「マイクロストレス」がメンタルヘルスの時限爆弾となる理由
心に蓄積された些細なストレスは、長期的に深刻なダメージを精神や肉体に与える可能性があります。 Image: Unsplash/Nik Shuliahim
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メンタルヘルス
- 人生のささいな悩みの種であるマイクロストレスは、時間の経過とともに蓄積され、長期的な身体的・精神的健康に影響を及ぼす可能性があります。
- マイクロストレスを管理し、対処するためには、その原因を特定する必要があります。
- メンタルヘルス疾患の世界的な疫病負荷が増加する中、マイクロストレスにいかに対処するかが重要な課題となっています
「マイクロストレス」と呼ばれる日常の小さな悩みや煩わしさは、それ自体は重要でないように思えるかもしれませんが、蓄積されると、精神的・肉体的な健康に深刻な影響を及ぼし、物事を崩壊させてしまう可能性があります。
人生を変えるような悪い知らせを受けたり、職を失ったり深刻な病気と診断されたりするなど、重大でネガティブな出来事を経験すると、人は自然と「戦うか逃げるか」のいずれかの反応を起こすと、ネットメディアのアクシオスに、新書「マイクロストレス・エフェクト(The Mirostress Effect)」の共著者であるロブ・クロス氏は語りました。
しかし、私たちは、仕事仲間との対立的な議論や、家族のがっかりさせる言動、約束を守らない人たちなど、仕事や私生活の中で引き起こされる些細な苛立ちのほとんどを受け流してしまう傾向があります。
マイクロストレスを見過ごしてはならない理由
このような小さな出来事の一つひとつは、さほど重要ではないように思えるかもしれませんが、より深刻なトラウマが引き起こすような、高血圧や睡眠パターンの乱れなどといった身体的ダメージを誘発する可能性があるため、軽視するのは危険です。時間が経つにつれて、心の中に蓄積される些細なストレスは、肉体的・精神的健康の両方に長期的に深刻なダメージを与える可能性があるのです。
さらに、こうした混乱を引き起こす出来事は、常に日常に潜んでおり、威圧的な上司や要求の厳しいクライアントなどによってではなく、家族や友人など、私たちの身近にいる人々によって引き起こされることが多いのです。
マイクロストレスの影響を最小限に抑えるには
健康を維持する鍵は、最も一般的な原因を認識し、管理することです。
イライラや対立、混乱を引き起こしている相互作用の種類と原因を特定することで、人は自分のライフスタイルや行動を適応させ、それらに対処することができると、クロス氏は言います。
世界保健機関(WHO)によると、地球上の8人に1人がメンタルヘルス疾患を抱えており、日々のストレスを軽減することはとても重要です。
世界的なヘルスケアの課題
データで見る私たちの世界(Our World in Data)が公表している数値を見ると、メンタルヘルス疾患による世界の疫病負荷は、1990年からの約30年で、約6億5,500万人から9億7,000万人以上へと急激に上昇しています(アルコールと薬物使用障害を除く)。
WHOは、重度の精神疾患を持つ人々は、予防可能な身体疾患を理由に、20年も早く命を落とす可能性があると指摘しています。
一部の国では、メンタルヘルスの治療が進んでいますが、メンタルヘルスに対する認識を高め、偏見をなくし、効果的な治療法へのアクセスを増やし、既存の新しい治療法を開発するための研究を促進するためには、さらなる投資が必要でしょう。
医療従事者の不足、サプライチェーンの課題、気候変動による影響、政情不安、増大する医療サービスに対する需要、資金不足の拡大、世界の医療提供やアクセスにおける格差の拡大など、グローバルヘルスとヘルスケアが抱える課題は数多くあり、メンタルヘルスはその一つに過ぎません。
世界経済フォーラムの「グローバル・ヘルスとヘルスケア戦略展望(Global Health and Healthcare strategic Outlook)」では、これらを含む課題が指摘されており、グローバル・ヘルスとヘルスケア部門に体系的な変化をもたらすために必要な行動の概要が示されています。この戦略は、企業とパブリックセクターとのパートナーシップを通じた投資を強化することで潜在的な障壁を克服し、将来のヘルスとヘルスケアの重要な要素として、質、レジリエンス(強靭性)、イノベーション、サステナビリティーを確保することを目指しています。
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