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「デジタルノマド」の可能性 - 地域経済を活性化しイノベーションの火付け役に

Man in long sleeve top on laptop on rooftop: Digital nomads can bring in more spending to the local economy in Japan.

デジタルノマドの誘致は、消費の拡大やイノベーションの創出を活性化すると期待されています。 Image: Unsplash/airfocus

Naoko Tochibayashi
Communications Lead, Japan, World Economic Forum
Naoko Kutty
Writer, Forum Agenda
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  • 日本政府は、国境を超えてリモートワークをする外国人の「デジタルノマド」を対象に、最長6ヶ月間の滞在を新たに認める新制度を導入する予定です。
  • 制度導入に先駆け、企業や自治体におけるデジタルノマド誘致に向けた取り組みが加速しています。
  • 文化や価値観の異なるプロフェショナル人材の受け入れは、地域経済の活性化やイノベーションの創出を大きく後押しすると期待されます。

デジタル技術を駆使して、場所に縛られずに長期で旅をしながら働く「デジタルノマド」という新しい働き方が世界で急増しています。

日本政府は、世界49カ国のビザ免除国からの訪問者に対して最長6ヶ月間の滞在を新たに認める制度を新設し、デジタルノマド人材を誘致する計画を発表。日本国内を観光しながら働きたい高度人材の外国人を取り込むことで、消費の拡大やイノベーションの創出を活性化する狙いです。現行の90日間の観光ビザの倍の期間、日本に滞在を認めるデジタルノマドビザは、年収が1,000万円以上あることや民間医療保険に加入していることなどが要件として課されます。3月末に予定されている制度導入に先駆け、企業や自治体はデジタルノマド誘致に向けた取り組みを進めています。

進む外国人向け賃貸住宅の整備

三菱地所は、2030年までに1万戸の賃貸住宅を外国人向けに供給することを発表。高まるデジタルノマドの需要に住宅面で応えます。米国の不動産テック企業、ブルーグラウンド・ホールディングスとライセンス契約を締結した同社は、ブルーグラウンドの予約システムを通じて英語でのオンライン賃貸契約を可能にし、またアプリを通じて滞在者の生活相談にも応じます。

国土交通省が2016年に行った調査では、外国人の賃貸を認めない住宅オーナーが多いことや、敷金・礼金など日本独特の賃貸借契約の商慣習が、外国人が日本へ短期・中期滞在する障壁となっていることが指摘されています。売上高で200億円、営業利益で30億円を目標とする同社のプロジェクトは、こうした課題へのソリューションになると期待がかかります。

デジタルノマドの誘致、自治体も本腰

福岡市と福岡観光コンベーションビューローは、2023年10月にデジタルノマド誘致プログラム「COLIVE FUKUOKA」を実施。米国、メキシコ、韓国など24の国や地域から50人以上のデジタルノマドを実験的に招き、その効果や課題を探りました。同プログラムは、デジタルノマド市場に特化した日本初のマーケティングファームである遊行との連携で、1ヶ月間にわたり市内を拠点とした複数のコワーキングスペースの提供および地域交流や地元事業者とのミートアップなどを展開しました。

また、2023年11月には、長崎市において観光庁の補助金を活用した「ファムツアー」(インフルエンサーなどを招き現地視察や体験をしてもらうツアー「ファミリアライゼーション・ツアー」の略称)が実施されました。同市は、デジタルノマドへのヒアリングなどを通じて、誘致にあたっての市の強みや弱みを調査し、将来のデジタルノマド市場拡大に向けた可能性を探りました。

さらに、東京都は、ジェトロ、内閣府、経済産業省、三井不動産と協力して、世界最大のプレシードインベスターであるテックスターズを東京に誘致し、エクイティ方式のスタートアップ・アクセラレーションプログラム「テックスターズ・アクセラレーター(Techstars Accelarator)」を2024年の夏に3ヶ月間実施する予定です。日本のスタートアップのグローバル化と、外国人起業家による日本での起業の促進を目指す同プログラムでは、12社のシード期スタートアップを選抜し、それぞれに約1,800万円を出資して事業のスケールアップを支援。宮坂学東京副都知事は「海外のデジタルノマド人材が、東京で仕事ができる環境を作ることが重要」とし、こうした取り組みを皮切りに、東京に優秀な人材を集める仕組み作りを加速させる意気込みを示しました。

リモートワーク拠点と観光地の両面で、人気高まる日本

多様なバックグラウンドを持つプロフェッショナル人材であるデジタルノマドの受け入れは、「移民に関する課題解決の一助になったり、新たな知識が共有されたり、イノベーションや新規事業創出の芽が生まれるなど多くのメリットをもたらす」と、ハーバード・ビジネス・スクールのプリトウィラージュ・チョドリー准教授は語ります。ある調査によると、日本に滞在しているデジタルノマドの平均月収は、一般的な日本人の平均月収の2倍以上となる78万円超。観光資源が豊富な日本にとっては、観光という側面から見ても、消費能力の高いデジタルノマドが地域経済の活性化に貢献する新たな顧客層となる事が期待されます。

世界経済フォーラムが発表した白書 「グローバル・デジタルジョブの台頭(The Rise of Global Digital Jobs)」によると、現在、約7,300万人がリモートで働くことができるデジタルかつグローバルな仕事に従事しており、2030年までにその数は9,200万人に増加する見込みです。また、nomadlist.comの調査では、東京がデジタルノマドにとって最も急成長している都市の1位に選出され、リモートワーカーについては、2022年には東京で396%増加しています。

一方、世界経済フォーラムの「2021年旅行・観光開発指数レポート(Travel & Tourism Development Index 2021」では、日本が開発指数ランキングの1位に選出されました。交通インフラの利便性、自然・文化遺産など観光資源の豊富さ、治安の良さ、清潔さがなどの項目で高評価を得ています。一方、評価が伸び悩んだ項目は、旅行・観光の優先度、国際的開放度、人的資源と労働市場で、117カ国中それぞれ42位、39位、31位という結果に。デジタルノマドの誘致は、これらの課題解決の後押しにも貢献するかもしれません。

リーモートワーク拠点と観光地の両面で世界の注目を集める日本。文化や価値観の異なるプロフェショナル人材の受け入れを、いかに地域経済の活性化やイノベーションの創出につなげることができるかに期待が高まります。

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Naoko Tochibayashi and Naoko Kutty

2023年9月12日

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