能性を拡大する大きな可能性を秘めています。本カウンシルは多様な専門知識を結集し、アップスキリングとリスキリングを推進して働き方を再定義すると同時に、その過程で予想される課題を見据え、対処することを目指しています」と、同カウンシルの共同議長であり、オートメーション・エニウェア共同創設者兼最高ソーシャルインパクト責任者のニーティ・シュクラ氏は述べています。

今後の変革の恩恵を最大化するには、各国政府、雇用主、技術開発者たちによる連携した個別対応型の行動が必要です。より生産的かつ包摂的な未来のグローバル労働力を構築するために今日必要なステップは、より大きな技術投資と普及を可能にすること、効率的かつ支援的な市場構造を促進すること、雇用主の戦略的な労働力目標を理解すること、テクノロジーによって可能となる労働力の潜在力を理解することです。

このために「グローバル・フューチャー・カウンシル - 雇用とフロンティア技術」は、2025から2026年の残りの任期において、技術開発がいかに包摂的かつ生産性の高い雇用を可能にするかを評価し、ステークホルダーに向けた具体的な行動を特定することに注力する予定です。

同フォーラムの労働、賃金、雇用創出部門カウンシル・マネージャー兼インサイト・リードであるサム・グレイリングは次のように述べています。

「本報告書は、最大の変革機会がどこに存在するかを明確に示しています。多様な視点を結集することにより、グローバル・フューチャー・カウンシルズ・ネットワークは、幅広い専門知識を活用し、グローバルな生活向上につながる技術開発の道筋を創出することができるでしょう」。

調査について

「グローバル・フューチャー・カウンシル - 雇用とフロンティア技術」は、労働力を変革するテクノロジーの定義を「労働力を急速に再構築し、生産性を向上させ、新たな役割を創出し、社会的課題に対処する一方で、対応を必要とする構造的なリスクをもたらす進歩」だとしています。『仕事の未来レポート2025』では、世界中の雇用主の期待を検討し、探求する4つのフロンティア技術を特定。メンバーの専門知識を活用して、産業や職種群における労働力への影響を評価しています。

グローバル・フューチャー・カウンシルズおよびサイバーセキュリティ年次総会2025について

インテリジェント時代の相互に関連する課題に対処し、あらゆるセクターにおけるサイバーセキュリティとレジリエンスを強化するため、世界経済フォーラムは、各国政府、企業、市民社会、アカデミアから500人以上の専門家たちと、世界を代表するサイバーセキュリティ分野のリーダーたち150人を招集し、10月14日から16日までアラブ首長国連邦のドバイにて特別合同会合を開催します。本会合で得られた知見は、ダボスで開催予定の年次総会2026を含む、世界経済フォーラムの今後の活動の方向性を示すものとなるでしょう。

<ご参考>

動画:wef.ch/videos | YouTube

ポッドキャスト:wef.ch/podcasts | YouTube

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