欧州の商用便、パンデミック前の水準に近づく
2019年8月のEU域内の商用便運航総数は69万5,912便
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航空・トラベル・観光
- ユーロスタットによると、欧州連合(EU)における旅客、貨物、郵便物を運送するフライトは、昨年8月からの1年間で25%増加しました。
- 今年8月の商用便の発着回数は約59万7,000回で、2019年8月のパンデミック前の水準を14%下回っています。
- 旅行・観光業界の収益は2020年に4兆5,000億ドル減少。レジリエンス(強靭性)と持続可能性を軸に回復を目指す必要があると世界経済フォーラムは指摘しています
欧州では再び航空便が運航を開始するようになったものの、パンデミック(世界的大流行)前の水準には回復していないことが、新しいデータで明らかになりました。
EUの統計局であるユーロスタットによると、旅客、貨物、郵便物を運送する商用便の運航数は、2021年8月から2022年8月にかけて25%増加。f新型コロナウイルス感染拡大以前と比較した運航数の差は「徐々に縮まっている」と説明しています。
EUのフライト数は増加傾向
2019年8月、EUの商用便運航総数は69万5,912便でした。一方、今年8月の商用便運航総数は59万6,930便と14%少ないですが、それでも、パンデミック前の水準からそれぞれマイナス53%と31%だった2020年と2021年と比較すると、大きく改善していることがデータから読み取れます。
EU加盟国のうち、今年8月の商用便の運航数が2019年8月に比べて増加したのはギリシャとルクセンブルクのみ、それぞれ5%と2%増加しました。一方、減少幅が特に大きかったのはスロベニア(42%)、ラトビア(39%)、フィンランド(31%)でした。
EUの一部の空港では商用便の発着数が大きく増減しています。このうち、ギリシャのサントリーニ島の空港では30%の便数増を記録しましたが、イタリアのミラノ・マルペンサ空港の商業便は34%減となりました。
旅行と観光業はレジリエンスの強化が必要
世界経済フォーラムが発表した「2021年旅行・観光開発指数(Travel & Tourism Development Index 2021)」の中で、新型コロナウイルスの感染拡大は、今日の世界の旅行・観光産業にとって最大の危機だと表現されています。
2020年だけでも、ロックダウン、旅行制限、消費者の不安、経済の低迷により、旅行・観光産業は4兆5,000億ドルの収益減少に加え、6,200万人の雇用を失いました。
旅行・観光業が回復しつつある中、将来起こり得る危機に備えて、より持続可能でレジリエントな環境を構築する必要があると世界経済フォーラムは指摘しています。
この指数は、世界117か国を対象に、旅行・観光産業の持続可能でレジリエントな成長を可能とする重要な要素を特定しており、欧州とアジアの高所得国が上位を占めていることが分かります。
スペイン、フランス、ドイツ、スイス、英国、イタリアの欧州6カ国がトップ10にランクイン。
ここではビジネス環境、テクノロジーへの対応、航空輸送インフラ、環境の持続可能性など、17項目のデータを比較しています。
旅行の回復をレジリエントな未来のきっかけに
統計調査データプラットフォームのスタティスタ社によると、2021年の国外旅行者の入国数は欧州が世界最多で、2億8,800万人を超えました。これは、最も多かった2019年の7億4,500万人からは減少していますが、2020年の2億3,800万人から約21%増加しています。
世界経済フォーラムの航空・旅行・観光部門の責任者であるローレン・アッピンクは、航空業界がパンデミックによる低迷から回復しつつあることは良いニュースだが、旅客数の大幅かつ急激な増加は業界内の課題を浮き彫りにしたと述べています。
「空港や航空会社がパンデミック後に人員を再配置している過程で、旅行需要が急速に回復したことにより問題が生じました」とアッピンクは指摘。「旅行客数の回復が続く中、より良い環境の再構築に向けて旅行・観光業界は今回のことから学ぶ必要があります。今は、将来起こり得る危機に備えてよりレジリエントになるための大きなチャンスなのです」。
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