口腔衛生が健康の公平性に与える影響
口腔の健康は、全身の健康に影響を及ぼします。 Image: Unsplash/Lafayett Zapata Montero
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社会と公平性
- 世界で約350万人が、口腔疾患を患っています。
- 口腔の健康は、全身の健康やウェルビーイングに関わること証明されているため、これは懸念すべき統計結果です。
- 世界経済フォーラムが新たに立ち上げた、オーラルヘルス・アフィニティ・グループは、企業とパブリックセクターのリーダーを結集させ、口腔の健康が、重要なグローバルヘルス・アジェンダであるという認識の普及に取り組んでいます。
世界で約350万人が、虫歯、歯肉炎、歯周病などの口腔疾患を患っています。口腔の健康は、全身の健康やウェルビーイング(幸福)に関わることが証明されているため、これは懸念すべき統計結果です。米国だけでも、30歳以上の47.2%が何らかの歯周病を患っています。驚くべき割合ですが、こうした慢性的な口腔疾患が、特に子ども、高齢者、黒人・先住民・有色人種(BIPOC)、障害を持つ人、低所得者など、十分なサービスを受けていない人々に不均等に影響を及ぼしていること考えると、事態はさらに深刻です。
世界中に広がる健康格差の一因は、歯科治療への障壁によるところが大きく、予防可能な口腔疾患が、十分なサービスを受けていない人々やコミュニティに深刻な影響を及ぼしています。それは、日常生活のあらゆる面に支障をきたし、健康的な未来を生きる可能性さえ奪うものです。格差の影響を受けるのは大人だけではありません。子どもたちもまた、口腔衛生不良により身体的、感情的、社会的、経済的に大きな苦痛を経験する可能性があります。
口腔衛生の悪化は、世界中のコミュニティに打撃を与えます。2015年の世界の口腔疾患と口腔環境の悪化による直接的コストは3,570億ドル(治療費など)、間接的コストは1,880億ドル(仕事や学校を休むことによる生産性の低下など)に達しました。そして、高所得国、中所得国、低所得国間のコストに大きな差があることもわかりました。
公平な口腔医療に立ちはだかる障壁
歯科治療の障壁となっているのは、高い費用、地理的孤立、恐怖心や不安感、そして、他の社会的および経済的要因などさまざまです。研究によると、高額な口腔医療費の自己負担が治療をためらわせる理由となっていることが多いこともわかっています。これは、経済や仕事に関わり、米国では、低所得層の生産年齢人口のうち、成人の約29%が、自分の口や歯の見た目が仕事の面接に影響すると回答しています。
もう一つの大きな課題は、歯科などにおける医療職の多様性の不足です。例えば、2016年には、歯学部への志願者のうち過小評価されているマイノリティの割合はわずか15.2%でした。これが、医療提供者と患者のケアに課題をもたらし、研究によると、患者が医療提供者に対し自分と似た背景や経験を持つと感じられない場合、または、患者のアイデンティティや経験に対する医療提供者の理解が不足している場合、患者は、必要なケアを受けにくく排除されていると感じる可能性が高いとされています。
さらに、医療提供者の文化的能力や言語能力、患者のヘルスリテラシーや健康行動など、医師と患者のコミュニケーションに関する課題は、十分なサービスが行き届いていないコミュニティが医療にアクセスする障壁となり得ます。ヒスパニック系住民を対象としたある調査では、スペイン語を話し、ヒスパニックの文化的価値観を十分に理解する医師を持つことが彼らにとって極めて重要であることがわかりました。
明るい未来は、明るい笑顔から
変化を起こすためには、口腔の健康格差の背景にある課題を理解するだけでは不十分です。政府、企業、リーダたちは、この格差を理解し行動を起こす必要があります。より公平な口腔の健康へのアクセスを確実なものとするためには、企業や政府主導のより良いプログラムや政策の実施が不可欠でしょう。以下に、同社の具体的な取り組みを紹介します。
すべてのコミュニティの、口腔衛生リテラシーを向上させること。コルゲート・パーモリーブでは、「KnowYourOQ」や「Bright Smiles, Bright Futures®」プロジェクトを通じて、口腔衛生リテラシーの向上と行動変容を促進し、口腔ケアの格差を埋める取り組みを行っています。
医療従事者の口腔衛生に対する意識を高めること。私たちは、看護師を巻き込むことに特に焦点を当て、全身ケアの重要性に関する医療従事者へのトレーニングを強化しています。
医療職の多様性向上、医療政策のガイドラインに関する情報提供、口腔の健康悪化がもたらす社会経済的影響への対処を目的とした、グローバルおよびローカルのパートナーシップを構築しています。
すべての人にとってより健康な未来を構築するため、次世代のテクノロジーと研究を活用し、口腔衛生の悪化が特定のコミュニティに与える深刻な影響に対処しています。
世界経済フォーラムのグローバルヘルス・エクイティ・ネットワーク(Global Health EquityNetwork)が、新たに立ち上げたオーラルヘルス・アフィニティ・グループ(Oral Health Affinity Group)は、企業とパブリックセクターのリーダーを結集させ、口腔の健康が、いかに重要なグローバルヘルス・アジェンダであるかを認識し、持続可能な開発目標の中心に口腔の健康行動を据えることを目的に取り組んでいます。同グループについての詳細は、こちらにお問い合わせください。
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