ダボス年次総会2023:都市と地域経済の未来
世界経済フォーラムの年次総会2023では、都市開発や地域経済の向上に向けた都市主導の取り組みが紹介されました。
Image: World Economic Forum/Ciaran McCrickard
Jeff Merritt
Head of Centre for Urban Transformation; Member of the Executive Committee, World Economic Forum最新の情報をお届けします:
都市と都市化
- 今年の年次総会では、都市開発と地域経済の改善に向けた、都市主導の取り組みが紹介されました。
- 自然とサーキュラリティーは、都市における気候変動対策の未来を握る鍵です。
- 都市変革を推進するテクノロジーには、シェアード・ガバナンスが必要不可欠です。
ダボス・クロスタースで開催された、今年の世界経済フォーラムの年次総会には、350人以上の政府代表と47人の国家元首を含む、約3,000人のグローバルリーダーが集結しました。
生活費の高騰からウクライナでの戦争に至るまで、官民のダイアローグは、複合的なグローバルリスクに焦点が当てられたと同時に、都市と地域経済を中心に、現場で求められる行動についての戦術的議論も活発に行われました。
年次総会で繰り広げられた議論から、重要なポイントを紹介します。
政府と企業、「より良い建築」のための計画を策定
スイスのアラン・ベルセ大統領のリーダーシップのもと、31カ国の政府閣僚、市民社会団体、建築・不動産業界の大手企業が、繁栄する持続可能なコミュニティの開発を加速させるため、グローバルな「ダボス・バウクルトゥール・アライアンス(Davos Baukultur Alliance)」を新たに発足。世界経済フォーラムは、新たに誕生したこのアライアンスを主導していく予定です。
都市の再建に関する公開セッションでは、国連人間居住計画(UN-Habitat)のマイムナ・ムフド・シャリフ事務局長が、ビジネスリーダーたちと共に、これらの優れたデザインの原則を実行に移すこと約束しました。
アビソン・ヤングのマーク・ローズ会長兼CEOは、都市変革の取り組みの中核に社会的価値を置くことの重要性を強調。ハビタット・フォー・ヒューマニティ・インターナショナルのCEOであるジョナサン・レックフォード氏は、脆弱なコミュニティにおいて、より気候変動に強い住宅ソリューションを提供することは、気候変動への適応と緩和の行動を加速させるチャンスになり得ると話しました。
都市の気候変動対策の中心に、自然とサーキュラリティーを
シエラレオネ・フリータウン市議会市長のイヴォンヌ・アキ・ソーヤー氏、メキシコ・モンテレイ市長のルイス・ドナルド・コロシオ氏、メルボルン市町のサリー・キャップ氏は、気候変動と闘う都市を支援するため、資金を増加し、自然を基盤としたソリューションの優先順位を高めることを求める共同声明を発表しました。
官民のリーダーたちは、都市生活の進化に関する公開セッションで、持続可能かつ社会的にレジリエントな未来の都市環境を構築するためのベストプラクティスを紹介しました。
世界経済フォーラムは、45以上のパートナーと共に、新規および既存の官・民・慈善団体パートナーシップ(PPPPs)に資金提供し、成長させるための世界的イニシアティブ、「アースアクション拡大のための拠出(Giving to Amplify Earth Action)」を発足。このイニシアチブは、2050年までのネットゼロ達成、自然の喪失の逆転、生物多様性の回復に必要とされる、年間3兆ドルの資金の解放の一助となるものです。
イノベーターと起業家が、都市生活の可能性を再定義
デロイトのグローバルCEOのジョー・ウクゾグル氏と、セールスフォースのチーフ・インパクト・オフィサー、スザンヌ・ディビアンカ氏は、持続可能な都市の実現に重点的に取り組む、世界経済フォーラム初の「場」「地域」に根差したアップリンクのイノベーションチャレンジを発足することを発表しました。この新しい取り組みは、今後、サンフランシスコで試験的に実施され、企業、ベンチャーキャピタル、起業家、非営利団体パートナー、その他地元のステークホルダーが協働し、革新的なソリューションを持って環境・社会課題の解決に取り組む起業を支援する予定です。
未来都市に関する公開セッションでは、サウジアラビアのネオムや、インドネシアのヌサンタラなど、「グリーンフィールド型」の都市が初めて集結しました。このセッションは、世界経済フォーラムが、学び合いを後押しし、新しい都市と世界中の伝統的な都市をつなぐイノベーションハブを共有する、新しい取り組みの幕開けとなりました。
都市変革を加速させるテクノロジー、優れたガバナンスが不可欠
アラップ・グループのアラン・ベルフィールド会長は、より良いデータを通じて建物と都市の脱炭素化を加速させる必要性を強調しました。また、アヴェヴァ・グループのCEO、ピーター・ハーウェック氏は、開発途上国が、どのようにスマートシティ技術を活用して都市サービスを改善し、生活の質を向上しているかについて語りました。
世界経済フォーラムの、コネクテッド・ワールド・カウンシルは、報告書「コネクテッド・ワールドの現状2023年版(State of the Connected World 2023)」を発表。この報告書は、コネクテッド・テクノロジーの倫理、セキュリティ、アクセシビリティに関する主要な懸念に対処するためには、企業と政府の連携が不可欠であることを強調しています。
また、G20グローバル・スマートシティー・アライアンスは、スマートシティ技術の責任ある倫理的な使用に関する、グローバルなベストプラクティスを推進することを目的に、新たなベンチマークツールを発表しました。
2023年は行動の年
世界経済フォーラム年次総会2023では、480を超える官民のセッションが開催され、数多くの発表、会議、サイドイベントとともに、野心的な一年に向けた道筋が提示されました。都市と地域経済は、最も可能性を秘めている分野であると同時に、大きな危機にも直面しています。
こうした会議は、未来への進展を保証するものではありませんが、団結した行動を推進するための重要な出発点、マイルストーン、触媒としての大切な機能を果たしています。
2023年のイベント予定
2月:ポルトガル・リスボン市長と米国・マイアミ・デイド市長による都市戦略対話
5月:ダボス・バウクルトゥール・アライアンス 第一回会合(イタリア・ベニス)
6月:グローバル・テクノロジー・サミット(米国・サンフランシスコ)
10月:アーバン・トランスフォーメーション・サミット(米国・デトロイト)
11月:スマートシティエキスポ世界会議(スペイン・バルセロナ)
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